2015.05.27

「連覇を目指せるチームは1チームだけ。それにチャレンジする」/岩清水梓(日テレ・ベレーザ)

iwashimizu (13)
インタビュー=馬見新拓郎 Interview by Takuro MAMISHIN
写真=兼子愼一郎 Photo by Shin-ichiro KANEKO

 なでしこジャパンのディフェンスリーダーDF岩清水梓(日テレ・ベレーザ)は、今回で3回目の大一番を迎える。28歳ながらプレナスなでしこリーグ200試合以上、国際Aマッチ100試合以上を数える彼女は、中堅からベテランへと変わっていく立場を感じながら、この4年間を過ごしてきた。
 時にはゲームキャプテンを任されるなどチームを支える屋台骨として活躍する岩清水が、連覇を託された女子W杯を前に、故郷・東北にも想いを馳せながら口を開いた。

どういう役割になっても、チームに貢献する力はある

――いよいよ女子W杯開幕が迫ってきました。4年前の前回大会で優勝したチームとして、連覇への期待の大きさを感じますか?(取材日:5月14日)
岩清水 はい、とても感じますね。前回大会は今ほど注目されずに開幕を迎えたんですけど、大会を勝ち進むにつれて、本当に多くの皆さんに応援してもらっているっていう実感が沸いてきました。そこで優勝できたので、今回は大会前から多くの皆さんに注目してもらっているし、大きな期待も感じています。

――岩清水選手は3回目の女子W杯を迎えます。
岩清水 でも、どんな選手構成で試合に臨むかは監督が決めることなので、まだ分からないですからね。この4年で個人としても経験を積んできましたし、どういう役割になっても、チームに貢献する力はあると思っています。女子W杯に向かうチームの一員として、力になりたいと思っています。

準決勝までの2試合が大きなポイント

Japan v New Zealand - International Friendly

――まず前回大会を振り返ると、優勝する上で重要なポイントはどこにあったと考えていますか?
岩清水 グループリーグ第3戦で敗れたイングランド戦(0-2)や、決勝トーナメントの延長戦で勝ったドイツ戦(1-0)がターニングポイントだったと思います。それらを乗り越えられたのが優勝につながる要因でした。結果がついてくるにつれて、チームがひとつになっていったという実感がありました。大会に臨む前のチームって、実は小さいながらも不安があるんですよね。でも敗戦もしっかり糧にして、目の前の一つひとつの試合で結果を出していくことが大切なのかも知れません。

――この4年間で様々な相手と対戦してきましたが、優勝チームとしてマークされていると感じることはありますか?
岩清水 感じますね。なでしこジャパンと対戦する時の相手のモチベーションは、明らかに高くなってきています。格下と言われるチームでも、「普段はこんないいプレーしないでしょ!?」っていういつも以上のプレーで、なでしこジャパンに向かってきますから。あとは、以前は強豪国がどこか100%で戦ってきてくれない雰囲気を感じていましたが、「なでしこジャパンに勝ってやる」という強い意気込みで試合に臨んでくるようにもなりました。

――それらをはねのけて再び優勝を手にするのは、簡単なミッションではありませんね。
岩清水 前回大会と比べると、今大会は出場国が増えたので、決勝に辿り着くまでに1試合増えることになります。前回大会は決勝トーナメントの初戦が準々決勝だったから、そこを勝てば、また2試合を戦うことがすぐに決まりました(3位決定戦も行われるため)。でも今大会は、負けたら終わりという決勝トーナメントの状況が2回あるのが、すごくプレッシャーです。だから、準決勝までの2試合が大きなポイントになると思いますね。

日本女子サッカーで、澤さんほどの選手は出て来ない

――大会登録メンバー23選手が発表された際、最も注目を集めたのは澤穂希選手の代表復帰でした。
岩清水 日本女子サッカー界において、澤さんほどの存在の選手は出て来ないと思います。また、澤さんの女子W杯が最後になるだろうっていう報道も見ましたが、その大会に、メンバーの一員として参加できるのは光栄に思います。

――その一方、若手選手が少ないという意見もあります。
岩清水 それは私も感じていることです。特に私は日テレ・ベレーザという若い選手が多いチームでプレーしているので、サッカーがうまい若手選手がたくさんいることも知っています。その中でこの23選手が選ばれたわけですから、選手の豊富な経験値を見ても、今後を左右するほど結果が求められている大会であることは間違いないと感じています。残念な結果を出すことは絶対にできません。

――前回大会の川澄奈穂美選手のように、大会中にレギュラーを獲得するような選手の出現が、優勝へのカギかもしれません。
岩清水 当然のことですが、前回大会の主力選手も4つ歳を重ねているので、疲労の溜まり具合が4年前とは違っているはずです。私自身も絶対に違っていると思うんです。前回大会は全試合に出場した選手が限られていて、ある程度固定されていたけど、今大会はターンオーバーもするでしょうし、累積警告が影響してくる可能性も高いはずです。本当に12人目以降の選手の力が試される大会になると思います。誰がピッチに出てもいいパフォーマンスを出せるように、チームとしてもサポートしようと思っています。

人工芝への順応性は、大事な要素

――全会場が天然芝の前回大会と比べると、今大会は6会場のうち5会場が人工芝です。なでしこジャパンは去年10月にカナダ遠征をして、グループリーグの初戦と2戦目を行うバンクーバーと、決勝トーナメントで訪れる可能性があるエドモントンで親善試合をしました。
岩清水 その経験は今大会で非常に活きると思いますよ。ふたつのスタジアムの人工芝を比べても、違いがありましたから。私はバンクーバーでの試合に出場したんですがやっぱり天然芝とはボールの走り方がまったく違います。日テレ・ベレーザの練習場・ヴェルディグラウンドの人工芝で週に何日か練習しているんですけど、バンクーバーの人工芝と非常に近いと感じました。ゴムチップが多めに入っていて、よりボールが止まる感覚です。

 カナダ代表との試合では、DFラインの裏にボールを出されて、ピンチになりかけましたが、ボールがそのまま勢いよく流れずに、少しブレーキがかかったように上に跳ねたことがありました。だから相手選手にボールが渡らずに、決定機にならなかったことが何度かあったんです。こうやって各会場の人工芝の質を掴むことや、芝への順応性は、結果を残す上で大事な要素のひとつかなと思います。

連覇を目指せるチームは1チームだけ

iwashimizu (11)

――連覇を狙うチームとして、この4年間でどのようなところが上積みされたと感じていますか?
岩清水 難しい質問ですね。まず、この4年間を評価することが難しいです。あれから、本当にいろんな選手が代表に選ばれて一緒にプレーをしてきて、その時々で試行錯誤がありました。私自身も中堅としてチームを引っ張ってほしいと代表に選ばれた時や、なでしことしてのベースを伝える側に回った時もありましたから。

 しかも、代表候補選手が代表選手になるまでは、チームとは言ってもどこかではライバルなんです。最終的な23人は、もちろんよく知っている選手が多いんですが、最終的なチームプレーとか、本当の意味での呼吸とかは、またこれからになると思います。チームが集合してからの1日1日が、大切な時間になりますね。

――佐々木則夫監督も含め、多くの選手は連覇に「チャレンジする」と口を揃えています。
岩清水 私も、もちろんそのつもりです。連覇を目指せるチームは1チームだけですから、本当に私たちはそれにチャレンジする気持ちでいます。アルガルベカップでは全然いい結果が出なかったんですが、もしまずまずのいい結果が出ていたら、今ほど本当の意味でチャレンジとは思わなかったかもしれません。だから、それぞれの選手が危機感を持って女子W杯を迎えられるというのは、ある意味ではプラスに捉えるべきだと思います。

――最後に、なでしこジャパンを応援するファンに向けてメッセージをお願いします。
岩清水 この4年間、本当にいろんな方に応援していただいていることを実感する毎日でした。自分は東北出身者として、それは岩手に帰る度に感じたことで、皆さんにいろいろな声をかけてもらいました。その皆さんの気持ちが今、私の身体の中に、どんどん、どんどん溜まってきています(笑)。

 それを大きな力に変えて、女子W杯という大舞台でいい結果に残して、また皆さんに恩返ししたいなと思っています。個人的なモチベーションとして、いい結果を出してまた岩手に帰り、みんなの笑顔を再び見たいという気持ちも大きいんです。東北の皆さんのことを忘れていません。なでしこジャパンが頑張っている姿を、ぜひ見てほしいと思います。

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