2012.02.17

【インタビュー】吉田麻也「欧州の敷居はそれほど高くない、一番大事なのはメンタル」

VVVフェンロ、ザック・ジャパンでも不可欠な存在となった吉田麻也。海外挑戦への思いや異国の地で身を持って感じたことを明かす、サッカーファン必見のスペシャルインタビュー。
吉田

写真=千葉 格

練習も生活も日本と違うのは当たり前何事にも動じなくなった

――海外でプレーするようになって、一番成長したと思うところは?

「何事にも動じなくなりました。こっちでは日本と違ってなんでもパーフェクトに進むわけじゃないということは、練習中でも生活でも感じます。人種も歴史も違うから、生活や文化が違うのは当たり前なので、そこに反応してイライラしてしまうと自分が苦しくなりますからね。環境のよしあしとは関係なく結果を残さないと上り詰めていけないので、あまりいろいろなことを気にしなくなりました」

――もともと物事をきちんと考えるタイプだったんですか?

「同年代では、まともだと思います(笑)。僕は実家が長崎なんですが、中学の頃から親元を離れて名古屋に行って兄と2人で生活をしていたので、自立しなきゃいけなかった部分も多かったです。サッカー馬鹿って思われるのも嫌だったので、勉強も普通にはしたし、親元を離れているから礼儀やマナーが良くないって言われるのも嫌だったので、気をつけていた部分はありますね」

――海外挑戦も早い頃からの自立と関係があると思いますか?

「誰にとってもそうするのがいいとは思わないんですけど、サッカーだけじゃなくて人間的にも自立できたと感じるので、早く親元を離れたのはすごくよかったと思います。親のありがたみを早くから感じたし、他の中学生よりは大人になるのが早かったかなと思うし、それがサッカーに対する姿勢につながったなと思います」

――海外でのプレーを意識するようになったのはいつ頃から?

「ユース時代、高校2、3年生くらいですね。コーチにはしょっちゅうイングランドの試合を見せられていて、サッカーの試合はほとんど名古屋(グランパス)のトップチームかイングランドか、欧州チャンピオンズリーグしか見ていませんでした。名古屋のトップチームとイングランドのビッグ4が好きになったし、海外でやってみたいなって考えるようになりましたね。夢は大きいほうがいいな、Jリーグだけじゃなくて世界に羽ばたきたいなって思っていました」

欧州の敷居は思っているより高くない一番大事なのはメンタル

――2010年、VVVフェンロ移籍直後にはけがによる長期離脱がありましたが、今振り返るといかがですか?

「当時は何も考えられなかったですけど、復帰までの10カ月という期間は自分を強くしてくれたと思うし、人としても学ぶことが多かった。プロに入ってから淡々とうまくいっていたところで一度閉ざされて、自分を見つめ直すきっかけにもなったし、自分にとって何が大事かが分かるようになりました。一回落ちることで見えるものがたくさんあるから、よかったかなと思います」

――海外から見た日本サッカーの特徴については?

「組織とパスだと思います。オランダと比べると一対一の場面が少ないし、縦に行く回数より横にパスをつなぐ回数のほうが多いと思います。DFは個の能力ではヨーロッパより劣るから組織で守るので、スペースがなくてコンパクトなサッカーをするのがJリーグですね。ボール回しやパス、トラップはヨーロッパと比べてもレベルが高い。アタッカーの個の能力、一対一、勝負強さの部分では、ヨーロッパには劣ると思います。どっちがいい、悪いは抜きにして、そういうサッカーの違いはありますね」

吉田
海外挑戦について吉田は「行くチャンスと勇気と、動じないメンタリティがあればJリーグの選手は絶対に成功する」と語った

――今の日本サッカーについて感じている事はありますか?

「日本代表では、もっともっと強い相手と戦いたいですね。一瞬も気の抜けないような試合をしていく中で選手としても成長できるし、チームとしても向上していくと思う。たとえばアウェーでレベルの高いチームとやることで、自分たちのいいところが引き出されたり、悪いところを修正していくことも必要だと感じます」

――これから海外に挑戦する選手へ伝えたいことは?

「思っているよりも、ヨーロッパの敷居は高くないと思います。もちろん、たとえばバイエルンやアーセナルに行けばやっぱりレベルは高いけど、それこそフェンロとか小さなクラブの敷居は高くない。あとは行くチャンスと勇気と、動じないメンタリティがあればJリーグの選手は絶対に成功する。Jリーグで3、4年しっかりプレーしている選手であれば、ヨーロッパの敷居があまりにも高過ぎるとは感じないと思う。もちろんクラブや人によって違いはあると思うけれど、そこで折れないメンタリティがあれば問題ないと思う。一番大事なのはメンタルです」


吉田麻也(よしだ・まや) 1988年8月24日生まれ。長崎県出身。地元の南陵FCでサッカーを始め、名古屋グランパスのU15、U18でプレー。2007年にトップチーム昇格し、第9節の大分トリニータ戦でJ1デビュー。2008年は北京五輪に出場し、2009年シーズン終了後にオランダのVVVフェンロへ移籍。日本代表でも2011年1月のアジアカップ優勝に貢献し、2011年9月のワールドカップアジア3次予選の北朝鮮戦でロスタイムに決勝点を挙げるなど、レギュラーのセンターバックとして活躍している。

吉田

プロサッカー選手兼プロブロガー吉田麻也の著書
サムライDays、欧州Days ~夢と、サッカーと、ブログと~

VVVフェンロ、日本代表で不可欠な存在となっているDF吉田麻也。プロサッカー選手であり、1日最高40万アクセスの大人気ブロガーでもある吉田の著書「サムライDays、欧州Days ~夢と、サッカーと、ブログと~」が大好評発売中だ。コミカルな文体と、予想もつかない写真、そしてスベることを恐れないオチ。欧州と代表の日々が赤裸々に綴られたブロガー吉田麻也が放つ“笑撃!!!”の一冊となっている。

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