2014.02.05

「最後の1秒まで見逃せない、それはエンドロールが終わった後までも」――山下修作

 2011年に産声を上げ、サッカーファン、映画ファンから熱い支持を集めてきた「ヨコハマ・フットボール映画祭」。今年も2月8日(土)〜11日(火/祝)の4日間で世界のサッカー映画の珠玉の作品か9作品を一挙上映! そこでサッカーキングでは映画祭の開催を記念し、豪華執筆陣による各9作品の映画評を順次ご紹介。今回はJリーグのアジア展開に携わられている山下修作さんより日本初公開作品『インドネシア・コネクション ―サッカーを蝕む男たち』の映画評をご寄稿いただきました。

インドネシア・コネクション ―サッカーを蝕む男たち

「最後の1秒まで見逃せない、それはエンドロールが終わった後までも」山下修作

 本作は、インドネシアサッカーの「未来と現在」「「明と暗」そして「夢と現実」が入り乱れ、織り交ざりながら、熱く描かれた作品です。そこで私も現在のJリーグのアジア戦略を通じたインドネシアとの取り組みと映画の中の話を織り交ぜて紹介したいと思います。

 インドネシアのサッカーというとなかなかイメージが沸かないかもしれませんし、そもそもプロってあるの?と思う方も多いかと思います。しかし!インドネシアにはもちろんプロリーグがあり、そのサッカーに対する情熱は、サッカーに対して熱いASEAN各国の中でも群を抜いて熱いものがあります。映画の中で描かれているスタジアムでの激しいシーンなども創作ではなく、実際の様子をしっかりと再現しているものです。

 ASEAN各国では、バスケが人気のフィリピンを除いて全ての国で、サッカーが一番人気のスポーツです。しかも2番がないと言われるくらいサッカーの人気が図抜けています。そんなサッカー好きのASEANの国々ですが、独立国家としてのワールドカップ出場はありません。1938年にインドネシアがオランダ領東インドという名前で出場していますが、独立国家としての出場はなく、各国が自分たちの国こそ一番に出場したいというライバル心を持っており、ASEAN各国だけで戦う代表戦のAFF SUZUKI CUPは熾烈を極めます。

 Jリーグは2012年1月より本格的にアジア戦略を開始し、ASEAN各国とも様々な取り組みを行なっています。インドネシアとも早い段階から取り組みを開始したかったのですが、現地のプロリーグが分裂をしていたりした関係で、本格的に取り組めるようになったのは、リーグが統一された今シーズンからです。2014年1月26日(土)にインドネシアスーパーリーグと提携をし、翌日には、インドネシア代表のイルファン選手がJ1のヴァンフォーレ甲府への移籍会見が現地で発表され会見が行われました。その様子は、大々的に報道され、人口2億4000万人、 ASEAN最大国内を一気に駆け巡りました。初のインドネシア人Jリーグ選手、そしてASEAN初のJ1選手の誕生にインドネシア中が熱狂しました。なお、イルファン選手のTwitterのフォロワーは428万人もいます。映画の主人公ガブリエルは、まさにこのイルファン選手のようなインドネシア中の注目を集めるスター選手です。彼の全てのプレーに、男性ファンも女性ファンもそして闇の組織も一喜一憂し翻弄されていきます。

 またガブリエル選手以外にも、インドネシアのスター選手がセリエAのフィオレンティーナやドルトムントで13年プレーしてインドネシアに戻ってきたり、2014年のワールドカップに出場しブラジルと戦ったりという描写が出てきますが、現在のインドネシアは、FIFAランキングは124位(1月16日現在)で、2014年ブラジルワールドカップは三次予選を最下位で敗退しているのが現実です。そんな現実を国民皆がなんとかしたいと思っていてくすぶっている。それが今のインドネシアです。そして夢のワールドカップ出場をサポートしていくべく、Jリーグはインドネシアスーパーリーグと提携を結びました。Jリーグの公式ホームページでも公開されていますが、両リーグの提携内容は下記の12項目になります。

■パートナーシップ協定内容
1:プロフットボールの運営、マネジメントレベル向上に必要な情報の交換
2:プロフットボールリーグの運営、またクラブのマネジメントに必要な経験の共有、ならびにカンファレンスの開催
3:コーチ、審判、選手、メディカル、大会運営、マーケティング分野等における分析、研修・トレーニングプログラム等に関する経験の共有
4:インドネシアおよびJクラブ間でのフレンドリーマッチの開催
5:ユース年代における大会、フレンドリーマッチ、トレーニングの実施
6:両国選手が相手国リーグでプレーするための紹介および環境の整備
7:商業権利開拓にむけたサポート(相手国スポンサーの紹介)
8:Jリーグのインドネシア国内での放映拡大のサポート、また日本国内でのISL知名度向上のサポート
9:インドネシアクラブ、Jクラブ間でのパートナーシップ促進
10:インドネシアでのサッカークリニックの開催
11:Jクラブによるインドネシア国内での社会貢献活動の実施
12:八百長対策に関する協力

 特徴的なのは、12番の「八百長対策に関する協力」かもしれません。映画の中でも、八百長は本作の主軸となるテーマとなっています。リーグ間の公式な提携の書面に八百長に関する協力が書かれているということは、インドネシアとしてもJリーグのように八百長を受け付けず、クリーンに戦い、そして強くなっていく!ワールドカップ出場を実現するなら、映画で描かれているような世界は排除し日本のようにならなくてはならない!そんな強いAndi監督の意思のこもった作品となっている本作品。

 最後の1秒まで見逃せない、それはエンドロールが終わった後までも。

 この意味は映画を最後まで観て頂けた方には分かるはず。是非ASEAN サッカーの醍醐味を、映画を通してお楽しみ頂ければと思います。

【プロフィール】
山下修作(やました・しゅうさく)
1975年生まれ。株式会社Jリーグメディアプロモーション アジア室 室長。リクルートにて営業、編集、マーケティング、web事業などに従事。2005年よりJリーグ公認ファンサイト「J’s GOAL」等の運営に携わり、JリーグのWEB事業やプロモーションに携わる。2012年アジア戦略室(現アジア室)発足に伴い本格的にJリーグのアジア展開に携わりアジアを奔走中。

『インドネシア・コネクション ―サッカーを蝕む男たち』
(インドネシア/サスペンス/124分/2013年制作)
上映:2月8日(土)12:45~/2月11日(火・祝)15:15~
監督:アンディバティアール・ユスフ

【ヨコハマ・フットボール映画祭2014について】

世界の優れたサッカー映画を集めて、2014年も横浜のブリリア ショートショート シアター(みなとみらい線新高島駅/みなとみらい駅)にて2月8日(土)・9日(日)・10日(月)・11日(火/祝)に開催! 詳細は公式サイト(http://yfff.jp)にて。

【20名様限定】ヨコハマ・フットボール映画祭2014!サカポン限定ワンデイパス 


pic1
ヨコハマ・フットボール映画祭のワンデイパスが買えるのはサカポンだけ!

サイト人気記事ランキング