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【サッカーに生きる人たち】挑戦する素晴らしさを世界に|岡部将和(ドリブルデザイナー)

2019.11.01

[写真]=本人提供

インタビュー・文=栗田隼斗(スポーツデジタルメディア編集講座2期生)

「ドリブルデザイナー」の仕事は、「ドリブルの技術を教える」ことではない。選手それぞれの個性に合わせて、ドリブルを“一緒にデザイン”し、形作っていく。「ドリブルデザイナー」という言葉に、そんな思いを込めた。


 そう語るのは唯一無二の職業「ドリブルデザイナー」として活動する岡部将和(おかべ・まさかず)さんだ。現役時代はFリーガーとして活躍し、引退後は指導者としてYouTubeでの動画配信や、全国各地でドリブルクリニックを開催。Jリーガーや日本代表選手に個別指導を行うだけでなく、世界のスター選手とも対談を果たし、誰でも抜けるドリブル理論を世界中に発信している。

築き上げたドリブルテクニック

 現役時代からドリブラーで、現在はYouTube上で様々なドリブルテクニックを披露しているが、高校生まではパスが好きだったという。「能力が高い選手にパスを出して、その選手が試合を決める、という形が多かったですね」

 プロを目指すことも考えた。そのためには、スカウトマンに声を掛けられるか、エスカレーター式でJの下部組織からトップチームに上がるか、セレクションで合格してプロになるか3つの道があった。「高校のチームがそこまで強くなかったんです。スカウトマンが見にくるのは、神奈川県で1位か2位の選手権に出るようなチームだけ。そうなるにはパスだけではダメだし、何十倍も努力をして一人で4、5人をかわして点が取れる選手になるしかないと思って練習をしました」

人生を幸せに生きるための決断

(写真=本人提供)

 岡部さんが現役を引退したのは27歳の頃。まだまだ動ける年齢だ。しかし、一番やりたいことに対して全力をという思いから、プレーヤーではなくドリブルデザイナーとしての道を選んだ。

「Fリーガー時代はセミプロだったので、選手をやりながら副業で子どもたちを指導していました。次第に、自分でプレーすることよりも、自分の指導によって選手たちが輝いていくことのほうが楽しいと感じるようになって。その年に選手を卒業して、“選手を輝かせる立場”に行きたいと思ったんです」

 サッカーの指導者はたくさんいるが、ドリブルを専門とした指導者は岡部さんが初めてだ。新しいことに挑戦するときには不安がついてまわるものだが、岡部さんに不安は全くなかったという。

「失敗するかもしれないという不安を抱えると思うんですけど、そもそも失敗って何かって考えたときに、『今の失敗』と『人生を大きく見たときの失敗』は違うと思ったんです。自分が死ぬときに考えて、『挑戦しなかった』ことが失敗だと思って。一番好きなことに挑戦できていれば、結果がついてこなくても失敗だとは思わない。だから不安はありませんでした」

挑戦を駆り立てるような活動を目指して

(写真=本人提供)

「挑戦する素晴らしさを世界に!」。岡部さんのオフィシャルサイトには、そんなメッセージが書かれている。

 自身もドリブルデザイナーとして挑戦をしてきた。ドリブルのクリニックを全国47都道府県で開催し、YouTubeやSNSのフォロワーは計150万人になった(2019年8月現在)。世界を渡り歩いてスター選手とコラボし、憧れの選手であったパブロ・アイマールにも会うことができた。岡部さんは、ドリブルを通じてチャレンジする心を伝えている。

 最後に岡部さんの「今後の挑戦」について聞いてみた。

「サッカー人口は16億人いると言われています。その16億人に対して少しでも挑戦する心を駆り立てるような活動をしたいと思っていて、そのために3つやりたいことがあるんです。バロンドールを取る選手のサポートをすること。ドリブルクリニックを世界196カ国を周り開くこと。そして3つ目は、『XRプロジェクト』です。今、1日に20万人の人が誕生していて、5人に1人がサッカーを経験していると言われています。つまり、1日に4万人がフットボールを経験している。その人たちに、毎日、自分が伝えたいことが伝わるようなコンテンツを作りたいと思っています。夏休みに20カ所くらいでイベントを開いたんですが、1つの場所に200~300人の方が来てくださるんです。でも、1日に4万人がサッカーを経験していると考えると、イベントをずっとやり続けても、どんどん自分のコンテンツを伝えられない人が増えていってしまう。それを解決するものが、バーチャル化だと思っているんです。今後3Dの技術や5Gが普及したらゴーグルなどを使わずに、その場に自分が出てきてドリブルを伝えられるようになるんじゃないかと。その『XRプロジェクト』を完成させたいと思っています」

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