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浦和とホームタウンの歩み 埼スタに最も近い小学校にできた開校5周年記念「階段アート」、契機は生徒の積極性

2024.03.29

 千里の道も一歩から。

 浦和レッズとホームタウンの関わりは、着実に歩みを進め、確かな広がりを見せている。3月18日、浦和レッズのホーム・埼玉スタジアムに最も近い、さいたま市立美園北小学校で、開校5周年を記念した「階段アート」が制作された。


さいたま市立美園北小学校正門

 当日は小学1~6年生の各クラス代表者約150人が参加して、ラミネート加工されたシールの貼り付け作業を行った。階段には美園北小学校の校章とシンボルマークと一緒に、浦和レッズのエンブレムとマスコットキャラクターであるレディア&フレンディアが添えられた。

 ただ単に校章が描かれたのではなく、浦和レッズのエンブレムが一緒に表現されたことに意義がある。まさに地域のシンボルである小学校と、地域の象徴であるクラブのコラボレーションだった。きっかけは1年前。浦和レッズのホームタウン本部ホームタウン・ハートフルクラブ・社会連携担当スタッフは言う。

「そもそもの原点は、浦和区役所のみなさんとの定例会議で生まれた、区役所内に埼玉スタジアムにあるトルシエ階段のようなものを作りたいという企画でした。なかなか実現できずにいたのですが、昨年がさいたま市の区制施行20周年だったこともあり、区役所の階段に『サッカーのまち浦和』をPRする階段アートを制作しました」

2023年に実施した浦和区役所階段アート

 それはクラブにとって大きな前例となり、美園北小学校とのミーティングでも、運動会への参加や応援メッセージの掲出など、さまざまなアイデアを提案する一例になった。ホームタウンに寄り添った地道な活動や、開校5周年という節目が重なっていた幸運もあり、学校側も階段アートに興味と関心を示してくれた。

 そこに至る過程にも、一朝一夕ではないクラブの学校への働きかけがある。前述のクラブスタッフは言う。

「美園北小学校さんとは開校時の校章、校歌のお披露目式に参加させていただいたことに始まり、その後もさまざまな活動をご一緒させていただいてきました。そうした関係性もあり、すごくウエルカムな姿勢で受け入れてくださるからこそ、足を運ぶたびに手ぶらではいけないと、必ず何かを提案させてもらっています」

 美園北小学校が開校して間もない2020年には、浦和レッズのバラ「Reds Rose」を飼育栽培委員の児童とともに花壇に植栽した。

 コロナ禍で始まった選手たちによるオンライン授業「レッズ先生」では、2022年にGK牲川歩見が美園北小学校を担当し、夢を持つ大切さや夢を叶える大変さ、さらには支えてくれる家族や友人への感謝を、児童たちに伝えた。そして昨年、Jリーグの新型コロナウイルス感染症対応ガイドラインが緩和されたことを受けて、オンライン授業を担当した牲川が学校をサプライズ訪問し、直接、児童たちと触れ合った。

サプライズ訪問したGK牲川歩見

 それだけではない。夏休み後は不登校率が増加するという一般的な学校課題の解決に寄与したいと、浦和レッズは昨年の2学期開始時に、全校児童が参加でき、学校に来る楽しみを提供する企画を作成して、学校に提供した。

 美園北小学校の佐藤利春校長は言う。

「学校内で浦和レッズの選手を探せという企画を実施し、私たち教職員で1階のどこかにラミネートされた選手の写真を隠して貼り、それを探すスタンプラリーを実施したのですが、約700名の児童が参加してくれました。牲川選手のサプライズ訪問もそうですが、子どもたちはサプライズやイベントが大好き。児童たちは、浦和レッズは人を喜ばせてくれる存在であるという感謝を感じてくれていますし、浦和レッズとの取り組みは、子どもたちが発想力を育み、自ら考える行為に大きく影響していると思っています」

 佐藤校長は言葉を続ける。

「クラブスタッフが何度も足を運んでくれて、我々教職員と一緒になって取り組んでくれているからこその関係性を築いています。お互いに話していると、これはこうしましょう、あれはああしましょうと、次から次へとアイデアも膨らんでいきます。大人である教職員やクラブスタッフだけで作業が完結するのではなく、子どもたちも一緒になってできることを考えてくれるので、どんどん関係性も深まっていっていると実感しています」

 一方通行ではない。相互通行とでも言えばいいだろうか。学校もクラブも、根底に子どもたちのためにという思いがあるから、互いに歩み寄っている。

「我々学校としては、クラブにただ単にやってもらうだけでは意味がないと考えています。浦和レッズのクラブスタッフが学校に来て、「子どもたちのためにやりました」というのでは、児童に感謝や感動、さらには達成感もなく、何ごともやってくれるのを待っているだけになってしまうかもしれません。そうではなく、一緒になって取り組んでいくことで、自分たちで世の中を作っていくような取り組みが一緒にできたらと思っています」

佐藤利春校長

 まさに階段アートも、ある児童の積極性が実現への契機になった。

 クラブスタッフとのミーティングを経て、校長先生は校内放送で全校児童にアナウンスした。

浦和レッズが中央階段に、階段アートを作成するという提案をしてくれていますが、みんなは興味ありますか?」

 佐藤校長は、登下校の際に校門で児童の送り迎えをしているというが、校内放送した下校時に、5年生の金澤昌潤(まさひろ)くんが「手伝いましょうか」と、早速、話し掛けてきた。

 改めて校長先生は詳細を説明し、クラブから階段アートのデザインサンプルがいくつか届いていることを伝えると、金澤くんはアイデアを提案した。

「クラブが提案してくれたデザイン案のなかから、各クラスが一つを選んで投票するアンケートを実施したらどうでしょうか」

 すると金澤くんは、自らアンケートに掲載する文言などを考え、翌朝に提出するやる気を見せてくれた。そこから何度か修正を行って、アンケート用紙が完成すると、校長先生はすぐに職員会議を通じてアンケートの実施を教職員に依頼した。4つ候補のなかから選ばれたデザインが、階段アートとして描かれた。

 階段アートの実現に児童を代表して大きく関わった金澤くんは言う。

「自分もいいなと思っていたデザインに決まってうれしかったです。自分が積極的にアンケートの企画を考えましたが、自分次第でさまざまなことができるという経験になりました」

浦和レッズマスコットレディアと金澤昌潤くん

 佐藤校長が金澤くんの誇らしげな表情を見ながら言葉を紡いだ。

浦和レッズは大きなメディアとしての力を持っているので、コラボレーションすることで、広く活動を紹介してもらえます。でも、大事なのは学校も、児童もアイデア一つで、浦和レッズという大きなメディアと一緒に何かができるという広がりを感じられることです。私は刺激の距離と呼んでいるのですが、児童たちにとっては、今回、金澤くんが動いたことで浦和レッズとの企画が実現したという刺激を与えてくれています。自分たちも、頑張り次第で、浦和レッズと何かを一緒にやることができる可能性があるんだ、と。身近な存在から受ける影響というのは計り知れないですからね」

 校舎の窓から埼玉スタジアムが見える環境で過ごしてきた金澤くんも言う。

「友だちに好きなサッカーチームがあるかと聞かれたときには、近くに浦和レッズというタイトルを何度も獲っている強いチームがあると伝えています。そうしたチームが近くにあることが誇らしいというか、自慢できる存在です」

校舎の窓から見える埼玉スタジアム

 階段アートのシートを貼り付ける作業も、クラブスタッフだけで作業を完結させるのではなく、各クラスから選ばれた全学年の代表者約150名が参加したのも、一方通行ではない、クラブと学校が一緒になって取り組んでいく関係を示している。

 また作業当日は、レディアが初めて学校を訪れ、一緒に作業しただけでなく、今春卒業する小学6年生に記念品と共に、浦和レッズが「次世代であり、未来であり、宝」と表現しているホームタウンの小学生を対象にした招待チケットのチラシを贈呈した。さらに各教室を練り歩き、もみくちゃにされるほど子どもたちが喜んでいた笑顔は、アイデアの広がり、発展による産物だった。

 完成した階段アートを眺めながらクラブスタッフは言う。

「この階段が、卒業するときのフォトスポットになったらいいなと思っています。卒業式のあとには、すぐに入学式もありますし、学校から見える埼玉スタジアムだけでなく、学校のなかにも浦和レッズがあることも感じてもらえたらと思っています」

 そして、つぶやいた。

「1日のどこかで浦和レッズの何かを目にしてもらえれば、それは浦和レッズがまちの人々の生活に入り込んでいる証になります」

 校章とともに浦和レッズのエンブレムが描かれた中央階段は、下駄箱の目の前に大きく広がっている。児童たちは毎朝、登校すると、自然と浦和レッズのエンブレムを見ることになる。

 浦和レッズが地域に“ただ”あるのではなく、“一緒に”なって経験し、体験し、感じてもらう。その“一緒”が地域に根付き、誇りになっていく。

 階段アートのシートを貼るために並んでいる児童に、浦和レッズについて聞いた。

「シーズンシートを持っているので、家族で試合を見に行きます」

「おじいちゃんとおばあちゃんがサポーターなので、一緒に応援しています」

「隣の家に住んでいる友だちも浦和レッズが好きなので、アウェイゲームはその子の家で一緒にDAZNを見ています」

 一世代だけでなく、二世代、三世代へと広がっている。そのコミュニティーは家族だけでなく、周りへも広がっている。浦和レッズの活動は、地域と一緒に歩み、育まれていることを、子どもたちの言葉に強く実感した。

文=原田大輔

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