2018.04.20

【ライターコラムfrom仙台】防壁にして攻城塔…J1初出場の常田克人、3年目を飛躍のシーズンにできるのか?

常田克人
J1初出場を飾った常田克人 [写真]=J.LEAGUE
ベガルタ仙台を中心に追いかけるライター。書籍に『在る光 3.11からのベガルタ仙台』など。

 4月11日の明治安田生命J1リーグ第7節・名古屋グランパス戦を3-2で制した後に、ベガルタ仙台の渡邉晋監督はひとつの決断をした。

 この試合の終盤で、DF大岩一貴が退場。中二日でやってくる次節は出場停止となった。ここまで3バックの中央で獅子奮迅の活躍を見せてきたキャプテンが不在の状態で、昨季J1チャンピオンの川崎フロンターレと戦う。攻撃力自慢の相手と戦ううえでも重要なポジションで誰を代役に立てるのかが思案のしどころだったが、指揮官は迷わずDF常田克人を指名した。

 青森山田高校から仙台に加わって3年目。しかし、常田はそれまでJ1での出場経験はなく、昨季は途中に大分トリニータへ期限付き移籍したものの、J2の場でも出番をつかめなかった。

 だがこの試合は、ぶっつけ本番だったわけではない。開幕を前に「昨季に悔しい思いをしたところをしっかりキャンプで改善していかないと、チームに貢献することもできない」と危機感が先立つコメントを残してキャンプに向かった常田は、この川崎戦出場までの期間も得がたい経験をしている。今季のJリーグYBCルヴァンカップでは、グループステージのここまで全試合に先発出場した。昨季のこの大会においては、常田はキャンプでの状態の良さを買われ開幕戦でJ公式戦デビューとなる先発出場を果たしたが、この試合ではFC東京相手に彼の守る左サイドを崩されて失点。途中交代し、チームも0-6で大敗した。それ以来の公式戦の場となる今大会では、第1節・アルビレックス新潟戦では終盤に追いつかれて引き分ける悔しい思いをしたものの、3バックの中央に移って迎えた第2節・横浜F・マリノス戦では早いうちに味方の退場で数的不利になりながら、耐え抜いて0-0。無失点で勝点1の獲得に貢献した。そして第3節・FC東京戦では、元J1得点王のFW前田遼一など名だたる攻撃陣とぶつかり合いながら、3-0の勝利に貢献。これがピッチ上で迎えたプロ初勝利だった。「今まではスタメンの土俵にも上がっていなかった。前よりは自分もレベルアップして、監督のスタメンを決める時の構想に少しは入ったのかなと思います」と常田は安堵した。

 その常田は抜擢を受け、川崎攻撃陣の前に立ちはだかった。187cmの長身を生かした空中戦の強さが守備面の武器なら、強くてストンと落ちるドライバーのような左足からのフィードは攻撃面の武器になる。防壁にも攻城塔にもなれる常田の良さは、この試合でも発揮された。脇を固めたDFたちも「一度外に出ていい刺激を受けてきたし、体も強くなった。臆することなくプレーできれば」(DF平岡康裕)「緊張やミスがあっても、カバーはできるし大丈夫」(DF金正也)と支援しつつ連係し、後半から元J1得点王FW大久保嘉人が出てきても守り切った。

 間違いなく、常田は大きく伸びている。渡邉監督は「トキ(常田)が良くなっているのは、予測の部分」と、リアクションではなくアクションでいいポジションを取れるようになってきたことを評価する。「常にフレッシュな状態を維持して、また出られるようにやっていきたい」と、常田はさらなるチームへの貢献を誓った。

 もっとも、DFとして大切な安定感というものは、良いプレーを継続してこそ証明できる。常田がこれからチーム内の競争を制してまたチャンスをつかむには、課題も多い。川崎戦の直後、18日に行われたルヴァン杯第4節・新潟戦では、2種登録選手も加わった守備陣において統率役も期待されたが、1-3と結果は出せなかった。「コンディションはいいので、もっと引っ張っていけるようなプレーをできるようにならないと」。経験を重ねることで、プロ3年目を飛躍のシーズンとできるかどうかが問われている。

文=板垣晴朗

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