相模原のチームキャプテンに就任した川口能活 [写真]=JL/Getty Images for DAZN
2017年J1王者・川崎フロンターレのチョン・ソンリョン、今季J1復帰を果たした名古屋グランパスのランゲラックを筆頭に、Jリーグの外国人GKは年々増える一方だ。その流れはJ2、J3も同じ。1998年のFIFAワールドカップ フランス大会から4度のW杯を経験し、国際Aマッチ116試合に出場している川口能活を擁するSC相模原でさえ、今季は韓国人GKキム・ヒョンソンを補強。サバイバルは熾烈を極めているのだ。
「自分もいつチームから『いらない』って言われるか分からない。そういう危機感を持って常にやってます。ただ、外国人GKに負けてるつもりはない。韓国人GKにもいいところはあるし、日本人GKにもいいところはある。やっぱり日本のJ1でやってるGKに力を示してほしいですし、自分自身もやらなければいけないと思います」と42歳になった今もベテラン守護神の負けじ魂は健在だ。
Jリーグ発足直後の94年に清水商業(現清水桜ケ丘)高校から横浜マリノス(現横浜F・マリノス)入りしてから今季でプロ25年目。プレーする環境も日本屈指の名門クラブから、イングランド2部のポーツマス、デンマーク1部のノアシャラン、J1のジュビロ磐田、J2のFC岐阜、J3の相模原と大きく変わったが、川口のサッカーに対する意欲と向上心は衰えるところを知らない。

日本代表としても活躍した [写真]=Getty Images
「まずは情熱がないと、ここまで続けられないんで、一番大事なのは情熱ですね。やっぱり試合に負けたら悔しいし、出れなかったら悔しい。そういう悔しさがなくなったら、それがやめる時なのかなと思います。いろんな感情を前向きなエネルギーにして、ピッチ上でしっかりと表現することが大切だと思います」と自身の哲学を改めて口にした。
現役を長く続けているもう一つの原動力が家族の存在だ。小学校5年生の長女と4歳の長男の脳裏に、勇敢に戦い続ける父親の姿を焼き付けたいという思いが、今の川口の中にある。
「子供たちの記憶に残るくらいまではやりたいかなというのが今のモチベーションですね。特に息子の方はサッカーが好きで、やり始めているんです。僕からは一言も『やれ』とは言ってないのに、本人から勝手にやってくれている。GKもやりたいと言えばやっていいかなと。そういう息子のためにも、しっかりと戦いたいし、納得いくまでやりたいですね」と彼は目を輝かせた。
そんな42歳の大ベテランの胸中を知ってか知らずか、今季から就任した西ヶ谷隆之監督は川口をチームキャプテンに指名した。最年長の熱い男にチーム全体を見て、統括してほしいという願いがあったからだ。
「チームキャプテンとして全体を見る必要はあると思いますけど、自分が試合に出ることを意識してトレーニングに打ち込むことがチームにとってもプラスになる。やっぱり僕は実力で勝負していきたいですね」と本人は語気を強めた。
安永聡太郎監督が指揮した昨季は12位という不本意な結果に甘んじただけに、今季はどこまでチームを立て直せるかが相模原にとっての最重要テーマだ。Jリーグ経験豊富な成岡翔や谷澤達也なども加わり、チームは前向きな方向に進んでいるようだ。

今季でプロ25年目を迎える [写真]=Getty Images
「西ヶ谷監督になってからの相模原はJ3のレベルに満足するんじゃなくて、より上のレベルでやるっていうコンセプトを示しつつ、トレーニングしています。当然ハードワークや運動量も求められる。それを今、作っている段階です。攻撃もクオリティのある選手が加わりましたし、そういう選手たちと今までいる選手が融合してフィットできればチームとしても結果を出せるようになる」と言う川口自身も、清商の先輩である現監督の下でプレーすることで、自身の持ち味をより発揮できるのではないだろうか。
安永監督体制では藤吉皆二朗(現奈良クラブ)とポジションを争う状況だったが、今季はキム・ソンヒョンらを含めて4人のGKで正守護神の座を競う構図。競争は間違いなく厳しくなっている。西ヶ谷監督も川口の経験値を高く評価しているものの、実際のパフォーマンスが悪ければ容赦なくメンバーから外すだろう。水戸ホーリーホックで経験値を積み重ねてきた指揮官にはそれだけの厳しさがある。そこをリスペクトしながら、川口は自らの存在価値をキッチリと示していく覚悟を持っている。
同世代の楢崎正剛(名古屋)も昨季は出場機会を大きく減らすなど、厳しい立場に追い込まれている。40代になればフィジカル的にはどうしても衰える部分があるだけに、そこをどうカバーしていくかが生き残りへのカギとなる。若い頃から際立ったストイックさを誇った川口はベストコンディションを維持すべくあらゆる努力を重ねている。それが報われて、昨季の18試合を上回る出場実績を残し、チームも躍進できれば、理想的なシーズンになる。2018年はこの男のいぶし銀の活躍に今一度、期待したい。
取材・文=元川悦子
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By 元川悦子


