2017.08.11

【土屋雅史氏のJ2展望】京都vs福岡は、福岡の粘り勝ちを予期…松本は敗戦をバネに名古屋に競り勝つと見る

現在9位に位置する松本を率いる、反町康治監督 [写真]=J.LEAGUE PHOTOS
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■流通経済大学 “黄金世代”の同期が、ピッチ上で火花を散らす

 ここ4試合を無敗で乗り切り、9勝9分8敗と星を五分以上に戻した14位の京都と、第19節~第21節以来の連勝で首位湘南の後ろにピタリと付けている2位の福岡が対峙する第27節。この一戦からは流通経済大学が誇る“黄金世代”の2人の再会にフィーチャーしたいと思います。

 得失点差プラス24。2位に勝ち点でも9ポイント差を付け、圧倒的な成績で2度目の関東大学1部リーグ優勝を達成した2008年の流通経済大。その結果もさることながら、この代が今でも語り継がれているのは、何と同じ学年から11人ものJリーガーを輩出したからです。

 新潟に三門雄大、京都に染谷悠太、名古屋に平木良樹、鹿島に宮崎智彦、神戸に楠瀬章仁、熊本に山下訓広と西弘則、水戸に加藤広樹と保崎淳、鳥栖に池田圭、岡山に椎名一馬。この11人が各クラブのユニフォームを着用して同時に開いた“入団報告会”という名の記者会見は、当時も大きな注目を集めたように記憶しています。その中でも大学ナンバーワンボランチと称されていた三門と、リーグのベストイレブンにも選出されていた染谷は、即戦力としてそれぞれ新潟と京都というJ1のクラブでプロキャリアをスタートさせました。

福岡で全試合スタメン出場を続ける三門雄大(左)と、昨季復帰した京都でベテランの味を出している染谷悠太(右) [写真]=J.LEAGUE PHOTOS

 2年目からレギュラーに定着した三門は、ゲームキャプテンを任されるなど、新潟の主軸に成長した後、2014年からは2シーズン半に渡って横浜FMでプレー。昨シーズン途中に残留争いにあえぐ福岡に完全移籍で加わり、今シーズンはキャプテンとして全試合にスタメン出場を果たし、J1復帰を狙うチームを牽引しています。一方の染谷は大木武監督に率いられ、その特異なスタイルでJ2を席巻した2012年シーズンの京都で定位置を掴むと、2年連続で昇格プレーオフにも出場したものの昇格はならず。その後はこちらも2シーズンをC大阪で過ごし、昨シーズンから京都に復帰。若い選手の多いチームにあって、ベテランらしい仕事を披露しています。

 2人が初めてリーグ戦で対戦したのは2010年9月19日のビッグスワンで、揃って終盤に途中出場でピッチに解き放たれた一戦は1-1のドロー。また、今シーズン1度目の対戦は3月12日の第3節。両者がフル出場を果たしたゲームは福岡が2-1で勝利を収めており、相性で言うと、ここまでは三門の“1勝1分”という数字が出ています。現在は好調をキープしている京都と福岡の対戦ですが、染谷と三門の再会にも期待しつつ、今回は福岡がアウェイで粘り強く勝ち点3をもぎ取るという「2」を予想したいと思います。

■松本というクラブの歴史を紡いできた指揮官の“反発力”に期待

 前節は湘南に1-2で競り負け、1つ順位を下げて9位に後退した松本。2010年にはクラブにとって11年ぶりとなるJ1復帰へ導いた古巣を相手に敗戦を突き付けられた反町康治監督は、試合後の会見でも嘆き節が止まりませんでした。

 「まあ、 10位あたりを彷徨っているチームとトップを走っているチームの差は、皆さん見てよーく分かったなと思って、明日の記事に書いて下さい」という“反町節”でスタートした会見の中で、何度も口にしていたのは「相当差がある」というフレーズ。特に先制しながら、ミス絡みで逆転を許した前半の出来にはかなりご立腹の様子で、「ああいうハイプレスにもう完全に負けちゃって、ビビっちゃって、もう誰かにパスして、『ハイ、僕はパス成功したから、次はあなた何とかして下さい』と人任せのサッカーをやってしまうと。だから見ている我々としても楽しくも何ともないですよね」とかなり辛辣な言葉が並びます。

 後半は相手のアンカーに入った秋野央樹にプレッシャーを掛けるため、2トップ気味にシステムを変えて対応したことで、「そこそこうまく行ったと思いますよ」と反町監督自ら口にした成果を得るのはさすがの采配でしたが、「もうサッカーというのは何回も繰り返しますけども、その時には遅いんです」とのこと。「ハーフタイムに『やっぱり獰猛になんなきゃいけないよ』という話をして、少し獰猛になりましたけども、檻を突き破って出るような、そういう力はなかったですね」と独特の表現に、小さくない悔しさが滲んでいたように見えました。

 ただ、こういう試合からの反発力こそ本来の反町監督が持つ真骨頂。J1昇格、J2降格、昇格プレーオフ敗退など、Jリーグ参入後のクラブと歴史を積み重ねてきた指揮官にとって、「相当差がある」状況を選手の起用法や試合中の采配で覆してきたからこそ、今の松本の立ち位置があることもまた間違いのない所です。

リーグにおけるチームの現状を「相当差がある」と表現した反町監督。その差を埋めてきた手腕に期待がかかる [写真]=J.LEAGUE PHOTOS

 J1を戦っていた2015年。反町監督にインタビューをした際、こういう言葉を紡いでいたのが印象的でした。「常に90分、最後の笛が鳴るまでひたむきにやるということをしないと、『あ、手を抜いているな』とかそういう風にお客さんが捉えてしまって、応援したくなくなる人も増えてくると思うので、当たり前のことかもしれないですし、もちろん全部の試合に勝てればそれに越したことはないですけど、どうやって負けるかということも大事であって、負けても良い試合をしたいなというのもあるので、そこは当然ながら自分を戒めてやっています」。あの会見を聞く限り、そのベースは彼の中で微塵も変わっていないはず。前節は7-4という“超乱戦”を制し、連勝を飾った5位の名古屋は難敵ですが、あの湘南戦の次のゲームだからこそ、ここは反町監督率いる松本が反発力を発揮するという「2」で勝負します!

文=土屋雅史

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※本文中の「1」はホームチーム勝利、「0」は引き分け、「2」はアウェーチーム勝利。

■明治安田生命J2リーグ第27節
2017年8月11日(金)18時キックオフ
京都サンガF.C.vsアビスパ福岡(京都市西京極総合運動公園陸上競技場兼球技場)

■明治安田生命J2リーグ第27節
2017年8月12日(土)18時キックオフ
名古屋グランパスvs松本山雅FC(豊田スタジアム)

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