2017.06.07

【ライターコラムfrom松本】目標はJ1自動昇格! 巻き返しを図る松本、「原点回帰」で復調の兆し

J1自動昇格を目指す松本山雅FC [写真]=J.LEAGUE PHOTOS
1978年生まれ、東京都出身。長野県内の新聞社で15年まで勤務し、現在はフリーライターとして松本山雅FCを中心に信州スポーツを幅広く取材。クラブ公式有料サイト「松本山雅FCプレミアム」編集長も務める。

 松本山雅FCの目標はJ1自動昇格だ。だが17試合を消化しての順位は6勝5分6敗の13位で、2位との勝ち点差は8。2012年のJ2参入以降、目標と現在地の距離が最も遠い苦境にあることは間違いない。

「このまま行けばこのまま終わってしまう」。5月で2度目の3連戦となった第15節湘南ベルマーレ戦を黒星で終えた後、反町康治監督はチームマネジメントを「原点回帰」にシフトした。練習のフィジカル強度を一段階上げたほか、器具を使ったウエイトトレーニングも再開するなどさまざまなマイナーチェンジを実施。MF工藤浩平が「去年までに戻った感じで、キツいっすね」と苦笑する一方、新加入のDF橋内優也は「やっと『山雅に来たんだな』という実感がある。成長するためにこれを求めてきたので」とうなずく。

 受け止めは多種多様。だが危機感の高まりは共有されており、選手間でも活発に議論が交わされるようになったという。チームの精神的支柱・DF田中隼磨は「プレーするのは結局ピッチの上にいる選手だから、みんなでしっかり話してやっていきたい。何人かで話をして、具体的には言えないけどやりたいことが少しずつできている。みんなでトライしていくことは大事じゃないですか」と話す。

松本の精神的支柱・田中隼磨 [写真]=J.LEAGUE PHOTOS

 トレーニングの変化自体にも選手間での議論にも、決して即効性があるわけではない。ただ、少なくとも「意識」は変わる。実際に第16節ツエーゲン金沢戦と第17節東京ヴェルディ戦は松本が持ち味としてきた運動量や切り替えの速さ、相手ディフェンスの裏を突く動きなどが活発化。それらの集積によって、本来の「躍動感」を取り戻しつつある。

 特に東京V戦の前半は向こう見ずなほどのハイプレスでビルドアップを妨げ、奪取後も硬軟織り交ぜた自在の攻撃を繰り出した。終盤の失点で勝ち点1に終わりはしたものの、「今シーズンの中で前半が攻撃で一番良かったと思う」という反町監督のコメントは決して強がりではないだろう。さらに長期離脱を余儀なくされていたDF安藤淳、DF當間建文の2人がともに途中出場ながら復帰してきたことも明るい材料だ。

東京V戦では躍動感を取り戻した [写真]=J.LEAGUE PHOTOS

 2連敗を含む5試合勝ちなしの鬱々としたトンネルはひとまず抜けた。今度は上に向かう視界をよりクリアにしなければならず、そのためには白星を重ね続けるしかない。「5月に比べればいい雰囲気でやれているしいい戦いもできている。今度はそれを勝ちにつなげないといけない」とGK村山智彦。その意味でも次節の水戸ホーリーホック戦は、チームの底力が試される。

文=大枝令

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