2017.04.28

【ライターコラムfrom東京V】今季2度目の首位奪取で得た自信…結果から内容を求める“好循環”へ

東京Vは第9節群馬戦に勝利し、今季2度目の首位に立った [写真]=J.LEAGUE PHOTOS
フリーライター。横浜Fマリノス、ジュビロ磐田の公式ライターを経て、2007年より東京ヴェルディに密着。プロ野球でも取材・執筆活動中。

 J2リーグ第9節のザスパクサツ群馬戦に勝利し、今季6勝目を挙げた東京ヴェルディは、第6節終了時に続き、2度目の首位に立った。2012年シーズン以来となるリーグトップの座。まだ10節にも満たない時点での話だけに、ガンバ大阪時代に何度も優勝争いを経験し、現時点での順位が最終結果に直結するとは限らないことを熟知する37歳のベテランMF橋本英郎にかかれば「(現時点での首位は)意味ない!」と、一蹴している。だが、現在主力で出ている選手のほとんどが、J1はもちろん、昇格争いすら経験したことがない選手がほとんどである。まして、ミゲル・アンヘル・ロティーナという、クラブ史上初のスペイン人監督を招聘して迎える未知のシーズンだ。早い時点で一度でも最高位につけられたことは、「このまま信じてやっていけば、大丈夫なんだ」と、選手に自信を植え付けるためにも、非常に大きい。また、「追うよりも、追われる立場の方が、気分がいい」との、MF内田達也の言葉にも象徴されるように、気持ちに余裕ができるからこそ、試合ごとに浮き彫りになる課題に対して、より細かくポジティヴィに修正に取り組めている様子が、日々の練習からもうかがえる。

 そうした中、J2でも下位低迷に苦しんでいたここ数年ではすっかり聞かれることがなくなっていた“悩み”が、選手たちの口から聞かれるようになっている。『内容と結果』の一致の難しさだ。

 「良い内容で、勝つ」というのは、世界中のどのチームもが目指している理想だろう。だが、残留争いに躍起にならざるをえなかった近年の東京Vは、内容以前に、目先の勝ち点3を獲得するために必死だった。しかし、今季になり、状況は一変した。近年すっかり失っていた“自分たちのスタイル”を、スペイン人指揮官は就任直後から真っ先に提唱。リスクを最も嫌い、確実なプレーと守備を第一優先とする中で、高い位置でDFラインからビルドアップしていくスタイルを早々に浸透させ、ここまで6勝3敗という結果に導いてきた。

今季からチームを率いるロティーナ監督 [写真]=Getty Images for DAZN

 だが、開幕戦の黒星を除き、各試合を振り返ると、勝った6試合はいずれも我慢の展開が長く、「自分たちのやりたいサッカーができなかった」。逆に、敗れた2試合は、主導権を握りながらも勝ち切れず「内容は良かったのに…」と、監督も選手も口をそろえる、不思議な状態にある。実際、そこに悩みを感じている選手も少なくないが、昨年まで「結果」だけを求めてきたことを考えれば、明らかな成長。チームを作りながら、「自分たちは、もっといいサッカーができる。強いチームになれる」と、手応えを掴んでるからこそ発生している貪欲さであり、ある意味、ポジティヴな問題だと捉えたい。

 結果が二極化する原因の一つとして、良くも悪くも、前線選手の起用・組み合わせ方によって戦い方が変わる(変えられる)点が挙げられそうだ。だが、G大阪の内容と結果が伴うサッカーの中で経験を積んできた内田達也は「選手の特長を使うも大事ですが、どの選手が出ても、目指すところは目指さないと。そのためには、うしろのビルドアップのさらなる安定が必要。つなぎも守備も、もっと後ろがスムーズさをもたないといけない」と、ボランチの自らに課題を課す。

「今はまだ、『内容も結果も』を求めたら、勝ちきれないのが僕たちの現状。もちろん、内容も求めたいですが、まずは、『勝つ』が一番。勝つサッカーをして、それから内容を求めていくことで、チームとして成長できると思います」と、MF高木善朗は今後を見据える。かつて、J1強豪時代の東京V選手たちが常に追求していた「見ている人も、やっている僕たちも楽しいサッカー」。再びそのフレーズを、今季終盤、ロティーナ・ヴェルディから何度も聞けることを期待してやまない。

文=上岡真里江

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