2015.10.16

中澤佑二、控える500試合出場は『ただの通過点』…貫き続ける“雑草”の信念

中澤佑二
17日の神戸戦に出場すると、J1通算500試合出場を達成する [写真]=Getty Images
横浜F・マリノスを徹底分析するWEBマガジン『ザ・ヨコハマ・エクスプレス』主筆

 手にしてきた勲章を数え始めたらキリがない。ヴェルディ川崎(現・東京ヴェルディ)の一員としてプロデビューした1999年にJリーグ新人王を獲得し、そのシーズンを含めた計6回ベストイレブンに選出されている。移籍した横浜F・マリノスが完全優勝を果たした2004年には最優秀選手賞、つまりMVPに輝いた。代表活動に目を移すと2000年のシドニー五輪代表に始まり、2006年と2010年の2度ワールドカップに出場した。アジアカップには3度出場し、うち2度も優勝している。DFとして確固たる地位を築き、日本サッカー史に名を残す選手となった。



 一方で『苦労人』や『雑草』という印象も根強く残っている。サッカーの名門校ではなかった高校時代は無名のサッカー少年でしかなく、同年代の選手がスポットライトを浴びる冬の高校サッカー選手権には観客のひとりとして参加していた。ちなみにそこでプレーを見て中澤佑二が感嘆の息を漏らしていた選手のひとりが、先日J1通算600試合出場を達成したGK楢崎正剛名古屋グランパス)である。華やかな世界を夢見ながら、自身は日陰の時代を過ごした。そして高校卒業後に単身でブラジル留学し、ヴェルディ川崎の練習生からプロ契約を勝ち取った話は語り草となっている。

 その後のシンデレラストーリーは冒頭で述べたとおりだが、今でも中澤は「自分には才能がない。下手くそですから。自分よりもテクニックがあって才能がある選手はたくさんいた。だから人よりも努力するしかないんです」と真剣な眼差しで言う。自分自身を客観的に分析し、足りない要素を補うための努力を欠かさない。だからこそチームで一番早くクラブハウスにやってきてウォーミングアップを行い、誰よりも遅くまでグラウンドに残ってボールを蹴る。規則正しい生活を心がけ、飲酒や喫煙といった不摂生とは無縁の生活を送る。日々の努力はいつの間にか習慣となり、中澤佑二を形成する血肉になった。

 オフの日にもジョギングや散歩を欠かさず、必ず身体を動かしている。年末年始の長期オフも大晦日や元日を除いてトレーニングを欠かさない。一昨年に1シーズン34試合全試合に出場し(1試合のみ途中交代)、昨年は念願だった34試合フルタイム出場を達成。そして今季も2ndステージ第13節終了時点でフルタイム出場を続けている。37歳になった現在はひざや足首などの関節痛に悩まされているが、筋肉系の故障がないのは日頃の規則正しい生活やメンテナンスの賜物だろう。

 迎える17日のヴィッセル神戸戦で史上4人目となるJ1通算500試合出場を達成するが、本人はその数字にまったく興味がない。答えは簡単である。

「500試合出場を目標にやってきたわけではないので」

 100試合や200試合も通過点だった。幼き日の中澤はプロサッカー選手になることを夢見て、日の丸を背負ってワールドカップに出場することを目指した。したがって例外があるとすれば、500試合への第一歩となった1999年3月13日にセレッソ大阪戦だけである。その試合を「1試合だけど僕にとっては100試合分くらいの価値があった」と振り返る。ただし以降は目の前の試合をガムシャラに戦い、数字を積み重ねてきたのである。

 その間も、そしてこれからも彼は同じ信念を持ってプレーするだろう。

「試合に出続けることは大事。特にDFは途中出場するポジションではないので、監督から計算される選手でなければいけない。でも、試合に出続けることが目的ではない。チームが勝つために、そして優勝するために、自分に何ができるか。そのためにこれからも日々の練習や目の前の試合に全力で取り組みたい」

 試合中のワンプレーはもちろん、日々のトレーニングのワンシーンも、すべては試合でチームが勝利することから逆算されている。プロ17年目で通算499試合に出場し、これまでに積み上げた白星は221試合であった。節目の500試合目となる神戸戦では222勝目を目指す。それだけだ。

文=藤井雅彦

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