2017.04.08

【インタビュー】「人との関わりを大切にしたい」…中村俊輔が磐田でたどり着いた新境地

サッカー総合情報サイト

 4月3日、マルチスポーツブランドのアディダス ジャパンが、味の素スタジアムでスポーツ体験型イベント「YOUNG ATHLETES CHALLENGE」を開催した。2017年春夏シーズンより、アディダスは新カテゴリーの「YOUNG ATHLETES」を発足。未来の日本スポーツ発展のため、子供の足に合わせたシューズ開発を強化する。イベントには応募に当選した小学4年生から6年生までが参加。冒頭に開催されたトークショーには中村俊輔が登場した。

 約13年過ごした横浜F・マリノスを離れてジュビロ磐田への移籍を決断した中村は、新天地で早くも結果を残している。4月1日に行われた清水エスパルスとの“静岡ダービー”では全3得点に絡む活躍で3-1の勝利に貢献。3月の大宮アルディージャ戦では得意のFKで移籍後初ゴールも決めた。

「自分のイメージとは違うことの連続」と話すように、新たなチームメイトたちとの連係はまだまだ発展途上。しかし、今の中村に焦りや気負いのようなものは一切感じられない。「指導者目線で」、「ジレンマさえ楽しむ気持ちで」……。“38歳での移籍”という大きな挑戦によって、中村はまた新たな境地にたどり着いたようだ。

インタビュー・文=国井洋之
取材協力=アディダスジャパン

——第3節の大宮戦で移籍後初ゴール、第5節の清水戦では3ゴールに絡む活躍でした。新天地にはもう馴染めたと言えそうですか?

中村 いや、まだ50パーセントぐらいですね。まだまだ自分のイメージとは違うことの連続ですから。ただ、今はそれさえも楽しめているというか、チームメイトにどう伝えたらうまくいくのかなというのを考えている。指導者目線というか(笑)。それが清水戦のように結果につながる時もあるし、そうでない時もある。そういうジレンマさえも楽しめているというのは、マリノス時代にはなかったことかもしれないですね。今は現役を退いて指導者になった時に「これ、使えるな」という気づきが多いから。

——そうした心境の変化はやはり環境を変えたことが大きかったのですか?

中村 もちろん、そうだと思います。若い選手だったら「とにかく結果を残したい!」とがむしゃらにやるところですけど、これだけ年齢を重ねるといろいろな角度から物事を見られるし、その分、得られるものも多いですね。

——中村選手はFWとのフィーリングを大事にするタイプかと思います。磐田のFW陣との連係はいかがですか?

中村 例えば川又(堅碁)なんてヒドイですよ(笑)。本能的で何も考えてない(笑)。でも、そういう選手をどうやって気持ち良くプレーさせてあげるか、気持ち良く反省させるかというのを考える。そうすると、選手の気持ちも乗ってくるし、練習でも考えながらやるようになる。だから今は、サッカーそのものよりも、人との関わりを楽しんでますね。「なぜこういう動きをしたんだろう?」と思って実際にその選手としゃべってみると、何も考えてなかったとか、実は俺に気を遣っていたとか、そういうやり取りが面白い。それが一つかみ合うだけで点が入ったりもしますから。

——名波浩監督は中村選手のプレービジョンや目指しているサッカーというのは理解してくれているのでは?

中村 理解はしてくれていると思います。でも、名波さんには名波さんがイメージしているものがあって、指示の中には自分の考えと違うこともある。ただ、現役時代にジュビロの黄金期を築いて勝ち癖がついている方だから、そういう人の感覚、意図を学ぼうとしています。

——38歳での移籍はそれ自体が大きな挑戦だったかと思いますが、磐田で挑戦したいこと、成し遂げたいことはなんですか?

中村 人間性を高めることかな。プレーの向上というのは大前提ですけど、それがちっぽけに思えるぐらい、今は人との関わり方でサッカーがどう変わっていくのかというのを追求しています。特にジュビロは、組織としてはそれほど大きくはないですが、名波さんを中心にしっかりと信頼関係というか、絆のようなもので結ばれている。考えていることが一つなんですよ。みんなが同じ絵を描けている。

——4月8日には古巣の横浜FMと日産スタジアムで対戦します。この試合を控えての感覚はどうですか?

中村 正直に言うと、まだ「古巣」という感覚がないんですよね。相手はほとんど知っている顔だし、もしからしたら紅白戦みたいな感覚になるのかもしれない(笑)。名波さんは「俊輔ダービー」なんて言って煽っていますけど、あくまでも34試合のうちの1試合として挑みたいですね。所属チームに勝ち点3をもたらしたい、何より自分がいいプレーをしたいというスタンスは変わらないから。

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