2015.11.09

サポーターに愛されるチームを作ってほしい 久保数人(株式会社gloops 『BEST☆ELEVEN+』プロデューサー)

gloops
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「アプリをリリースした後、ユーザーの皆さんに結構いいレビューを書いていただけるとうれしいですし、励みになりますね」

 アプリ制作の喜びを語ってくれたのは、ソーシャルサッカーゲームアプリ『欧州クラブチームサッカー BEST☆ELEVEN+(ベストイレブンプラス)』のプロデューサー、久保数人さんである。

 今や150万ダウンロードを越える作品となった『BEST☆ELEVEN+』だが、これまでにプロデューサー自身の声が表に出ることは少なかった。

 サッカーを見るのは好きだが、プレーの経験はないという久保さん。それゆえに、ここまでの道のりは決して簡単ではなかったという。

 今回のインタビューでは、開発秘話から自身のサッカー観、今後の目標に至るまで幅広く語ってくれた。

『BEST☆ELEVEN+』は今までで一番大きなタイトル

「最初に就職した会社ではけっこう堅い仕事をやっていまして、元々はシステムエンジニアやプログラマーとしてカード会社のシステムを作っていたんです」

 社会人になる時に「ゲームを作りたい」という目標を持っていたが、タイミングがないまま時間だけが過ぎていった。実際にゲーム制作に携わるようになって、まだ10年もたっていない。

「携帯電話向けのゲームが出てきたタイミングでやっとゲームを作るようになったんですが、当初はコンパクトなミニゲームが多かったんですよ。だから今まで制作した中で一番大きなタイトルが、実はこの『BEST☆ELEVEN+』かもしれないですね」

 前の会社を退職してフリーになった時、個人的に様々なアプリを作るようになった。そうした小さな積み重ねが、今の仕事につながっている。

「個人でアプリをたくさん作っていたところ、現在の所属先であるgloopsから『ディレクションをやる人を探している』ということで声を掛けていただき、今に至っています」

 久保さんにとって初めてのサッカーアプリ制作。しかも、リリースの時期も決まっていた。時間がない中での開発には、様々な苦労があったという。

「AndroidやiPhone向けにgloopsが初めて開発したアプリなんですけど、最初に企画の話が来てから実際にリリース申請するまで半年ないぐらいだったんです。ですから、それに間に合わせるために企画の調整をして、当初、考えていたものよりも絞った内容にしました。その上でバージョンアップの際に要素を足していくなど、そういうやりくりをしなければいけなかったので、そこはけっこう苦労しましたね」

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「最強」ではなく「最高」、その意味とは

 カードゲームになった理由は、契約上、動きをつけたものができなかったためだという。実際のアクションが使えない中で、サッカーの魅力を引き出すには、どういった工夫が必要だったのだろうか。

「サッカーゲームの面白さっていろいろあると思うんですけど、このゲームに関しては個人技の部分が使えないので、組織作りや、監督としてチームの戦術、戦略を指示する部分の面白さにフォーカスしたゲームにしようというところから進めました」

『BEST☆ELEVEN+』はシンプルでカジュアルに遊べるゲームだが、その中で久保さんのサッカー観やこだわりはどこに反映されているのだろうか。

「プロのスポーツって、やっぱりサポーターやファンあってこそ成り立っているものだと思うので、多くのサポーターに愛されるチームを作るようなゲームにしたらいいんじゃないかと。『BEST☆ELEVEN+』は『最高のクラブチームを指揮しよう』というのをメッセージとして出しているんですけど、その『最高の』とうたっている理由が、まさにその部分ですね。ただ強いだけじゃなく、好きな選手で組織された最高のチームという意味と、サポーターにも愛されているという意味での最高のチームを作ろうというコンセプトにして、そこにこだわってこれまでやってきました」

 ユーザーの中には、カードのデザインに感心した方も多いのではないだろうか。そういった細かいところにも、久保さんはこだわりと自信をのぞかせる。

「弊社は元々、ソーシャルカードゲームに強い会社で、制作の部分にこだわりのあるメンバーが非常に多いです。デザインについても、サッカーが好きでカードデザインを数多く手掛けてきたメンバーが作っていますので、そのあたりが評判をいただいている要因だと思います」

 リリース後も、改善には余念がない。

「毎年、シーズン切り替えの前にデザイナーの席に集まって、デザイナーが作ったいくつかの案に対して意見を出し合うんです。サッカー好きなメンバーの意見を取り入れつつブラッシュアップしていくので、カードのレア度が高くなればなるほど手の込んだかっこいいものになっていると思います」

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大切なのは、どこに価値を置くか

 今はインターネット社会だ。当然、ユーザーからの厳しい声も上がってくる。久保さんにもユーザーの声は届いている。

「やっぱり作り手がこういう面白いものだよって提案できて初めて物づくりとして成立するので、言われたことにただ従うのではなく、意見を受け止めた上で、自分たちのコンセプトに合わせつつ、どういうものがあればいいか、といったところまで昇華した上で作るものを決めています」

 もちろんユーザーだけでなく、一緒に運営していく開発スタッフも大切な存在だ。プロデューサーとしてどういったコミュニケーションを取っているのだろうか。

「新しいスタッフが入るたびによく言うのは、やはりコンセプトの部分ですね。特に新しく入ってきてこられた方は、過去にゲームを見たことがあったとしてもどこが大事でどういうこだわりを持って作っているかはなかなか知ることができないですから。現在のアプリでコンセプトを完璧に表現できているわけではないので、バージョンアップを繰り返しながら、コンセプトや表現したいことに近づいていければと思っています」

 自身の経験をシンプルに伝えること。それが現場のチームワークにつながっている。

「どこに価値を置くか、どういう魅力を出していくか、という部分が明確にならないと、ぼんやりとしたものができ上がるといいますか、どこが魅力なのか分からないものになる傾向があるので、そこだけはしっかりやっていこうと。そこがブレると、うまくいかないことが多いですから」

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コミュニケーションツールの一つに

『BEST☆ELEVEN+』をもっと広く遊んでもらうための試行錯誤も続けているという久保さん。今後、どのようなサービスを提供しようと考えているのだろうか。

「例えば動画で、放送している側と見ている側で対戦できる機能とか、そういったコミュニケーションが活性化されるものが作れたらいいなと思っています。『このゲームでこのチーム作ったけど対戦しようよ』みたいな方向に持っていけたら面白いんじゃないかなって。サッカーファン同士でこのゲームで遊んでもらい、会話が弾むぐらいになれば、もっと多くの人に楽しんでもらえるんじゃないかなって思っています」

 久保さんは最後に、サッカーファンと『BEST☆ELEVEN+』ファンへのメッセージを語ってくれた。

「今は14/15シーズンのカードが出ているんですけど、15/16シーズンのカードももちろん出す予定ですし、バージョンアップも継続して検討しています。今回、ブンデスリーガが追加されて日本代表選手も今までより多く出せるようになりましたので、欧州サッカーファンだけではなく、広い意味でのサッカーファンの方たちに遊んでもらえるよう努力していきますので、ぜひ遊んでみてください」

インタビュー・文=椿山弘明(サッカーキング・アカデミー
写真=高山政志

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