2016.07.21

武藤雄樹 × 武藤敬司 #ダブル武藤(前編)

Photo by Shin-ichiro KANEKO

浦和レッズの選手と異業種の多様なプロフェッショナルが熱いトークを展開する連載対談企画『RS(アールズ)』。
第2弾は“武藤”とういう共通点から、武藤雄樹とプロレスラー・武藤敬司の対談が実現した。

武藤雄樹(むとう・ゆうき)
1988年11月7日生まれ、神奈川県出身。武相高から流通経済大を経て2011年にベガルタ仙台へ加入。4年間で70試合6得点という成績を残して2015年に浦和レッズへ移籍すると、一気に得点力が開花。周囲と連携した効果的なポジショニングからチャンスに絡み続け、同年は13ゴールでチーム得点王に輝いた。同年夏の東アジアカップでは日本代表デビューを果たし、代表初ゴールもマーク。ツイッターアカウントは @yuukimutou
武藤敬司(むとう・けいじ)
1962年12月23日生まれ、山梨県出身。1984年に新日本プロレスに入門。蝶野正洋、橋本真也とともに“闘魂三銃士”として名を馳せ、天性のセンスを武器に数々のタイトルを獲得。「グレート・ムタ」としては世界を股にかけて活躍した。2002年に全日本プロレス代表取締役社長就任。2013年に新団体WRESTLE-1を旗揚げし、現在はプロレス総合学院の校長として後進の育成も手掛ける。ツイッターアカウントは @muto_keiji

待ちわびた初邂逅、
思い出す過去の記憶。

武藤雄樹 やっぱりリングっていいですね(笑)。

武藤敬司 この前(4月6日)、後楽園ホールで上がったじゃん。


Photo by Masashi ADACHI

武藤雄樹 あの時はめちゃくちゃ緊張していたんで、あんまり覚えていないんですよ。かなり弾力があるなと思ったんですけど、意外と柔らかいんですね。

武藤敬司 試合用のリングとトレーニング用はちょっと違うんだよね。これは練習用のリング。あの時、プロレスを生で見たのは初めてって言ってたよね?

武藤雄樹 そうなんですよ。ぶつかる音もそうだし、とにかく迫力がすごくて。「戦ってるなー!」って感じがすごく伝わってきてワクワクしましたし、本当に面白かったです。実は父が武藤さんの大ファンで、後楽園ホールにも来ていたんですよ。試合中もずっと技の名前を解説していて、僕がリングに上がって武藤さんと一緒に立ったことにすごく感動したみたいでした。

Photo by Masashi ADACHI

武藤敬司 試合が終わってから一緒に写真を撮った人だよね? お父さん、おいくつ?

武藤雄樹 49歳です。

武藤敬司 マジで!? 俺より年下じゃん。俺、今年で54歳だからさ。ちょっとショックだなあ(笑)。じゃあ、お父さんの影響で子供の頃からプロレスは見ていたの?

武藤雄樹 そうですね。よく見ていましたし、プロレスのゲームでも遊んでいました。

武藤敬司 お父さんの年代くらいがちょうどプロレス人気のピークだからね。

武藤雄樹 やっぱり「武藤」という名字では武藤敬司さんが一番有名な人だと思っていましたし、僕が「武藤です」って自己紹介すると、だいたいの人が“LOVEポーズ”をするんですよ(笑)。だから子供の頃からずっと注目して見ていました。

武藤敬司 そう言えば、俺が見に行った試合(5月3日/AFCチャンピオンズリーグ グループステージ第6節 浦項スティーラーズ戦)で最後にいざこざになってたよね? あれ、何があったの?

武藤雄樹 相手選手が腕に巻いていたテーピングをピッチに捨てたんですよ。それをうちの選手が「拾えよ」って言ったら、わざと向こうの選手が拾ったあとに投げ捨てて挑発してきたんで、それでみんなが怒って。「うちのホームでやるなよ」って感じでちょっともめてましたね。

武藤敬司 ああいうシーンは血が騒ぐよね(笑)。殴り合いになったりする時もあるの?

武藤雄樹 いや、それはないですね(苦笑)。小競り合いで手が当たったくらいでも退場になっちゃうんで。

武藤敬司 試合が終わった後でも?

武藤雄樹 審判が見ていれば、レッドカードが出てしまいますね。

武藤敬司 そういうものなんだ。じゃあ、競技場を出てからは?

武藤雄樹 出てからは大丈夫ですけど、そこだと違う問題になると思います(笑)。

武藤敬司 サッカーとか野球は小さな子供たちが多く見ているし、やっぱり暴力的なところは見せたらいけないよね。俺たちは完全に正反対で、体と体のぶつかり合いなんだけど(笑)。

武藤雄樹 でも、あれだけぶつかり合う試合を見ることでワクワクする気持ちはありましたよ。僕がやったら退場になっちゃいますけど(笑)。武藤さんもサッカーをスタジアムで見たのは初めてだったんですよね?

武藤敬司 そうそう。野球は見たことがあったけど、サッカーは初めてだったね。お客さんがたくさん入って、かなり熱い雰囲気だなと思いましたよ。でもまあ、武藤くんの出番がなかったのは残念だったけどね(笑)。

Photo by Shin-ichiro KANEKO

武藤雄樹 すみません(苦笑)。ホントは武藤さんの目の前でゴールを決めて“LOVEポーズ”をしたかったんですけど、さすがに監督に「武藤さんが見に来てくれるから(試合に)出してください!」とは言えなくて……。

武藤敬司 次に行く時は頼むよ(笑)。でも、見ていてすごいと思ったのは、純粋にサッカーを楽しめた部分だけじゃないんだよ。俺たちもプロレスというエンターテイメントの中で生きていて、そういった部分で勉強させられたというか。今回はVIPで招待してもらって、ケータリングがついている部屋で、あんなにおいしいものを食べて、ワインを飲んで、それでサッカーを見るわけだよね。さらにそこへ武藤くんたちがあいさつに来る。ああいうところはしっかりしているよね。だからちょっと勉強になったなと。

武藤雄樹 いつもパートナーの皆さんが見に来てくれているんですけど、試合に出ているとあいさつに行けないので、今回は行かせてもらったんですよ。

武藤敬司 そうだよね。試合に出ない人がやるんだよね?

武藤雄樹 はい。あの日は僕と遠藤航選手であいさつをさせてもらいました。パートナーの皆さんが支えてくれているおかげでクラブがあるわけなので、少しでも感謝の気持ちを伝えられたらと思っています。

武藤敬司 なるほどね。ちょっと聞きたかったんだけどさ、俺の記憶では1990年代に初めてJリーグがスタートして、最初はすごく伸びるのかなと思ってた。やっぱり同じスポーツエンタテインメント業界で考えると、お客さんを集めることに関しては“強豪”だし、どこまで行くんだろうと思っていたけど、一回衰退したよね?

武藤雄樹 そういう時期はありましたね。

武藤敬司 で、傍目から見ていると、そこから地域密着で復活した感じがあってさ。俺、山梨県出身なんだけど、ヴァンフォーレ甲府もそうだし、浦和だったら浦和レッズが街を巻き込んでやり出してから復活しているなって。サッカーは地元で応援してくれる人が多いよね?

武藤雄樹 そうですね。最近はホームタウンのパートナーさんも地道に増やしていって、大きな流れに左右されないように常に地元と一体になって進めている感じはありますね。

武藤敬司 ちょうど一カ月くらい前かな。神奈月と一緒に仙台市の泉中央ってところでイベントをしに行ったんだよ。近くにスタジアムがあってさ。浦和に来る前はそこにいたんだよね?

武藤雄樹 はい。僕もまさに泉に住んでいました(笑)。

武藤敬司 それで今は浦和レッズと契約してプレーしている感じ?

武藤雄樹 そうですね。

武藤敬司 じゃあ、プロレスと同じだ。あれだけ大きなスタジアムがあるんだから、浦和は儲かってるでしょ。月に何回くらい試合するの?

武藤雄樹 リーグ戦だと月2回で、週半ばに違う大会の試合が入っても、多くて月に3試合くらいですね。

武藤敬司 それくらいしかないんだ。そこもまた考えどころだね。野球はほぼ毎日やってるのに。

武藤雄樹 サッカーで90分間の試合を毎日やるのはちょっとムリですね。

武藤敬司 俺が全盛期の頃に行ってたアメリカのWCWって団体は、年間300試合くらいやってたよ。

武藤雄樹 すごいですね。それ、ほとんど毎日じゃないですか(笑)。

武藤敬司 しかも土日はダブルヘッダーだったりするから、昼間の試合後に移動して夜に違う会場でやったり。

武藤雄樹 すごい。でも、ケガが心配ですね。

武藤敬司 そう。でも、ケガもできないからね。特にメインイベントで出るような選手は団体の“顔”だからさ。年間300試合はさすがに疲れたよ。俺はアメリカへ行ったけど、仙台から浦和へ来たみたいに海外へ挑戦したいという気持ちはないの? もし明日ヨーロッパのチームからオファーが来たらどうする?

武藤雄樹 ヨーロッパへ行くことも一人のサッカー選手としては夢というか、目標としてありますね。もちろん年齢とかタイミングとか、いろいろ考えることはすごくありますけど。

武藤敬司 話は来てるの?

武藤雄樹 いや、全く来てないです(苦笑)。ただ、やっぱりサッカー選手は寿命が短いので、チャレンジしたいという思いはあります。

武藤敬司 今はツイッターとかでいろいろと絡ませてもらっているけど、最初に武藤くんを知ったのは、日刊スポーツだったかな。

武藤雄樹 最初は紙面を通じてのやり取りでしたよね。僕としては勝手に“LOVEポーズ”をやるのが怖かったんですけど、新聞記事を通じて「無敗優勝したらやっていい」っていう話をもらって。去年の(明治安田生命J1リーグ)ファーストステージで無敗優勝を決めて、初めて“LOVEポーズ”をやらせてもらったんです。

Photo by Getty Images

武藤敬司 そうだったね。ちょっと前(4月16日/J1第7節ベガルタ仙台戦)になるけど、槙野(智章)くんと一緒にパフォーマンスをしてくれたよね。最後は槙野くんの毒霧に全部おいしいところを取られていたけど(笑)。

武藤雄樹 そうなんですよ。槙野くんが試合前から「お前の“LOVEポーズ”に合わせて俺が毒霧するパフォーマンスをやろう!」と言っていたのでゴールを決めることができたのは良かったんですけど、いざやろうとした時に「ちょっと待て! まだ水を含んでない!」って準備してたんで、そっちに注目が集まっちゃいました(笑)。

武藤敬司 だから間があったんだ。あと、ちょっと(LOVEポーズ)の指が硬いよね。あのポーズはももクロ(ももいろクローバーZ)のメンバーのほうがうまいな(笑)。まあ、でも実は何でもいいんだよ。それに“LOVEポーズ”が出るってことは点が取れているわけだからいいことだよね。

Photo by Masashi ADACHI

武藤雄樹 そうですね。僕が浦和レッズに来てから、ゴールを決めた試合では負けたことがなくて(編集部注/2016 明治安田生命J1リーグファーストステージ終了時点で15勝1分け)

武藤敬司 それは素晴らしいね。

武藤雄樹 なので、「自分がゴールを決めたら大丈夫だ」って自信を持ってプレーしています。

Photo by Shin-ichiro KANEKO

ライバルとの切磋琢磨が
自分を大きく成長させる

武藤雄樹 さっき「年間300試合くらいやっていた」って言ってましたけど、武藤さんはどんなことに気を遣いながらプロレスをしてきたんですか?

武藤敬司 もうホント、いつもギリギリだよ。ひざも悪いし。やっぱり一番気をつけなければいけないのはケガ。気遣ってきたことと言えば、普通の答えになっちゃうけど、やっぱり練習を大事にすることかな。プロレスはサッカーとは少し形態が違って興行だから、メインイベントに出るような選手になればなるほど休めなくなる。若手なんかは組み替えても影響がなかったりするけど、メインイベントのタイトルマッチをやったりすると、なかなか休めないしケガもできない。あとはやっぱりプロレスに対する愛情ですよ。“プロレスLOVE”の気持ち。たぶん武藤くんもきっとサッカーが大好きなんだと思うけど。

武藤雄樹 それは間違いなくそうですね。僕はまだそんなに大きいケガをしていないですけど、やっぱりケガをしないように気にはしていますし、サッカーが大好きという気持ちは変わらないですね。ちなみに30年間やってきた中で転機になったようなことはありました?

Photo by WRESTLE-1

武藤敬司 俺らも肉体を使う商売だから、40歳くらいで定年だろうなとか思うのよ。ひざも悪かったし。だけど、やっぱりプロレスしかやってきていないから、他の何かでは勝ち残れないと思ってさ。それでプロレスに携わって生きていこうと考えたわけよ。ちょうど全日本プロレスのジャイアント馬場さんが亡くなったタイミングで新日本プロレスから移籍して、そこで一国一城の主になったことかな。それまで在籍していた新日本プロレスが総合格闘技みたいな路線を打ち出したことに方向性の違いも感じたし、やっぱり“プロレスLOVE”だったんだよね。武藤くんも仙台から浦和に移ったのは大きな転機になったんじゃない?

武藤雄樹 そうですね。しかも僕は仙台であまり試合に出ることができていなかったので……。

武藤敬司 そうなの?

武藤雄樹 大学を卒業してから仙台で3年間プレーしたんですけど、スタメンとして定着できていたわけではなかったんですよ。その中で浦和が声を掛けてくれて、自分も気持ち新たにもう一回頑張ろうと思いました。そこからですね。

Photo by Shin-ichiro KANEKO

武藤敬司 浦和に来て何が一番変わった?

武藤雄樹 やっぱり自信がついたことが一番ですね。仙台ではあまり点を決めることができていなくて、「俺、大丈夫なのかな……」という不安な気持ちもあったんですけど、浦和に来てゴールを重ねることで自信が出てきて、試合に向けても余裕も生まれた。今はそういった好循環にあるので、それが次のゴールを生んでいるのかなとは思いますね。

武藤敬司 仙台から浦和へ移籍する時に不安はなかったの?

武藤雄樹 そこですよね。仙台で結果が出ていないのに、より強いチームに行って大丈夫なのかなっていう(苦笑)。

武藤敬司 でも、それは(浦和の)監督なりコーチに見初められたんでしょ?

武藤雄樹 そうだと思います。ただ、どこにいても試合に出られる保証はないですからね。チームには選手が25人くらいいて、出られるのは限られた人だけ。そこでチャンスをつかむかどうかですから。不安はありましたけど、自分に期待したいという気持ちがありました。浦和はチーム全体のレベルがすごく高いですし、ライバルも多いので、自分がレベルアップできるかなとも思いましたし。

Photo by Shin-ichiro KANEKO

武藤敬司 チーム内の競争は激しそうだよね。ライバルか……。俺のライバル、みんないなくなっちゃったんだよな(苦笑)。死んじゃったやつもいるし、一線を退いたヤツも増えた。ほとんどいなくなったもん。でもまあ、やっぱりアイツらがいたから自分がいるってところもあるからね。俺は“闘魂三銃士”の蝶野(正洋)とか橋本(真也/故人)と比較されることが多かったけど、この二人は同期のライバルでありながら、世代闘争とか他団体との戦いでは同士だった。だからライバルであり仲間でもあるわけ。それってサッカーも同じだよね。

武藤雄樹 そうですね。サッカーもチーム内のポジション争いが一番のライバル関係だと思います。ただ、武藤さんと一緒でみんなで優勝に向かってやっていて、ライバルでありながら一緒に戦う仲間でもあるので、そこは難しいですよね。例えばライバルの選手が活躍して試合に勝つとうれしい反面、自分の出番が減ってしまうかもしれないという危機感はあります。

武藤敬司 確かにチームメメイトが一番のライバルかもしれないね。それだったら別団体とか別チームで比較されるような選手のほうが気が楽だよね。身近に一番のライバルがいるのはキツいな。

武藤雄樹 毎日が争いですからね。

武藤敬司 もしかして誰かがケガをして喜んでいる人もいたりするんじゃない?

武藤雄樹 チームとして戦っているので、さすがに露骨に喜ぶ選手はいないですけど、心のどこかでチャンスだと考えているとは思います。そこで結果を出せるかどうかでサッカー人生が大きく変わることもありますから。

武藤敬司 俺みたいにあんまりサッカーに詳しくない人に、武藤くんのプレーの特徴を教えてよ。

武藤雄樹 そうですね。僕は身体が大きくないですし、足もそんなに速くはないんですよ。上背も特別大きくないので、サッカーに対してすごく考えながらやってきたことに関しては自信を持っています。フィジカルで上回る相手選手にどうやって勝つのかを考えたり、身体が小さいからスタミナを生かして走り回らなければいけないとか、そういう部分は自分の中でたくさん考えてきたとは思います。

武藤敬司 190センチの選手にヘディングで勝ったりする?

武藤雄樹 いや、それはほとんどないですね(笑)。僕は170センチしかないので、190センチの選手にヘディングで勝つのは難しい。だったら小回りで勝つことだったり、自分が優位に立てる部分を探していかなければ生き残ってはいけないと考えて取り組んできました。例えばヘディングの競り合いだったら、先に体を当てて相手の重心を崩すように仕掛けたりもします。

武藤敬司 合理的にいろいろと計算しているってことだよね。それは立派だ。その中で誰にも負けない部分を持っていたりするの?

武藤雄樹 常にゴールを狙い続ける姿勢ですかね。サッカーって基本的に90分間ずっと集中することは難しくて、どこかで必ずスキが生まれる。だから相手のそういうところは「絶対に逃さないぞ!」という気持ちは持っています。僕のゴールはほとんどが何人もかわして決めるような綺麗なシュートじゃなくて、相手のミスを突いて打ったものだったり、相手から見えないところに走っていって決めたり。そういった部分を狙っていることが、自分にとって一つのゴールの形なのかなと思っています。「武藤ってゴール前のおいしいところにいる」とか「ラッキーだ」とか結構言われるんですよ。自分のプレーを言葉で説明するのは難しいんですけど、それって僕の中では考えて行動していることなんですよね。


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武藤敬司 先を読む力、だね。

武藤雄樹 そうなんです。だから僕の中では「ラッキーじゃないよ!」って思っていて(笑)。まあ、そう思われたとしてもしっかりゴールを決められるのは、自分の大きな特長の一つだと思います。

武藤敬司 ちょっとした心理学みたいだね。

武藤雄樹 確かに精神的な駆け引きはありますね。心理的な部分なのか、相手がちょっと目を離したスキに走ってマークを外すとか。そういった見えないところでの駆け引きはたくさんしています。

Photo by Shin-ichiro KANEKO

武藤敬司 でも、中には「こいつ、天才だ!」って思うヤツもいるでしょ?

武藤雄樹 いますね。パワーもテクニックもスピードも兼ね備えた選手はいますし、あんまりちゃんと練習してなさそうなのに何でもできちゃう人もいる(笑)。中にはそういう選手もいますけど、それだけでサッカーが成り立つわけではないですし、その一方で黒子に徹する選手も必要ですから。

武藤敬司 そこが俺の言った“LOVE”の精神だよね。いかに好きになるか。好きになれば、そこで頑張れるわけだから。でも、どうして浦和で試合に出られるようになったと思う?

武藤雄樹 浦和のサッカースタイルや戦術が自分に合ったのが大きかったですね。あと、先ほどの話ではないですけど、もともと試合に出ていた選手がケガをして、僕に出番が回ってきたんです。その試合で点を決めることができて、そこからスタメンの座を確保できた。そういうきっかけもあったので、何かが変わったというよりも大事なチャンスで決めて、自分に自信が出たことが一番大きかったと思いますね。

武藤敬司 それはデカいよね。やっぱり気の持ちようでプラスに転じることって多いから。「病も気から」って言う言葉があるくらいだし。ただ、肉体は合理的にできているから、俺たちが身体を作るにあたって練習だけでは筋肉はつかないし、栄養と休息との3つのバランスがそろわないと筋肉は育たない。成長ホルモンって睡眠時に出るものだから。だから、俺が見に行った試合で武藤くんが出なかったのは仕方ないと思ってるよ。

武藤雄樹 すみません(苦笑)。でも、確かにそれが次の試合に向けての準備でもありますからね。武藤さんは一年間に300試合をこなしていますけど(笑)。

武藤敬司 でも、今は年に10試合くらいしかやっていないからさ(苦笑)。

取材・文=青山知雄

後編はコチラ

Photo by Shin-ichiro KANEKO

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