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そのプレー“予測不能”…2季目で本領発揮、シティの柱になったグリーリッシュ

2023.07.16

[写真]=Getty Images

 予測不能の複雑系。そこにジャック・グリーリッシュの強みと魅力の一端があるかもしれない。ボールを持てば何でもできる。パスかドリブルか、中か外か、直進か旋回か、停止か加速か。敵の守備者は先の展開を読み切れず、企図を悟った頃にはすでに手遅れというわけだ。

 昨今流行りのスピードスターではない。高さや強さに恵まれているわけでもない。それでも“人球一体”の鋭い仕掛けはトリッキーにしてクリエイティブ。付け入る隙を与えない独特のリズムと天性のボール扱いで刺客を出し抜き、決定的な仕事をやってのける。そうした光景を目の当たりにすれば、伊達にマンチェスター・シティの『10番』を背負っているわけではないことがわかるだろう。しかも、華のある存在だ。確かな実力に甘いルックスと明るいキャラが加算され、スター然とした雰囲気を醸し出す。もっとも、品行方正なエリートだったわけではない。若い頃は素行不良の悪童《バッドボーイ》として名を馳せたこともある。その件を含め、マンCに加わるまでのキャリアは実に興味深いものだ。

 イングランド中部のバーミンガム出身。6歳の時に地元クラブである名門アストン・ヴィラのアカデミーに入団し、16歳を迎えた2011年にトップチームへ昇格する。だが、すぐに芽は出ず、ノッツ・カウンティへの武者修行を経て、ブレイクのきっかけをつかむ。2014-2015シーズンのことだ。ヴィラへの復帰を果たし、めきめきと頭角を現す。やがて主軸に収まると、プレミアリーグの残留に貢献し、さらにはFAカップで決勝に勝ち上がる快進撃の一翼を担った。ところが、である。その後の2シーズンは素行の悪さばかりがメディアで取り上げられることになった。ナイトクラブでの夜遊びが発覚した時はセカンドチームへの降格を言い渡され、ホテルで騒ぎを起こした際はリザーブチームへの追放処分を味わっている。いずれもシーズン中の出来事だが、2部へ降格した2015-2016シーズンのオフにはバカンス先のテネリフェ島で泥酔し、路上で眠りこける写真が広く出回った。

 こうしてバッドボーイのレッテルを貼られることになったが、2017-2018シーズンを境に人が変わる。かつてイングランド代表のセンターバックとして活躍した重鎮のジョン・テリーがヴィラに加入。これに伴い、精神面で成熟したグリーリッシュは新たに『10番』を着用し、プレミアリーグ昇格へと導くキーパーソンとして躍り出る。そして翌2018-2019シーズン、キャプテンとしてチームを力強く牽引し、昇格プレーオフを勝ち抜く原動力となった。この一件がグリーリッシュにどんな影響をもたらしたかは想像に難くない。高祖父はかつてヴィラの一員として活躍し、得点王にもなった名手。そんなヴィラ一家で育ち、自身も4歳からシーズンチケットを握りしめ、スタジアムに通い詰めている。そんな愛するクラブをトップリーグに復帰させた実績は彼自身をひと回りも二回りも成長させ、次なるステージへと引き上げる導火線となった。

 事実、昇格後の2シーズンにわたってヴィラの残留に貢献。敵の包囲網を縦横に切り裂き、ゴールとアシストを積み上げるグリーリッシュの株は自ずと人気銘柄となった。そして2021年の夏、実に1億ポンドの高値でマンチェスター・シティに引き抜かれる。かねて獲得を熱望していたのがほかでもない、ペップ・グアルディオラ監督だった。加入1年目こそ《ペップ式》への適応に苦しみ、3得点3アシストと平凡な結果に終わったが、2年目を迎えた昨シーズンに見事覚醒。ペップが「まさしくヴィラ時代の姿。実に素晴らしかった」と褒め称える出色のパフォーマンスを演じ、その名声を確たるものにした。

 左ワイドのポジションから鋭くアクションを起こし、次々と決定機を生み出す躍動的な姿はまさにヴィラ時代のそれ。ひとたびボールを持てば、おいそれとは捕まらず、ファウル以外にほぼ止める手立てはなかった。しかも、大一番になるほど真価を発揮するあたりがスターたる所以。大量4ゴールを奪い、レアル・マドリードを完膚なきまでに叩きのめしたUEFAチャンピオンズリーグ準決勝第2レグもそうだ。タッチライン沿いで対峙したダニエル・カルバハルを手玉に取り、卓越したキープ力で味方を好位置へ送り込む時間を作り出した。相手の息の根を止めるフリアン・アルバレスの4点目を導いたのも、グリーリッシュの鮮やかなスルーパスだった。

 他のアタック陣とイメージの共有が進んだのも好調を支えた要因だ。ケヴィン・デ・ブライネとのポジショナル・スイッチで中央のエリアに潜り込み、鋭いラストパスを繰り出すケースも増えた。とりわけ、親友となったアーリング・ハーランドとはピッチの上でも相性抜群。その好例がプレミアリーグ第30節のサウサンプトン戦。ハーランドが自ら「会心の一撃」と認めるバイシクルショットは、グリーリッシュの狙い済ましたクロスを仕留めたものだ。いったい、何をやるのか。予測しがたいグリーリッシュの企図を仲間たちだけが知っている。そうした理想の関係こそ、マンチェスター・シティの大いなる強み。その中で水を得た魚のように躍動する『10番』は見る者の期待をあおり続けるはずだ。

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