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「絶対取り返す」 チームの気持ち乗せた近賀ゆかりのWE初得点…S広島Rが完敗を糧に逆転勝利

2023.03.20

WEリーグ初得点を挙げた近賀ゆかり [写真]=J.LEAGUE

 小川愛のFKがファーに伸びると、そこに飛び込んだのは近賀ゆかり。頼れるキャプテンが渾身のヘディングで同点ゴールを決めて逆転への狼煙を上げた。

 サンフレッチェ広島レジーナは18日、Yogibo WEリーグ第11節でマイナビ仙台レディースをホームに迎えた。前節はアウェイで大宮アルディージャVENTUSに0-5という衝撃的な大敗を喫したが、今節はその悔しさを糧に2-1の逆転勝利をつかんだ。

 前節の大敗を受けて、近賀はチームに「気持ちが大事になる」と伝えていたという。試合前日には「跳ね返す力を見せたい」と意気込んでいた。ただ、今節も試合の立ち上がり3分に失点。相手に詰めの甘さを突かれ、前節と同じような時間帯、同じような形で先制点を許した。2試合連続で立ち上がりの失点は明らかな課題。前節はそこから建て直せずに失点を重ねた。

 だが、今節は失点後が違った。ボランチでフル出場した小川は、「残っている時間も多かったので、一回落ち着いて自分たちのペースでボールを回して、ゴールに迫っていこうと声をかけ合って、焦らずプレーできたのが良かった」と切り替えを明かす。

 チームが慌てずプレーを続けられたのは前節の悔しさがあったからこそ。右サイドバックでフル出場した近賀は、「前節同様に早い時間で失点してしまって、そのあと崩れなかったのは前回から学べたところ」と話す。

「前節から学んだとは言っても、(早い時間での失点を)繰り返してしまったという思いがあって、そこで一段と引き締められたと思う。『絶対取り返すんだ』という気持ちはみんなの中であった。守備では『絶対に失点を重ねない』と意識してやっていました」

 チームの気持ちがゴールに結びついたのは25分。左サイドからのFKで小川がゴール前へボールを送る。狙いは少し手前だったが、ボールが浮いてファーに伸びた。それが結果的に相手GKの頭上を超えて、一番後ろに飛び込んだキャプテンの頭へ向かう。

 近賀は「あそこに来る感じがあった」とチャンスで嗅覚が効いた。勢い良くファーに飛び込んだが、目の前で左山桃子が相手選手と競り合っていたため、視界は悪かった。「気づいたらボールが来ていた」。しかも相手選手には体を当てられている。それでも、気持ちで押し込むように頭で叩き込んで待望の同点ゴールを挙げた。

 近賀はこれがWEリーグ初得点。2シーズン目での初ゴールに「時間がかかってしまった」と笑顔をこぼす。「申し訳ない気持ちもあったけど、決められてホッとしました。また取れるように頑張ります」

 キャプテンの得点がチームを勢いづけた。キッカーの小川は「セットプレーで苦しい時間帯での得点はチームの流れを変えてくれる」と振り返る。その後もピンチはあったものの、球際や攻守の切り替えで気持ちの入った戦う姿勢を見せた。

 58分には、柳瀬楓菜が瀧澤千聖との連携からペナルティエリア右に侵入してシュート。そのこぼれ球に反応した大内梨央が体を投げ出して相手のクリアを顔に当てる。どちらもクロスバーに跳ね返されたが、最後はエースの上野真実が頭で押し込んで逆転。終盤に相手の反撃を受けたが、GK木稲瑠那のスーパーセーブなどで守り切り、4試合ぶりの勝利を収めた。

 この日はホーム初の声出し応援もレジーナの背中を押した。近賀は、「今日みたいな展開になればより力を感じるし、本当に勝てて良かった」と語った。小川はホームの声援を受けて勝利をつかみ、「本当に気持ち良かった」と喜んだ。「声出し応援は私たちに力をくれるので、次の試合も皆さんと戦って勝てるように頑張りたい」

 今季3勝目を挙げたレジーナは、21日に延期分の第7節でアルビレックス新潟レディースと対戦する。戦い尽くした今節から中2日でホームでの連戦となるが、小川は「勝ったので大丈夫です! また次も走ります!」と元気な笑顔で言い切る。近賀は、「全員の力で臨みたい」とチーム一丸での戦いに意気込んだ。

取材・文=湊昂大

By 湊昂大

Kota Minato イギリス大学留学後、『サッカーキング』での勤務を経てドイツに移住して取材活動を行う。2021年に帰国し、地元の広島でスポーツの取材を中心に活動中。

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