サンフレッチェ広島レジーナのFW上野真実 [写真]=湊昂大
サンフレッチェ広島レジーナは21日にYogibo WEリーグ第14節でジェフユナイテッド市原・千葉レディースと対戦する。連敗中の広島にとって踏ん張りどころの一戦。シーズン後半戦初勝利に向けて、FW上野真実は得点への意欲を燃やしている。
アウェイでの一戦は先制点が鍵になりそうだ。広島は後半戦に入って2試合連続で完封負け。マイナビ仙台レディースと日テレ・東京ヴェルディベレーザの上位相手に得点を奪えなかった。皇后杯準優勝の千葉も同じく後半戦はまだ勝利がない。三菱重工浦和レッズレディースとINAC神戸レオネッサの強豪相手にチャンスを決めきれず、悔しい連敗を喫した。後半戦で未だ無得点の両者にとって、最初の1点がチームに勢いをもたらすはずだ。
広島はまず試合の入り方が重要となる。リーグ再開後の2試合はどちらも序盤に先制点を許し、前半のうちに失点を重ねた。広島のエンジンがかかったのは、相手に先手を取られてからだった。中村伸監督は19日の練習後、「2試合とも前半にいろんな要素があって先に失点してしまい、そこから徐々に自分たちでギアを上げて、後半にチャンスを多く作り出すという展開が続いている」と振り返り、「（千葉戦は）試合の入りの部分からスイッチを入れることが大事」と気を引き締めた。
結果が伴わない厳しい状況だが、いかに試合のスタートからスイッチを入れるか。指揮官は、「選手たちと試合を振り返って、実際にやれていること、みんなに力があることを気づかせてあげるというか、共有することでやれることが増えると思う」と改めて自信の植え付けに取り組んだ。「あとは公式戦になったら違う緊張感とか、メンタル的な部分が働いてくると思うので、それを取っ払ってピッチで思いっきりやれるように背中を押してあげたい」
選手も前を向いている。上野は19日の練習後、「失点のところは自分たちのミスからが多いので、そこは減らさなければいけない。でもやっぱりチャレンジするところは自信を持ってプレーしてもいいと思う」と振り返り、「負けてはいるけど、チャンスがなかったことはなくて、ゴール前までボールをつなぐシーンやチャンスも結構あった」と前向きに語った。
チャンスは作れている。あとは決めきるという課題。攻撃の改善点について、キャプテンの近賀ゆかりは0－2で敗れた前節の東京NB戦後にこう語っていた。「1つのチャンスに複数人が関われば、得点の確率は上がると思うし、シュートを打つ選手に複数の選択肢があれば、周りのDFは困る。複数人が関わって得点していくところは必要になる」。
チャンスを決めきるために、トップの３人だけではなく、中盤も積極的に前線へ飛び出してゴール前で“迫力”を出したいところ。上野も、「最後のところは（選択肢が）シュートだけになっているので、GKに対して2対1の状況を作ったり、ゴール前で選択肢を増やしたりすることも必要だと思う。まずは積極的にゴールを狙いつつも、もっとゴール前に人数をかけられたらなと思う」と口を揃えた。ゴール前で複数人が絡む迫力ある攻撃で、まずは今年初得点を狙う。
今季2ゴールを挙げている上野はトップを主戦場としているが、シーズン後半戦は中盤のインサイドハーフでの出場が続いている。どちらでプレーしても求められるのは得点。本人も昨年10月以来のゴールに意欲を燃やしている。
「FWとしてはもっと得点にこだわってやっていかないといけないし、自分自身に危機感を感じている。後ろの選手たちが必死で守ってくれているので、前の選手たちはよりゴールにこだわってやっていかないと結果もついてこないと思う。まずは積極的にゴールを意識した中でプレーの判断をしていきたい」
中村監督も上野について、「ゴールを奪うプレー、ゴールに関わるプレーをまず一番求めている」と得点に期待を寄せている。「技術があるし、起点にもなれる、守備でも気の利く選手なので、チームのためにしっかりプレーしてくれているけど、それも踏まえて一番必要としているのはゴールだということは彼女にも言っているし、理解もしてくれている」
シーズン後半戦に入って厳しい結果が続いているが、1周年を迎えたばかりのチームは少しずつ前進している。「内容と結果がリンクしない試合が続いているけど、その中でも本気でサッカーに目を向けて色々すり合わせながらやってくれている」（中村監督）。これまで積み上げてきたものを迫力あるプレーで表現し、シーズン後半戦初勝利をつかみたい。
取材・文＝湊昂大
By 湊昂大