イラク戦の前日練習を行う日本代表 [写真]=兼子愼一郎
日本代表は16日、アジアカップの第2戦でイラク代表と対戦する。試合を控えた14日に、ハビエル・アギーレ監督が2010-11シーズンのリーガ・エスパニョーラ最終節において八百長に関与した疑いで告発を受理されたと報じられたが、選手たちはグループ突破のかかる試合に集中している。
技術委員長を務める霜田正浩氏が「選手は気にする風もない。わざわざ話すまでもなく、集中したいい練習ができた」と語る通り、騒ぎ立てる周囲をよそに選手たちの姿勢は揺るぎない。キャプテンマークを着ける長谷部誠は、「国を背負って来ているわけですから、サッカーに集中することも選手として当たり前のこと。チームの雰囲気を見ても、全く変化はない」と律儀に答える。
指揮官との信頼関係についても、霜田氏は「一切問題ない」と強調。長友佑都も「一緒に戦う仲間を信頼できないで、試合に勝てることはない」と殊勝に語った。
対戦相手のイラクは、平均年齢は約23歳だが、“黄金世代”と謳われる才気溢れる若手を多数抱える。初戦でもヨルダン代表を1-0で下し、日本代表戦に向けて勢いに乗る。
勝利すれば早くも1位突破が決まる可能性もあるが、「グループの中で一番強い相手だろうと、ある程度想定できている」とは吉田麻也。「球際のところがかなり強く激しさを持って来るので、一つひとつの球際でしっかり勝つこと、セカンドボールを拾うことが一番大事になってくる」と警戒を強めた。
4-0と大勝し、被枠内シュートが1本だった初戦のパレスチナ代表戦とは、試合内容でも変化が予想される。「カウンターやセットプレーが危険になってくることは、わかっている。90分間の中でどれだけそういう時間帯に集中力を高められるかがひとつのポイント」と語るGK川島永嗣も、準備万端と言ったところか。
試合会場は亜熱帯気候にあるブリスベン。初戦の行われたニューカッスルよりも、気温と湿度の高さを感じられる。当地で2試合連続となるイラクよりも、さすがに慣れてはいないだろうが、環境面も織り込み済みという様子。「全員、フィジカルコンディションは非常にいい。バテる選手もいるかもしれないけど、それは周りの選手がサポートしながらやっていければ」と、34歳で最年長の遠藤保仁から頼もしい言葉も聞かれた。
初戦とは対戦相手のレベルも上がり、環境も異なる状況下での一戦。外野の騒々しさも加わってしまったが、指揮官が「彼らは非常に賢く成熟している」と表現する選手たちである。「唯一できることは勝ってポジティブなニュースを届けること」(吉田)と、やるべきことに変わりはない。