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センターバックからJ屈指のドリブラーへ…泉澤仁が磨く“2つの武器”《6月 J2月間MVP》

2021.07.09

[写真]=VFK

 6月の『明治安田生命Jリーグ KONAMI月間MVP』が発表され、J2はヴァンフォーレ甲府に所属するMF泉澤仁が受賞した。6月は4試合に出場して4得点1アシストを記録。今季の通算得点数を『9』とし、キャリアハイを更新した。今やJ屈指のドリブラーに成長した泉澤が習得した2つの武器、今季ここまでとこれからを語ってくれた。

取材・文=三島大輔


――まずは6月のKONAMI月間MVP受賞おめでとうございます! 受賞の知らせを聞いた時の感想からお願いします。
泉澤 本当に嬉しかったです。ヴァンフォーレ甲府から選ばれて、僕以外の選手たちが『自分も月間MVPを獲りたい!』という気持ちになればチームにとってもプラスかなと思っています。ただ、チームメイトからは『おめでとう!』という言葉よりも、賞金について聞かれる方が多いです(笑)。

――6月は4試合で4得点1アシストという成績でした。得点を量産できた理由をどう分析していますか?
泉澤 ペナルティエリア内に入っていくシーンを増やしたことが一番の要因だと思います。逆サイドにボールがある時も、よりゴールに近い位置に入っていけているのでシュート数、そしてゴール数が増えているのだと思います。

――これで今季9得点ということでキャリアハイを更新しましたね!
泉澤 自分でも驚いていますし、リーグ戦半分終わった段階でまさか9得点も取れるとは思ってもいませんでした。キャリアハイを更新しましたが『まだまだ数字を伸ばしたい』『もっと成長したい』という気持ちの方が今は強いですね。

――開幕直前の負傷で第1節を欠場しましたが、第2節から出場を重ねています。コンディションという部分ではいかがでしょうか?
泉澤 第2節の大宮アルディージャ戦でプレーできるかは正直微妙な状態でした。ただ、自分が育ったNACK5スタジアム大宮での一戦ということで、試合に出たい気持ちがすごく強かったんです。彰さん(伊藤彰監督)からは『最初の10分だけ使うぞ!』と声をかけられていたのですが、いざ試合が始まったら60分間プレーができました。やりながら状態が良くなっていった感じですね。いつもシーズンを通して徐々にコンディションが上がっていくように身体を作っています。開幕前の負傷はありましたが、今季は良いコンディションで臨めていると思います。

――ここからは泉澤選手の最大の武器であるドリブルについて伺いたいと思います。小さい頃から生粋のドリブラーだったのでしょうか?
泉澤 うーん、目の前に相手がいると仕掛けたくはなります(笑)。小学校時代のポジションはセンターバックでした。コーチからは『ドリブルで上がっていけ!』と指示されていたのが、今にもつながっているのかなと思います。

――感覚派と理論派。どちらに当てはまりますか?
泉澤 感覚派ですね。自分の調子の良し悪しをあまり気にすることもなくて、自分のプレー状態は相手選手の対応次第だと思っていて。あと1対1で嫌な相手も特にいないですね。

――そのドリブルに加え、近年では左サイドからの対角線のクロスでもチャンスを作っていますよね。
泉澤 昨季くらいから相手がリトリートした際、シンプルにクロスを上げる回数を増やしました。そのプレーが増えてからよりドリブルも生きるようになりましたし、その手応えを掴めたことは大きかったですね。対峙する相手DFにとっては『行かないとクロスを上げられてしまう』という心理にできているのかなと思います。

――相手DFが来たらかわしてクロス。来なければドリブルで抜き去れる。2つの武器があるのは大きなアドバンテージですね! このプレー選択も感覚的なものなのでしょうか?
泉澤 相手DFの足は見るようにしていて、試合中に何回か1対1のシーンがあるので、その時々でプレーを選択しています。1対1になるとその空間が楽しくて、毎回ドキドキするんです(笑)。相手DFが『ここは仕掛けてこないだろう』という場所でも仕掛けるのが自分の持ち味。見ているお客さんにとっても仕掛けているシーンが多ければ多いほど、見ていて楽しいチームだと思っています。

――プロ入り後、例えば『自分のドリブルが通用しない』や『相手を抜けない』といった挫折はありますか?
泉澤 ポーランドでの経験ですかね。自分自身数シーズンJリーグでプレーをして『欧州でやってみたい!』という気持ちが強くて移籍を決めたのですが、約半年間試合に出ることができなかった。この経験はサッカー人生の中での挫折かなと思います。

――公式戦の出場はわずかでしたが、日頃の練習で受けた刺激や感じた違いはありましたか?
泉澤 とにかく練習からバチバチでしたし『自分の中のサッカー感をなくさないと成長できないな』と思いましたね。ボールを持ってゆっくりする、バックパスという選択肢がほとんどない。ボールを持ったらとにかく攻める。センターバックの選手もドリブルでどんどん前に行くのは衝撃でした。

――ポーランドのポゴニ・シュチェチンを退団後、横浜F・マリノスに加入しましたが、マリノスでもあまり出場機会がありませんでした。きっとマリノスでも悔しい思いをしたのかなと思います。
泉澤 シーズンが2カ月半ほど早く終わってしまい、コンディションを上げる難しさがありました。チームも勝っていてすごくいい雰囲気の中、ただ見ているだけという悔しさはありました。その悔しさがあったからこそ『もう一度這い上がる』という気持ちで甲府にやってきました。そういった気持ちがあるからこそ今でも満足することなく、毎試合臨むことができているのだと思います。

――今季は甲府に完全移籍加入しました。中心選手として寄せられる期待値はより大きいと思います。
泉澤 彰さんと一緒にサッカーができることは幸せですし、もっともっと認められて信頼されたい。本当に必要な存在、チームの核になって活躍したいという思いで毎試合出ています。その気持ちが今のプレーにつながっていると思います。

――今季も半分を経過しましたが、ここまで得た収穫と課題をそれぞれ教えていただけますか?
泉澤 後ろは3バックですが攻撃時の可変はよりスムーズになりました。課題としては勝ち点3が取れる試合で結果的に勝ち点1になってしまったり、攻撃面では決めたい時間帯に得点が取れなかったり。試合を決める力を付けていく必要があると思います。

――その課題を改善するためにどのようなアプローチをしていますか?
泉澤 より得点を取りたい時間帯では前に向かうドリブルを増やして、チームメイトに自分のプレーで気づかせるようにはしていますね。

――前半戦を終えて10勝7分け4敗の5位。磐田や京都ら上位陣との対戦で白星がなかったこと。連勝が少なかったことは後半戦での改善点かと思います。
泉澤 上位チームの選手は個の能力で守り抜ける。1対1で対峙しても球際が強い印象です。この夏場に連勝できると本当に勢いに乗れると思いますし、後半戦が始まるこの夏場が勝負のポイントだと捉えています。

――では、最後に意気込みも含めましてファン・サポーターへメッセージをお願いします!
泉澤 後半戦もゴール、アシストでチームに貢献していきたいと思います。サポーターの皆さんもJ1の舞台でプレーしている僕たちの姿を見たいと思うので、これからも一緒に戦ってほしいなと思います。応援よろしくお願いします!

By 三島大輔

サッカーキング編集部

サッカーキング編集部所属。 週刊J2&月刊J3 MC。Jリーグ&ブラジルサッカーウォッチャー。

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