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ネドヴェド 「『ジダンと一緒にプレーできたらな』と何度思ったかわからないよ」

2013.02.25

『CALCIO2002』2004年3月号(Vol.063)より一部再掲
インタビュー・ライブラリー」では、過去にワールドサッカーキングやカルチョ2002などで掲載した選手や監督のインタビューを改めて紹介。懐かしい写真とともに、お楽しみ下さい。
ネドヴェド

僕は、ベッカムのようなタイプの選手ではないし、あんな風には到底なれない

パヴェル、バロン・ドール受賞は、2003年、君が素晴らしい一年を送った最大の証だと思う。君自身はバロン・ドールを獲得できると信じていたかい?

ネドヴェド いや、全然思っていなかったよ。「受賞確実」という噂が流れた時でさえ、なるべくコメントを控えるようにしていた。別に縁起を担いでいたわけじゃないよ。本当に受賞が決まるまで、獲れるとは思っていなかったんだ。「受賞したんだ!」という実感が湧いてきたのは、実際にバロン・ドールを手にした時だった。

なぜ『フランス・フットボール』誌は君をバロン・ドールに選んだんだと思う?

ネドヴェド それについては何度も考えた。でも、結局、結論は出なかった。「納得のいく説明をしろ」と言われても難しいよ。僕には、ジダン、ロナウド、フィーゴのようなスター性はない。それに、出身が東ヨーロッパであることも不利な要素だった。東ヨーロッパの選手が重要なタイトルを獲ったことなんて、今まではほとんどなかったからね。

重要な賞を手にするには、出身国も重要な要素だということ?

ネドヴェド そう思うけどね。君を納得させるためには、たった一つの実例を挙げるだけで十分だと思う。僕の前にバロン・ドールに輝いたチェコ出身の選手は、たった一人しかいない。そう、ヨセフ・マソプストだけ。彼がこの賞を受賞したのは41年も前のことさ。かなり昔の話だろう? だからこそ、チェコの人たちは僕の受賞をあんなに喜んでくれるのさ。

じゃあ、東ヨーロッパ出身の君がバロン・ドールを受賞できたのには何か理由があるのかな?

ネドヴェド おそらく選考委員たちがサッカーの正しい価値を認めたかったんだろうね。つまり、サッカーに必要なのは、イメージではなく内容なんだってことを、もう一度確認したかったんじゃないかな。僕は、ベッカムのようなタイプの選手ではないし、あんな風には到底なれない。つまり、僕はすごく単純な……。

でも、君も世界的なチーム、ユヴェントスのシンボルとあがめられているじゃないか。

ネドヴェド いや、僕は自分をユーヴェで一番の選手だなんて思っていないよ。謙虚すぎるって?いや、そんなことはない。バロン・ドールを獲得できたのだって、チームメートおかげなんだ。パリで行われた授賞式にだって、できることならチームの全員を連れて行きたかったくらいさ。

うれしいことに、僕は敵のティフォージからほとんどブーイングを受けたことがない

ジダンは君の受賞を心から祝福していたみたいだよ。

ネドヴェド それはうれしいな。彼には心から感謝の言葉を送るよ。僕は彼こそが世界一の選手だと思っているんだ。「ジダンと一緒にプレーできたらな」と何度思ったかわからないよ。彼のレアル・マドリーへの移籍が決まった時、ちょうど僕のユーヴェ入りが確定した。そう、完全なすれ違いだったんだ。

君がもし選考委員だったら、ジダンに投票した?

ネドヴェド いや、もしできるなら候補者全員の50人に投票しただろうね。外交術はあまり得意じゃないから……。とにかく、最後に残った50人は全員がバロン・ドールに値する選手だと思うよ。

君に続く2位は、かつてユーヴェでプレーしたティエリ・アンリだった。

ネドヴェド ユーヴェは未だに「なぜアンリをあんなに早く見限ったんだ!」とか、「ファンからのプレッシャーはあったにせよ、あまりに辛抱がなさ過ぎた」なんて批判されている。ただ、今になって過去のことを掘り起こすのは無意味だと思うんだ。もちろん、今現在のアンリが、世界最高のストライカーであることは認めるけどね。

君はもうチェコ代表の後継者の絞り込みをしているらしいね。

ネドヴェド チェコの若手の中に、僕に似たタイプの選手がいるんだ。ダヴィッド・リンベルスキという選手でヴィクトリア・プルゼンに所属する20歳のMFだよ。僕と同じサッカースクールの出身で、ポジションもデビュー以来ずっと僕と々攻撃的MFだったんだ。

ところで、君にサッカーを教えたのは誰だったの?

ネドヴェド まずは父親だった。彼はいつも僕にこう言っていたな。「どんなことでも始める限りは、しっかりとやりなさい」ってね。挙げ句の果てには、「ディスコに行くのか? 行くならしっかりと踊ってきなさい」なんて言ってたよ(笑)。

えっ、君でもディスコに行っていた時期があったの?

ネドヴェド たまにね。でも、一度行ったからには、そこでも褒められようと必死だったけどね(苦笑)。

君は子供の時からあんまり垢抜けたタイプではなかったってわけか。おそらく、ティフォージも君のそんなところを愛しているんだろうね。家族とシンプルな生活を愛する君の穏やかな性格がきっとファンにも伝わっているんだよ。

ネドヴェド どうしてティフォージにこれほど愛されているのか、僕自身にもわからないんだ。ただ、一つだけ確信を持って言えることがある。それは、彼らが僕を愛しているのと同じくらい僕も彼らを愛しているってことさ。90分間の重労働が終わってピッチを離れれば、僕も彼らの一員なんだ。うれしいことに、僕は敵のティフォージからほとんどブーイングを受けたことがない。それは多分、いつも全力を尽くして戦っていることが、彼らにも伝わっているからじゃないかな。

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