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インテル入団3シーズン目、長友佑都が掴んだ“世界一”への手応え

2013.01.20

ワールドサッカーキング 0207号 掲載]
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インタビュー・文= 浅野祐介(@asasukeno)

 ワールドサッカーキング最新号では、リーグ後半戦もインテルの主力としてチームをけん引する長友佑都のインタビューを掲載している。3シーズン目のインテルでますます輝きを放つ日本人は、「頂点」という夢に向けて加速し続ける。

「世界一への手応えをつかんだ」

 およそ半年ぶりに向き合うその目は、一層の自信に満ちていた。「世界一のサイドバック」というブレない夢と、夢へと続くブレない歩み。長友佑都は、2013年の抱負を力強くこう宣言した。

「『世界一になること』と『世界一のサイドバックになること』が僕の夢。その夢をかなえるために全力で走り抜けたい」

 インテルという世界有数のビッグクラブで左サイドバックの定位置を確保し、入団3シーズン目の今シーズンは右サイドバックや左サイドMFでも、指揮官の期待を上回る好パフォーマンスを披露。この日本人プレーヤーがチームに不可欠な戦力であることを証明するように、1月5日、インテルは長友との契約を2016年6月まで延長したと発表した。

 インテルと日本代表で目指す頂点。プレーヤーとして目指す頂点。「世界一」という夢へのブレない信念とともに、長友佑都は、全力で走り続ける。

毎日、挑戦を続けていきたい

まずはインテルでの今シーズンについて。シーズン前半戦が終わりましたが、ご自身の評価を教えてください。

長友佑都―僕には「世界一のサイドバックになる」という夢があります。その手応えを2年目で得ることができなければ厳しいとも思っていましたが、2012年にその手応えをつかむことができ、自信を持ちましたし、夢をかなえられると信じています。1年目と2年目に多くの経験をさせてもらって、3年目の今シーズンはメンタル的にも落ち着いて試合に臨めています。その意味でも、2012年は素晴らしい1年になったと思います。

具体的に、2シーズン目までとの違いは?

長友佑都―まずは「自信」です。相手が1人、2人来ようと、「かかってこい」という気持ちでいられる。この気持ちがあれば、相手との勝負の中で常に先手を取れるので、そこが大きく変わった点だと思います。

メンタル面の充実という点で、試合への準備の仕方について教えてもらえますか?

長友佑都―僕が大切にしているのは、平常心でプレーすること。その平常心を保つためには、しっかりとした準備をする必要があります。しっかり準備をすることで「あとは試合で結果を出すだけ」という気持ちになれますし、準備というのは「試合までの時間」なので、その時間を大切に使うことが重要です。

なるほど。ちなみに、今シーズンは複数のポジションで起用されていますが、ポジションごとに意識して変えている部分はありますか?

長友佑都―とにかく、チームのためにプレーすること。どのポジションであっても、その気持ちが自分の能力以上のものを引き出してくれますし、チームを第一に考えてプレーしています。


イタリアでの生活を経て、改めて日本にいた時との違いについてはいかがですか?

長友佑都―日本と比べると、イタリアは「サッカーが一番の国」です。街を歩いていると、すぐにサッカーの話題を振られますし、負けた後で街に出ると「出歩いてないで練習をしろ」なんて言われたりすることもあります(苦笑)。そういった面でも、サッカーに対する“熱さ”が違うと思いますね。

環境的にも、より強いメンタルが求められますね。

長友佑都―結局はメンタルが重要。自分の技術や能力を「1」にするか「100」にするかはメンタル次第で変わると思っています。練習では良いプレーができても、試合では自分の力を発揮できないという選手もたくさんいるので、メンタルはすごく重要だと思います。世界のトップになるためには不可欠なものですね。

メンタル面も含め、目標にしている選手は?

長友佑都―キャプテンの(ハビエル)サネッティは8月で40歳になりますが、インテルでほぼ全試合に出場しています。サッカーのスキルだけでなく、彼の姿勢や人間性からは本当に学ぶべきことが多い。サッカーがうまくなりたいという思いは当然ですが、一人の人間として成長するためにサッカーをやらせてもらっているという気持ちも自分の中にはあるので、人間性の面でも成長していきたいですし、サネッティのような選手になりたいと思っています。そのために、毎日、挑戦を続けていきたいですね。

チャレンジし続ける選手でいるために、どういうことを大切にしていますか?

長友佑都―信念や向上心など、夢をかなえるための強い気持ちが大事だと思っています。諦めてしまう自分がいると試合にも勝てないし、相手にも勝てない。試合に入ったら「ミスをしてもいい」くらいの気持ちでやっています。チャレンジが大切だし、チャレンジした結果のミスは次につながる。その上で、「絶対に負けない」という強い気持ちを持って、日々取り組むようにしています。

ただ、常に「自分に自信を持つこと」は難しいことでもあると思います。自分に自信を持つためのコツはありますか?

長友佑都―コツと言えるかは分かりませんが、僕は「今、自分にできることを100パーセントでやる」ということをいつも心掛けています。日々の準備が自信にもつながるし、試合にも影響してきます。常に「今」が大事ですね。

これまで様々なアタッカーと対峙してきたと思います。以前、お話を伺った時は、パトと(サミュエル)エトオの名前を挙げていましたが、実際にマッチアップしてみて「すごい」と感じた選手は誰ですか?

長友佑都―(ズラタン)イブラヒモヴィッチはすごいですね。シュート、ポストプレー、パスと、何でもできる。それから、彼のスピードに驚きました。体が大きいのでスピードはあまり目立たないかもしれませんが、一瞬のスピードは世界でも間違いなくトップクラスだと思います。

イブラヒモヴィッチを止めるコツはありますか?

長友佑都―相手の間合いに入らずに、自分の間合いで勝負することですね。あとは、自分が先手を取ることが重要です。


次にチームメートの話を聞かせてください。先ほど、サネッティの名前が挙がりましたが、日本にもファンの多いアントニオ・カッサーノ、ウェスレイ・スネイデルについて。彼らがどんな選手か、長友選手の言葉で彼らのプレーヤーとしての特長を教えてください。

長友佑都―カッサーノは天才です。スネイデルは技術と才能はもちろんですが、状況判断がとにかくすごい。他の選手とは掛け離れていますね。

ピッチを離れた場面では、長友選手にとってどのような存在ですか?

長友佑都―親友ですね。サッカーだけでなく、プライベートでも2人と過ごす時間は多いですし、食事にもよく一緒に行きます。

コミュニケーションという点で、イタリア語もだいぶ上達されたようですね。

長友佑都―そうですね。サッカーの現場はもちろん、日常生活でも言葉に問題はないので、コミュニケーションはかなり取れるようになりました。

イタリアに渡った頃と比べて、成長した点はどんなところだと感じていますか?

長友佑都―もちろんメンタル面も成長しましたが、サッカーがうまくなったと思います。他の選手に追いつくためには、まだまだやるべきことは多いですけどね。

海外で信頼を勝ち取るために重要だと思う点は?

長友佑都―まずは、サッカーで示すこと。そして、強い気持ちを持つことが大切です。自分より大きい相手を見た時に、「すごいな」と思うか、「負けないぞ」と思うかで、全く変わってきますから。それから、ピッチ外での人間関係も大切です。コミュニケーションがしっかり取れていないと、パスも来ないですしね。

プレッシャーや期待が夢に向けての糧

ここからは日本代表の話を聞かせてください。3月26日のワールドカップ(以下W杯)最終予選、ヨルダン戦に勝利すると本大会行きが決定。引き分けでも他会場の結果次第でブラジル行きが決まります。意気込みはいかがですか?

長友佑都―勝利しか考えていません。

6月には、ブラジルでコンフェデレーションズカップが開催されます。日本はブラジル、イタリア、メキシコと同じグループに入りました。この組み合わせをどう感じていますか?

長友佑都―世界有数の強豪国が相手になるので、自分たちの今の力を試す絶好の機会だと思っています。W杯まで時間は多くないので、しっかりレベルアップしたいです。

日本代表がW杯でベスト8以上に進むために、優勝するために、世界の強豪と肩を並べ、上回るために、クリアしなければいけない課題や向上すべき点はどんなことだと感じていますか?

長友佑都―世界のトップと比べれば、まだまだ、すべての部分で劣っていると思いますし、レベルアップしなければいけないところはたくさんあります。トップレベルの試合をもっとこなしていかないと、世界レベルには到達できないと思います。

日頃から海外の舞台でプレーする中で、ヨーロッパと日本のサッカーの一番大きな違いはどんな部分に感じますか?

長友佑都―メディアやファンのプレッシャー、期待感は日本とはかなり違うと感じますね。同時に、そうしたプレッシャーや期待も、自分の夢に向けての糧になると考えています。

夢というフレーズが出ましたが、もしサッカー選手になっていなかったら、どんな職業に就いてみたかったですか?

長友佑都―歌手になりたかったです。大勢の人の前で歌ってみたいですね(笑)。

確かに、それは気持ち良さそうですね(笑)。夢というつながりで質問ですが、10年後、20年後の自分をイメージすることはありますか?

長友佑都―ありますよ。10年後もヨーロッパでプレーしています。

20年後はどうですか?

長友佑都― 46歳か、何をしているんでしょうね。子供たちとサッカーしているかな。

では最後に、2013年の抱負を聞かせてください。インテル、日本代表、長友選手個人の3つをお願いします。

長友佑都―インテルでは、スクデットを取りにいきたいですし、ヨーロッパリーグ優勝も目指しています。日本代表では、まずW杯の出場をしっかり決めること。それから、コンフェデレーションズカップ優勝も目指しています。可能性がある限りは、頂点を目指したいですね。そして個人としては、世界一のサイドバックになるために、安定して好パフォーマンスを披露したい。「世界一になること」と「世界一のサイドバックになること」が僕の夢。その夢をかなえるために全力で走り抜けたいと思います。

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