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ドイツの“育成のプロ”が語る「日本人選手が飛躍するための条件」

2012.12.29

ワールドサッカーキング 0103号 掲載]

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年代別代表監督としてエジルやポドルスキらを発掘し、

A代表でもスカウティングや試合分析で手腕を発揮。

ドイツサッカー界の発展に貢献してきた名指導者が、

海外日本人選手と日本代表の成功の条件を語る。

Interview by Satoshi ITO

Translation by Chikara YANAGISAWA

 

 ドイツにおける“日本人ブーム”は加速し、今シーズンも多くの日本人選手がプレーしている。彼らはなぜ、ドイツで高い評価を得て、能力を発揮できているのか。この問いに、現在ドイツサッカー連盟でコーチライセンス研修責任者を務め、ブンデスリーガを知り尽くすベルント・シュトゥーバー氏が答えてくれた。

 

成功へのカギは困難に打ち勝つ精神力

 

現在、ブンデスリーガでは多くの日本人選手が活躍しています。なぜこのような状況が生まれたのでしょうか。

 

シュトゥーバー(以下S)――2シーズン前にドルトムントに加入した香川真司の影響は大きかったですね。彼の活躍が、日本人選手の評価を一気に高めることになりました。「香川のように優秀な選手がいるかもしれない」と、各クラブが日本人プレーヤーに興味を持ち始め、積極的に獲得に動くようになったのです。

 

その香川はドルトムントでの活躍が認められてマンチェスター・ユナイテッドに移籍しました。では、現在ドイツでプレーしている他の日本人プレーヤーに対してはどのような印象を持っていますか?

 

S――まず、日本人がヨーロッパでプレーするのは良いことだと考えています。ヨーロッパで経験を積んだ選手が日本代表に選出され、それが代表チームの強化につながっています。日本人選手は戦術理解力が高く、技術力も優れています。この点が、ドイツで活躍できている要因ではないかと感じています。

 

現在多くの日本の中学生や高校生は「海外でプレーすること」を目標にしています。ただ、若いうちに海外へ行くことはメリットがある反面、リスクもあると思います。この2つの兼ね合いについてどのように考えていますか?

 

S――日本のサッカー界にとっては、優れた日本人はJリーグでプレーすべきだと思います。そうすればJリーグのレベルは上がりますし、様々な面で良い影響が出てくることでしょう。一方で、若いうちに海外で経験を積めば、日本代表のレベルアップにつながることも確かです。だから、「こちらがいい」と簡単に結論づけることはできません。

 

では、海外でのプレーに臨むにあたり、最も大切なものは何でしょうか。

 

S――新天地に適応するための強いメンタリティーですね。例えばドイツに来た選手の場合、個人の戦いとしてドイツ人に勝たなければならない。これは試合で相手を上回るということだけでなく、ポジション争いに勝つ、監督との信頼関係を築くなど、様々な場面で“戦い”があるのです。そのような困難に打ち勝つだけの強いメンタリティーが備わっていなければ、海外で成功することはできません。それから、当然ですがコミュニケーションの能力も非常に重要です。

 

ドイツでプレーする日本人選手が増えたということは、「戦える選手」、「うまくコミュニケーションが取れる選手」が増えたということになるのでしょうか。

 

S――過去には奥寺(康彦)さんだけでしたが、徐々にドイツでプレーする日本人が増えているのは、日本サッカーのレベルが上がってきた何よりの証拠と言えます。もちろん、根底にはドイツサッカーやドイツ人監督との相性の良さがあり、その後押しもあって活躍できる選手が増えたのでしょう。

 

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