[ワールドサッカーキング 1101号 掲載]
クリスチアーノ・ロナウドが昨シーズンの活躍を思い起こさせる全開モードに入った。開幕ダッシュの失敗、問題発言といったハードルを、彼は短期間でどのようにクリアしたのか。レアル・マドリードの浮沈を左右する男が、本音を語った。
インタビュー・文=ピーター・スジネーター 翻訳=石橋佳奈 写真=ムツ カワモリ
開幕ダッシュに失敗したレアル・マドリードが、ようやく王者らしい戦いぶりを取り戻した。クリスチアーノ・ロナウドが昨シーズンの活躍を彷ほ うふつ彿とさせるゴールラッシュを披露。チームは本来の試合運びを思い出したかのように勝ち星を重ねている。
チャンピオンズリーグのマンチェスター・シティー戦では壮絶な打ち合いに終止符を打つゴールで3-2の勝利に貢献。この後の公式戦ではクラシコを含む4試合で9ゴールと、驚異的なペースでゴールを重ねている。ロナウドは完全に本来の調子を取り戻した。
開幕ダッシュ失敗の戦犯と言われたあげく、「自分は愛されていない」と発言し物議を醸した開幕からの約1カ月。ロナウドの周囲には何が起こっていたのだろうか。チーム浮沈のカギを握る絶対的エースが、現在の心境とチームの未来について率直に語る。
優勝するには残りの試合に全部勝てばいいわけだからね
レアル・マドリードはシーズン開幕から数試合でつまずいてしまった。何が原因だったと思う?
ロナウド チームとして安定したプレーができていなかったことが、悪い結果として表面化してしまったんだ。手ごわいライバル(バルセロナ)が相手ならハイレベルのサッカーができるんだけど、その他のクラブとの試合ではなぜかチームに油断が生じてしまう。どの試合にも集中しなければならない。
開幕ダッシュに失敗したことでチームに焦りはある?
ロナウド それは全くない。まだ、シーズンは始まったばかりだし、僕らは何が問題かを理解しているからね。スタートに失敗したことは認めるけど、これから努力し続ければ最終的に良い結果が得られると信じている。
バルセロナには既に8ポイントも勝ち点差をつけられている。追いつくのは難しいんじゃない?
ロナウド これから挽回するチャンスは絶対にある。優勝するには残りの試合に全部勝てばいいわけだからね。プロ選手にはそういう意気込みと前向きな考え方が必要なんだ。
クラシコの結果はどう受け止めている? バルセロナとの差を詰める絶好のチャンスだったけど。
ロナウド 僕らが勝てるチャンスはあったけど、敵地で引き分けという結果はポジティブに受けて止めているよ。
君はこの試合で2ゴールを挙げたけど、自身のパフォーマンスには満足しているの?
ロナウド チームが狙った通りのプレーができてゴールを奪えたという意味では満足しているよ。でも、勝利に結びつかなかったことはとても残念だ。次のクラシコでは絶対に勝ってみせるよ。
クラシコでの君たちはとてもまとまっているように見えた。あの試合で開幕から続いていたチームの“不和説”を払拭(ふっしょく)できたと思う?
ロナウド そもそもその話自体、メディアが勝手に書き立てたでたらめだから、その質問は間違っているよ。僕らに不仲なんて問題は存在していない。
でも、ジョゼ・モウリーニョ監督はチームに問題があると示唆していたけど。
ロナウド それはさっきも言ったようにパフォーマンスの問題だ。監督は選手が常に全力を出し切ってプレーしていないことが問題だと言っているんだよ。
選手の間に問題はないということ?
ロナウド ロッカールームの雰囲気は和気あいあいとしてるよ。みんな親友同士だ。チーム全員が良いプレーをしたい、一緒に戦って勝利したいと願っている。
では、モウリーニョとベテラン選手との間に確執があるという話は?
ロナウド それもでたらめさ。選手全員が監督を支持している。マドリードのようなビッグクラブにはモウリーニョのような世界レベルの監督が絶対に必要だ。同様にベテラン選手の力もマドリードには不可欠なんだ。