[ワールドサッカーキング 1018号掲載]
周囲の予想に反し、今シーズンのマラガは開幕ダッシュに成功した。チームの中心で攻撃にアクセントを加えているのが弱冠20歳のイスコだ。この若きアタッカーが今後どんな進化を見せるのか、世界の注目が集まっている。
インタビュー・文=ホセ・バジェステロス 翻訳・構成=高山 港
イスコはほんの1年数カ月前、バレンシアのBチームでプレーする、言わば、“並み”の若手選手だった。しかし、昨シーズン、マラガに移籍するとすぐにレギュラーに定着。チームをリーガ・エスパニョーラで4位に導き、クラブ史上初となるチャンピオンズリーグの出場権獲得の原動力となったのだ。
この俊英をチームの中心に据えたマラガは、今シーズン開幕から周囲を驚かせる結果を出し続けている。第5節終了時点で4勝1分けのリーグ2位。CLのグループステージ第1節ではロシア王者のゼニトを3―1で粉砕し、この試合で2ゴールをマークしたイスコの評価は高まる一方だ。
すっかりマラギズモ(マラガのファン)のアイドルとなったイスコはこの夢のような現状を冷静に捉えつつ、進化を続けている。自他ともに認める若きバンデーラ(「旗頭」を意味するスペイン語)は、マラガを更なる高みへと押し上げることができるのだろうか。
相手をドリブルでかわすのがとにかく大好きなんだ
まずは君のことを知らない人のために自己紹介をしてほしい。
イスコ 僕の名前はフランシスコ・ロマン・アラルコン・スアレス。みんなからはイスコ(フランシスコの略称)と呼ばれている。出身はマラガのベナルマデナ。地元のアトレティコ・ベナミエルというクラブでサッカーを始めて、14歳の時にバレンシアのカンテラに入団した。そして、去年の夏、マラガに移籍したんだ。
自分のプレースタイルを説明してくれるかな?
イスコ とても攻撃的な選手だね。テクニックには自信を持っていて、相手をドリブルでかわすのがとにかく大好きなんだ。それと、常にボールを触っていたいタイプかな。ラストパスを出すことにも快感を覚えているよ。
君のストロングポイントは何だと思う?
イスコ 次のプレーを決定する判断のスピードだね。これが、良いプレーを継続するのにとても役立っていると思う。問題はシュートの正確性に欠ける点かな。
昨シーズン、君は2度もレッドカードをもらっている。メンタル面の課題が指摘されているけど。
イスコ 感情をコントロールすることが僕の課題だということは自覚している。アグレッシブな姿勢が時に行き過ぎたプレーになってしまうことがあるんだ。あの2回のレッドカードは、もらうべくしてもらったと反省しているよ。
君はまだ20歳だけど、これまでのサッカーキャリアは順風満帆と言えるのかな?
イスコ 周りの人が見たら順調なキャリアだと思うかもしれないけど、個人的には決して平坦なものじゃなかった。バレンシアのカンテラ時代はホームシックにかかって本当につらかった。サッカー選手になることをあきらめて故郷に帰ろうと考えたこともあったしね。でも、両親や兄のサポートのおかげでサッカーを続けることができたんだ。
バレンシアは君のような素晴らしいタレントをなぜ手放してしまったのかな?
イスコ バレンシアでの最後のシーズン、(ウナイ)エメリ監督から信頼を得られなかった。次のシーズン、クラブが僕をトップチームの戦力に考えていないことを知った時、移籍することがベストな選択だと思ったんだ。