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【インタビュー】ジャンルイージ・ブッフォン(ユヴェントス)「俺はまだまだ現役でプレーしたいと思っているよ」

2012.09.25

ワールドサッカーキング 1004号掲載]
ジャンルイージ・ブッフォンは11年もの間、ユヴェントスを支えてきた。今シーズンは、この頼れる守護神がキャプテンとしてチームを統率する。新しいリーダーはどんな野心を持って、12年目のシーズンを戦おうとしているのか。
ジャンルイージ・ブッフォン
インタビュー・文=グイド・ヴァチャーゴ 翻訳=高橋 在

 ジャンルイージ・ブッフォンは、今年から、『IL』 という定冠詞つきのキャプテンとなった。『イル・カピターノ』、まさにキャプテンの中のキャプテンと言うべき存在になったのだ。ファビオ・カンナヴァーロが代表を引退した時点で、彼はアッズーリのキャプテンマークをつけるようになった。そして今夏、ユヴェントスとアレッサンドロ・デル・ピエロが決別した時点で、彼はユーヴェでもキャプテンマークを巻いてプレーすることになった。

 ブッフォンは34歳にして、イタリア代表、そしてユヴェントスのキャプテンを任される存在にまで上り詰めた。彼のこれまでの輝かしいキャリアは今後、どれだけ輝きを増していくのだろうか。冷静な判断力と燃えるような情熱を胸に秘める偉大なGKが、充実の今を語る。

俺はまだまだ現役でプレーしたいと思っているよ

まず、今夏のユーロの結果について聞かせてほしい。準優勝という成績はアッズーリにとって快挙だったんじゃない?

ブッフォン 満足とは言い切れない部分もある。決勝まで勝ち進んだのは良かったけど、あと一歩のところで負ければ悔しさは倍になるものだ。ただ、時が経つにつれてショックは和らいだし、ヨーロッパで2位になれたことを自分自身で評価できるようになった。イタリアが本来いるべき場所に戻れたという点では上々の結果だったと思えるようになったのさ。何せ、南アフリカ・ワールドカップでは散々の内容、結果だったからね。

今年の夏、イタリアサッカー界は賭博スキャンダルで揺れに揺れた。君たちの指揮官であるアントニオ・コンテも当事者の一人として容疑を掛けられている。イタリアサッカー連盟がコンテに下した裁定(10カ月の資格停止処分)について君はどう思っている?

ブッフォン ユーヴェにとってショッキングな出来事だったことは確かさ。今のところ厳しい裁定が下されているけど、まだ最終決定じゃない。一日も早く、すべてが明らかになることを願っているよ。一つだけ言いたいのは、サッカー連盟内のシステムに問題があるということ。重罪と軽犯罪の区別がつかないということが問題だと思っている。俺としてはコンテの無実を信じているよ。彼をよく知る者はみんな、コンテがそんなルール違反を犯すなんて思っていないしね。そもそもコンテが犯したとされている『告発不作為』という違反自体があいまいなものだから、コメントのしようがないよ。

現時点でユーヴェは、コンテとマッシモ・カレーラの2人の指揮官の下でプレーしている。選手として困惑することはない?

ブッフォン 全く問題ないよ。コンテとカレーラは昨シーズンも一緒にチームの指揮を執っているし、両者の間には完璧な共通認識があるからね。ただ、コンテがベンチにいないことが、チームのメンタル面に影響を及ぼすことはあるかもしれないけど……。

試合中、あるいはロッカールームでコンテのゲキが飛ぶのを懐かしく感じることはあるのかな?

ブッフォン 少しだけね。昨シーズンも彼のゲキで良いリズムが生まれたことが何度かあった。彼は選手の脳に良い意味で刺激を与えることができる監督だからね。

ところで君自身のひざの具合はどうなの? 多くのファンがそのことを心配しているけど。

ブッフォン コンディションはすごく良い。ただ、年齢を重ねれば体の様々な箇所に支障が生じてくるのはやむを得ない。特に俺の場合、2年前に腰にメスを入れているからね。ただ、今のところは心配ない。俺はまだまだ現役でプレーしたいと思っているよ。

CLは特別な大会だちょっとしたミスが命取りになる

今シーズンはチャンピオンズリーグ(以下CL)の舞台に戻って来た。この大会への思いは人一倍強いんじゃない?

ブッフォン とにかく、あのいまいましいトロフィーを手にしたい(笑)。03年はビッグイヤーをほぼ手中に収めていたのに、土壇場で俺の手からすり抜けてしまったからね。この数年、CLとは無縁だったから、今シーズンこそ俺たちがヨーロッパの舞台でも十分に通用するチームだということをピッチ上で立証したいんだ。

ユヴェントスはチェルシー、シャフタール、ノアシェランと同グループになったけど、この組み分けをどう見ている?

ブッフォン 前回王者のチェルシーは当然、マークする必要があるだろう。他の2チームに関しては普段通りに戦うことができれば負ける相手じゃないと思う。俺たちがグループリーグを突破できる可能性はかなり高いよ。唯一の不安はユーヴェがこの数年CLから遠ざかっていたということかな。CLはちょっとしたミスが命取りになる特別な大会だからね。

ユーヴェは今年の移籍マーケットでクワドゥオ・アサモア、マウリシオ・イスラ、セバスティアン・ジョヴィンコらを獲得した。この夏のチームの補強を採点してもらえるかな?

ブッフォン 満足な補強ができたと思う。アサモアはカンピオーネであると同時に人間的にも本当にいいヤツだし、イスラはアサモア以上にスキルが高い。そしてジョヴィンコは正真正銘のカンピオーネだよ。彼は今、“怪物”へと進化している途中なのさ。自らパルマでの武者修行を選んだ勇気を俺は評価している。そして彼はパルマでの修行を終えて精神的にたくましくなってユーヴェに戻ってきた。彼が大きく成長したことを、心の底からうれしく思うよ。

インテルから無償でユーヴェに加入したルシオはどうだろう。彼は昨シーズンのアンドレア・ピルロのようにユーヴェで復活を果たせると思う?

ブッフォン 確かにフリートランスファーでの加入という点ではピルロと同じだね。ただ、ルシオをピルロと同じように考えるべきじゃない。ピルロはオンリーワンの選手だからね。だからと言って、ルシオがダメだと言っているわけじゃない。ルシオは国際経験も豊かなワールドクラスのDFだ。その経験はユーヴェの勝利に必ず生かされるはずだよ。CLのような大舞台ではなおさらね。

「ルシオはもう34歳だ。コンテのサッカーに順応できないだろう」なんて揶揄(やゆ)する人もいるけど。

ブッフォン そうやって最初はみんな勝手なことを言うもんさ(笑)。1年前の今頃だって、「ピルロはもう終わりだ」って言っていた人がたくさんいたじゃないか。それがどうだい? ピルロの大活躍を目の当たりにしてみんな黙ってしまった。周囲の言うことをいちいち気にしていたら、サッカーなんてやってられないよ。

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