写真=ムツ カワモリ
[ワールドサッカーキング 0920号掲載]
写真=ムツ カワモリ
7、8年前、「アンダードッグの逆襲」をテーマに某サッカー誌の特集を作ったことがあります。取り上げたクラブは当時奇跡の躍進を遂げていたビジャレアル、ウディネーゼ、エヴァートン。「アンダードッグ」とは“負け犬”の意です。特にビジャレアルであればバレンシア、エヴァートンならリヴァプールと、同じ州、同じ街のビッグクラブの後塵を拝してきた“負け犬”が突如輝きを放つ様は、ファンでなくとも勇気や希望を抱き、期待に胸躍るもの。スポーツの醍醐味と言えるでしょう。
今、久しぶりに「アンダードッグの逆襲」を思い起こさせてくれるのがアトレティコ・マドリーです。同じ街のライバルはかのレアル・マドリー。首都のセカンドクラブとして毎年、それなりに豪華な補強を繰り返してはきましたが、ライバルとの距離は縮まることなく、勝負弱さや脆さのイメージが先行していました。
それがこの3年で2度のユーロッパリーグ制覇と、確実な変化を迎えつつあります。今シーズンのスーパーカップではチェルシーを粉砕。運動量と組織力で圧倒し、最強のストライカー・ファルカオが勝負を決める戦いぶりは力強さに溢れています。“鬼軍曹”然としたシメオネの下、戦う集団に生まれ変わった「アンダードッグ」の逆襲に注目です。
ワールドサッカーキング編集長 前田 拓(twitter:@otsumamiking)