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最終予選のイラク戦へ進む準備と、変わらない本田と香川の関係性/UAE戦

2012.09.08

本田の存在が際立ったUAE戦

 本田圭佑は、やはり巨星であった。

 6日に行われたキリンチャレンジカップで日本代表はUAE代表を1-0で下したが、最も目を引くプレーを見せたのは本田だった。

 所属するCSKAモスクワでは7月下旬からリーグ戦をこなしていることもあり、コンディションに問題はなく、両チーム合わせても最多となる6本のシュートを放った。後半途中で代わるまでは、本田を中心に全てが回っている印象が見て取れ、他の選手は衛星のように本田の周囲を駆け回っていた。

 しかし、チーム全体に視野を広げてみると、出来は決して良くなかった。若手中心のUAEが予想以上に躍動的だったこともあるが、苦戦は先発メンバーが入れ替わったことでコンビネーションに乱れが生じたところに起因するだろう。

 アルベルト・ザッケローニ監督が、「結果よりも個人のコンディションがどうか見極めることに重点を置いていた」と割り切って語ったように、11日に行われるワールドカップ最終予選のイラク戦へ向けての調整の場と考えれば、特に不安材料が露見したわけではない。おそらく攻撃陣は6月の最終予選3連戦や8月に行われたベネズエラ戦で先発出場した従来の顔ぶれが並ぶだろう。今野泰幸の出場停止で最大の懸念材料となっている吉田麻也の相棒は、伊野波雅彦と水本裕貴の2択に絞られているが、いずれが出場してもベネズエラ戦を含めて既に2試合消化していることを考えれば、準備段階として大きな欠如は見当たらない。

 イラク戦は、負けられない相手のなりふり構わぬ戦いぶりで、ホームとは言え苦戦を強いられる可能性は低くない。オマーン戦やヨルダン戦のような大量点を期待することは見当違いになるだろうが、それでも試合に向けてとりたて不安を煽るような点はない状態にある。

いまだ解決しない本田と香川の関係性

 ただ、先を見据えるならば、話は変わってくる。

 メンバーの入れ替えがあっても、攻撃陣は本田が中心となっていることに変わりがない。一方で、本田と並ぶ巨星と言える香川も、メンバーが変わっても本田の衛星としてのプレーに終始している。今回のUAE戦では香川自身のコンディションを考慮する必要はあるが、日本代表で本田が中心として位置しているのに対し、香川が一つの駒として組み込まれている印象は拭えないだろう。

 最大の原因は2人のポジションがトップ下で被っているところになる。現状は、香川を左サイドに移すことで問題の解決を図っているが、これまでも幾度も本田と香川の共存が議論されてきたことを考えれば、最善策とは言えないのではないか。

 最終予選の折り返しとなるイラク戦を終えれば、10月にフランス、ブラジルと対戦する欧州遠征が控えている。ヨーロッパ組にとって移動の負担が少なく本来の力を出しやすい環境であることからも、2つの巨星を活かすためにも、ポジション変更を含めた根本的な再考が求められる時期が来ているのかもしれない。

文=小谷紘友 写真=嶋田健一

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