[ワールドサッカーキング 0920号掲載]
「自分の好きに動いて、あらゆる局面で試合に関与していたい」そう語るヤヤ・トゥレは、マンチェスター・シティーに加入して足枷を外され、アグレッシブな動きで攻守に貢献する今の自分のプレースタイルに大いに満足していることだろう。彼を中心とするマンチェスター・Cは真の強豪へと前進しつつある。“少しの運”に恵まれれば、欧州制覇も夢ではないはずだ。
インタビュー・文=ロリー・スミス
次のステップとして“ダブル”に挑戦する
昨シーズン、チャンピオンズリーグでのマンチェスター・シティーは“死のグループ”に組み入れられた結果、早期敗退を喫した。今回は同じ失敗は繰り返せないよね。まずは意気込みを聞かせてもらえるかな?
トゥレ そうだね。今やCLはクラブとって重要な目標となっている。僕たちはプレミアリーグ優勝という目標を達成した。このタイトルを守らなければならないけど、CLという大会にはまた別の意気込みがある。CLはヨーロッパのすべてのビッグクラブが参加する、世界で最も価値のある大会だ。まだ成長過程にあるシティーにとっては、自分たちの力を試す最高の舞台になるだろう。難しい大会になるのは分かっているけど、成功を収められると信じている。
具体的な目標はどこに設定すべきだろうか?
トゥレ まずは昨シーズンより上、つまりグループリーグを勝ち抜くことだ。ただ、今シーズンは準々決勝か準決勝まで勝ち進むことを目標にすべきだろう。僕たちの実力を考えればね。
グループリーグぐらいは余裕を持って突破すると世間は見ているよ。いや、決勝進出がノルマだと考える人も多いだろう。なぜなら、昨シーズンにCLを制したチェルシーは、プレミアリーグでの勝ち点が君たちより25も少なかったチームだ。
トゥレ 数字で言うのは簡単だけど、実際は全然違うよ。どう説明すれば分かってもらえるのか、ちょっと難しいんだけど……(笑)。最高のレベルでの戦いでは、ほんのわずかな運が勝敗を左右する。チェルシーはCLで優勝したけど、それでバルセロナやレアル・マドリーより強いことを証明できたとは思わない。逆に言えば、そんな証明がなくてもCLで勝つことは可能だってことさ。ある程度の力がなければ話にならないけど、最高のチームであっても運がなければどこかで敗退する。世界最高のFWたちがことごとくシュートを外すことは珍しくないよね? 一般的なレベルのGKが当たりに当たってファインセーブを連発することもあれば、最高のGKの手前でボールが不規則に弾むこともある。サッカーは意外性の積み重ねなのさ。世界最高の選手がおらず、最高のサッカーを展開しているわけじゃなくても、DFがシュートブロックのための適切なポジションを取り続ければ、より優れたチームを倒すことは可能となる。ただ、運がなければどうにもならない。
昨シーズンの経験は、今回のCLでプラスに働くだろうか?
トゥレ もちろん、前回の経験は大切なものだ。だけど、それ以上に重要なのは、僕たちがプレミアリーグで優勝したということだ。プレミアリーグ王者としての自信が、CLの舞台でも大きな力になると信じているよ。
パブロ・サバレタはCLよりもプレミアリーグ連覇を優先すべきだと話していた。プレミアリーグで2年連続優勝はどれほど難しい課題なのかな?
トゥレ どれぐらい難しいか、まともに考えたくないね(笑)。ユナイテッドは世界最高のチームの一つだ。今シーズンも僕たちの強力なライバルになるだろう。それに、チェルシーやアーセナルもいる。チェルシーはエデン・アザールとオスカルという2人の素晴らしい選手を今夏に獲得したから、昨シーズン以上にレベルアップしただろうね。でも、僕たちはプレミアリーグを再び制することがどれほど重要か分かっているつもりだよ。
つまり、“ダブル”を狙うと?
トゥレ そうだ。僕たちはより良い形でタイトルを取りたい。ここ2シーズンで、シティーはFAカップとプレミアリーグという2つの重要なタイトルを手にした。次のステップとして、同じシーズンに2つのタイトルを獲得することに挑戦しなければならない。ライバルは僕たちの成功に脅威を感じ、補強を進めている。そんな中でより大きな成功を収められたら、これほどうれしいことはないね。