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ニューバランス ブランドマーケティング担当が語る「10年目になるマーケティング部門でのキャリア」/前編

2016.02.25

学生から主婦に至るまで、幅広い年齢層を巻き込んだ熱狂的なスニーカーブーム。依然街を歩く人の足元には、かなりの確率で「N」の文字が躍っている。1906年にボストンで矯正靴の製造メーカーとして生まれたニューバランスは、ライフスタイルを含めあらゆるスポーツカテゴリへとマーケットを拡大し、2015年ついにフットボールカテゴリに参入を果たした。既に大手メーカーがしのぎを削る中、今後どのようなブランディングを推し進めていくのだろうか。その手法や今後の展望について、マーケティング部 ブランドマーケティング マネージャーの山崎祐仁(やまざき・ゆうじん)氏に話を聞いた。

インタビュー・文・写真=波多野友子

――山崎さんの学生時代の経歴について教えてください。

山崎祐仁 大学では経営学部に所属していました。数字を使って実体経済を計ったり、戦略的意思決定について考察したり……。今思い返せば、今の仕事に役立つような勉強をしてきたかもな、という感じですね。勉強とは別の側面で力を入れていたのが、パソコンの自作です。当時はまだウィンドウズ95が出てくる前で、インターネットが一般的に普及していませんでした。そんな時代に僕は秋葉原に出かけて、部品を集めてはパソコンを作ったり、インターネットについて研究したりしていたんです。ゼミの卒論も、まわりがワープロや手書きで作成している中、僕はパソコンを使って執筆して、学校のプリンタで出力して「これは効率がいいな」なんて喜んでいました。

――どういった経緯で、スポーツブランドであるニューバランス社を志したのですか?

山崎祐仁 もともとスニーカーが好きだったんです。履く以外にコレクションするぐらいのマニアでした。就職氷河期でしたが、せっかくなら好きな分野で仕事をしたいという思いでニューバランス社にチャレンジし、晴れて合格することができました。これは想像ですが、一足先にインターネットに精通していたということが強みになったのかな、と思います。面接では「将来モノの流通はインターネットが主流になるはず。その時はネット販売の営業担当として仕事がしたい」とアピールしたことを憶えています。

――97年に入社後、どのような仕事に携わってきたのでしょうか。

山崎祐仁 最初に配属されたのは情報システム系の部署です。社内ネットワークの構築・運用・保守に携わりました。まだひとつの部署にパソコンが一台しかないような時代でしたから、僕が自ら回線を引っ張ってネット環境を整えて、まるで外部業者の人みたいな感じで色々な部署をまわってはそれをやっていました。ほかには、直営店やアウトレットのPOSシステムの構築・管理などを担当していました。

――その後、マーケティング部門へ異動されました。具体的な仕事内容について聞かせてください。

山崎祐仁 06年にマーケティング部のブランドコミュニケーションチームに配属され、今に至ります。仕事としては、拡大を始めたウェブマーケティングの専任として、自社サイトの管理・運営やキャンペーンを推進することがメインです。配属直後は、PV数を一年で倍に増やしたこともあります。ウェブ業務のほかにもPR・広報、広告宣伝、店頭販促など、現在は統括の立場ですが、業務は多岐にわたっていますね。

――これまでの仕事で特に苦労したことは?

山崎祐仁 「トライ・アンド・エラー」の精神で取り組んでいるので、考えた施策が設定目標に届かずに悩むということはよくあります。たとえば2008年、ランニングシューズの販促施策として、ブロガーにブログで宣伝してもらうということを考えました。多くの読者を抱えているブロガーでも、実際にランニングを通しての経験がなければ、ストーリーに必然性が生まれないんですよね。デジタル上で露出を増やしても、なかなか購買に繋がらずに悩みました。当時はまだSNSが一般化されていなかったので、施策自体が時期尚早だったのかも知れません。

――その一般ブロガーを利用した施策がまさにヒットしたのが、近年のスニーカーブームだった、と。

ニューバランス ブランドマーケティング担当が語る「アスレチックブランドとして世界TOP3を目指す戦略とは」/後編

山崎祐仁 そうです。2012年頃空前のスニーカーブームが到来し、そのタイミングを逃さず女子のインフルエンサーにアプローチしました。ブロガーにニューバランスのスニーカーを履いている姿をSNSやブログで拡散してもらったり、読者モデルを使って雑誌とタイアップ企画を組んだり。時流に乗ったコミュニケーションとブランドアセットを掛け合わせる、この施策が丁度ハマったんです。特に最近は、女性がモノの良さやうんちくを語る時代になってきたと思うんです。昔は男性が率先してやってきたことなんですけど、流行をリードするのはやはり女性なんですね。この頃から、「ニューバランス女子」「ニューバランス男子」というワードが出始めたんです。

株式会社ニューバランス ジャパン
マーケティング部 ブランドマーケティング
マネージャー
山﨑 祐仁(やまざき ゆうじん)

1974年東京都生まれ。97年入社。
IT部門にて社内システムの企画/運用/保守に従事。
2006年よりマーケティング部に所属。
自社Webサイトのコンテンツ管理担当を経て、14年1月からは広告/PR/デジタル/イベント/スポーツマーケティングのチームマネジメントを担当。
現在はメディアマーケティングおよびリテールマーケティングのチームマネジメントに携わる。

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