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【2015-16シーズン序盤戦通信簿 欧州10大クラブを徹底検証】<第8回>レアル・マドリード篇

2015.09.24


 2015-16シーズンが開幕して約1カ月が経過。チャンピオンズリーグも本戦が始まり、ヨーロッパ各国リーグの戦いも本格的にスタートしました。

『サッカーキング』では4大リーグから10チームをピックアップし、夏の補強やここまでの戦略を分析。さらに少し気が早いですが今シーズンの達成目標までを考察し、毎日1チーム、10日間にわたり連載形式で「2015-16シーズン序盤戦通信簿 欧州10大クラブを徹底検証」をお届けします。

 第8回は昨季、最大のライバル・バルセロナに三冠を許したレアル・マドリード特集。ベニテス新監督下、タイトル奪還に燃える“白い巨人”を分析します。

レアル・マドリード

文=Footmedia

基本フォーメーション

夏の戦力補強評価

採点…2(5点満点)

 やはりダビド・デ・ヘアの獲得失敗は大きなマイナス点となるだろう。単純にビッグネームの補強に失敗したと言うだけでなく、一連の手続きミスによってクラブとしての面目を失い、トレード要員であることが明らかとなったケイロル・ナバスとの信頼関係にも大きなヒビが入った。また、イケル・カシージャスの退団劇やセルヒオ・ラモスとの契約延長に至るまでの騒動も、マドリディスタたちの不安を増幅させただけだった。

 一方、今年3月の時点でポルトからの加入が発表されていたダニーロ、昨シーズンまで同じポルトでプレーして大きな経験値を積んだカゼミーロ、そして同胞のルカ・モドリッチの推薦もあって移籍が実現したマテオ・コヴァチッチと、将来性豊かな逸材を集めたことでチーム全体の戦力値はアップ。彼らが将来的に大きな成功をもたらす可能性も十分にある。しかし今回ばかりは、“マーケットの主役”を担ってきたクラブのイメージに傷がついた夏として、多くのサッカーファンに記憶されることになりそうだ。

新戦力のここまでの評価

 9月18日時点で、6人の新戦力のうち、開幕からここまで最も多くの出場時間を記録しているのは右サイドバックのダニーロになる。ただ大きなミスもない一方で、ポジション争いのライバルに当たるダニエル・カルバハルを上回るプレーをしているわけでもない。まずはチームに慣らすことを目的に、出場機会が与えられている状況だ。それは、開幕から公式戦4試合連続で途中出場を果たしたマテオ・コヴァチッチ、第3節エスパニョール戦がトップチームで通算4試合目の先発出場だったカゼミーロ、同じ試合でレアルでの公式戦デビューを飾ったルーカス・バスケスにも当てはまる。

 そもそもレギュラー組はいずれも世界に名だたるスター選手ばかりで、その壁を乗り越えるのは容易ではない。今は、与えられたチャンスで自分の特長をアピールし、後のビッグゲームで“使える駒”として指揮官の信頼を得ることが先決だ。それは、開幕以降まだ出場のないカシージャ、デニス・チェリシェフにも共通することと言える。

チームとしての注目ポイント・選手

 ラファエル・ベニテス新体制になって、大きく注目されていたのは2点。4-2-3-1へのシステム変更に伴うギャレス・ベイルのトップ下起用と、攻守のバランスの改善だ。そしてプレシーズンからここまでのところ、手ごたえを得ているのは後者の方になる。シーズン開幕から公式戦4試合連続クリーンシートはクラブ史上初の快挙。攻撃面でも、ホーム開幕戦のベティス戦以降、3試合で15得点を奪う爆発力を見せている。いずれも格下相手との対戦だったというエクスキューズはつくが、指揮官が理想とする穴の少ないチームに近づいているのは間違いない。

 一方、ベイルのコンバートについて、その効果はまだ表れていない。その狙いは、よりゴールの近くにポジションを取り、彼の得点力を生かすこと、そして、中央のエリアへ侵入してプレーすることが増えたクリスティアーノ・ロナウドの動きとクロスするように、ベイルが得意の左サイドへ出ていくことにあるが、まだ理論が実践に追いついていないのが正直なところ。2人の動きがシンクロしない場面も多く見られ、新戦術への順応にはもうしばらく時間がかかりそうだ。

チームとしての懸念点

 シーズン開幕から公式戦4試合で無敗、さらに15得点、無失点とほぼ満点のスタートを切った。まだ骨のある相手との対戦がないとはいえ、新チームの船出は順調そのもの。“我が家”に帰ってきたベニテス監督に対する地元メディアの評価、そしてマドリディスタらによる評判も上々だ。

 もっとも、ひとたび結果が出ないと、一気に風当たりが強くなるのが、このクラブの特徴。指揮官もそのことは重々承知だとはいえ、柔軟な対応力を見せたカルロ・アンチェロッティとは異なり、やや頑固な一面を持つ彼が、周囲の雑音を気にせずに自らの仕事に全うできるかは未知数だ。また、クラブの意向を汲み取りながらシーズンを戦うという、特殊な環境のなかで、うまく立ち振る舞うことができるのか。総合的なマネジメント能力が問われることになる。

シーズン最終目標・予想

 アンチェロッティ監督にクビを言い渡し、新たなスタートを切ったのは、一にも二にも“タイトル奪還”のため。とはいえ、それがコパ・デル・レイだけでは、フロレンティーノ・ペレス会長は満足しないだろう。つまり、リーグ、あるいはチャンオンズリーグを獲るという、高いノルマを課せられている。ただし、ベニテス監督が最後にそれらの大会で優勝したのは、10年前まで遡らなければならない(※2004-05シーズンにリヴァプールを率いてCL優勝)。果たして、当時のように、監督就任1年目から大きな成功をクラブにもたらすことができるのか。無論、それが実現できなければ、来年夏には再び新たな監督がやってくることになる。

By Footmedia

「フットボール」と「メディア」ふたつの要素を併せ持つプロフェッショナル集団を目指し集まったグループ。

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