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【2015-16シーズン序盤戦通信簿 欧州10大クラブを徹底検証】<第2回>バイエルン篇

2015.09.18


 2015-16シーズンが開幕して約1カ月が経過。チャンピオンズリーグも本戦が始まり、ヨーロッパ各国リーグの戦いも本格的にスタートしました。

『サッカーキング』では4大リーグから10チームをピックアップし、夏の補強やここまでの戦略を分析。さらに少し気が早いですが今シーズンの達成目標までを考察し、毎日1チーム、10日間にわたり連載形式で「2015-16シーズン序盤戦通信簿 欧州10大クラブを徹底検証」をお届けします。

 第2回は昨シーズン、ブンデスリーガ3連覇を達成し、ジョゼップ・グアルディオラ政権3年目を迎えたバイエルンです。今夏も実力者を補強し、ブンデス史上初の4連覇を狙うドイツ最大のクラブをピックアップ!

バイエルン

文=鈴木智貴

基本フォーメーション

夏の戦力補強評価

採点…5(5点満点)

 フランク・リベリーは足首負傷からの復帰が遅れ、アリエン・ロッベンも元来けがの多い選手。もちろん彼らの他にも一流の選手を揃えているバイエルンではあるが、潤沢な資金を持つ同クラブはそれに満足せず、サイドが本職のMFドゥグラス・コスタを獲得し、今夏のコパ・アメリカでチリ代表を優勝に導いた“戦士”ことMFアルトゥーロ・ビダルや、将来のフランス代表を担うであろうMFキングスレイ・コマンもユヴェントスからレンタルで補強した。

 また、絶対的守護神GKマヌエル・ノイアーの控えとしてシュトゥットガルトの正GKスヴェン・ウルライヒ、20歳の有望株MFジョシュア・キミッヒも加入。DFダンテやMFバスティアン・シュヴァインシュタイガーなど2012-13シーズン三冠の立役者がクラブを去ったが、控えメンバーで構成されたチームですらブンデスリーガ上位入りが期待できるほど、豪華な陣容となっている。

新戦力のここまでの評価

 今夏の勝者は紛れもなくドゥグラス・コスタ。左のサイドアタッカーとしてブンデスリーガ第4節まで全試合にフル出場しており、1ゴール5アシストと毎試合得点にも関与。リベリーの穴を完全に埋めている。また時折トリッキーなプレーも披露し、現役ブラジル代表という肩書が伊達ではなかったことを早くも証明した。グアルディオラ監督とスペイン語で意思疎通が図れるビダルも指揮官の信頼十分で、ここまで主力として全試合に先発し、そのうち3試合でフル出場中だ。移籍期限終盤に移籍してきたコマンも、まだチームにフィットするまで時間がかかると思われるが、加入後初の試合となったアウクスブルク戦では、ビダルと交代で途中出場。指揮官の期待が大きいことがうかがえる。

 翻ってウルライヒとキミッヒであるが、前者がノイアーの牙城を崩すのは容易なことではなく、今後は、このドイツ代表正GKが負傷した場合、もしくは同選手を休ませたい時に起用されることが濃厚。また後者も才能溢れるプレーヤーではあるが、欧州トップレベルのクラブでいきなり出番を求めるのは酷な話であり、まずは練習からアピールしていきたいところだ。

チームとしての注目ポイント・選手

 開幕戦で北の雄ハンブルガーSVを5-0と見事なまでに粉砕し、その後も勝利を重ね、9月16日現在でブンデスリーガ4連勝中。新戦力の活躍もさることながら、ここまで最大の働きを見せているのはバイエルン一筋のFWトーマス・ミュラーだ。同選手は開幕から4試合連続でネットを揺らしており、そのうち2試合では2ゴールをマーク。第4節終了時に6得点以上を記録した選手は、過去10シーズンでFWロイ・マカーイとFWハリル・アルトゥントップしかおらず、歴史的なペースで得点を量産中なのだ。

 そして、もう1つの注目は最終ラインのメンバー。グアルディオラ監督は、「センターバック=屈強なフィジカルとスピード+上背」という常識を覆し、ダヴィド・アラバ、ラフィーニャ、フィリップ・ラーム、フアン・ベルナトなど、サイドバックが本職の選手をCBとして配置している。ジェローム・ボアテングと、メディ・ベナティアを欠いた第3節レヴァークーゼン戦では、右からラーム、アラバ、ベルナトという平均身長173センチの3バックで戦い、見事に無失点で試合を終えた。

チームとしての懸念点

 先述のように開幕4連勝を飾っているが、そのうち2試合は1点差ゲーム。また第4節のアウクスブルク戦では、激しいボディコンタクトがなかったにもかかわらずD・コスタが倒れ、PKを獲得するという疑惑の判定で勝利を手にしている。守勢にまわることをいとわなかったホッフェンハイムやアウクスブルクなど、後方にべったりと引きこもっているチームを崩す術は、少なくとも現時点ではあまり見られていない。

 また、そのホッフェンハイム戦でも、キックオフから後ろにボールを戻したバイエルンは、アラバがノイアーへのバックパスをミス。ケヴィン・フォラントにリーグ史上最速の開始9秒ゴールを決められるなど、ドイツ最強クラブの看板に似つかわしくないプレーもあった。

シーズン最終目標・予想

 好調な滑り出しを見せ、首位を走っているドルトムントを直接対決でしっかりと叩くことができなければ、指揮官が「最も重要」と話すリーグ優勝に黄信号が灯ってしまう。しかし、王者を自認するバイエルンにとって、タイトル獲得はもはや至上命題。そのための戦力も十分揃っており、ブンデスリーガ、DFBポカール、チャンピオンズリーグのうち、最低でもどれか1つは取れるだろう。

By 鈴木智貴

ドイツ在住。ライター兼サッカー指導者

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