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マンチェスター・シティ、ベトナム遠征で得たものは?

2015.09.15

プレミアリーグの名門マンチェスター・シティが今夏のプレシーズンで、アジアツアーを行った。訪問先はオーストラリアとベトナムの2ヵ国。過密日程の中で行われた同遠征では、主催側からベストメンバーを要求されるなど、プレシーズンの調整を行いたい現場側からすると、難しいところもあったようだ。興行目的の色が強く、英国の大手メディアからも批判された今回の遠征で、シティが得たものは何だったのだろうか。

最初の目的地オーストラリアでは、インターナショナル・チャンピオンズカップ(ICC)に出場。初戦で姉妹クラブに当たるメルボルン・シティを1-0で撃破。新加入のイングランド代表ハキーム・スターリングのデビュー戦となった2戦目のASローマ戦はPK戦の末に勝利。しかし、3戦目のレアル・マドリード戦では不安視されていた守備が崩壊して1-4で完敗を喫した。

続くベトナム遠征では、三浦俊也監督率いるベトナム代表との親善試合に臨んだ。この試合は8-1で圧勝。ベトナムは後半アディショナルタイムに1点を返して一矢報いたが、実力差を痛感させられる試合となった。

なお、今回のベトナム遠征は、同国のコングロマリットであるT&Tグループが遠征費を拠出。その額は300億VND(約1億7000万円)に上るとされている。T&Tグループは、ベトナムプロサッカーリーグ(Vリーグ)の強豪ハノイT&TおよびSHBダナンを傘下に所有しており、特に、SHBダナンの親会社であるサイゴンハノイ商業株式銀行(SHB:T&Tグループの金融部門)は、マンチェスター・シティのロゴをプリントした提携カードを発行するなど、既に協力関係を構築している。

一方、マンチェスター・シティを運営するシティ・フットボール・グループ(CFG)はこれまでに、MLSのニューヨーク・シティ、Aリーグのメルボルン・シティ、Jリーグの横浜Fマリノスと資本提携するなど海外戦略を推進。今回のベトナム遠征は、将来的なVリーグクラブとの資本提携に向けた布石とされている。

急成長を見せている東南アジア市場を取り込もうとしている欧州クラブは多く、近年は数多くのビッグクラブがまるで競うかのように強行日程によるアジアツアーを行っている。ベトナムでは、2013年にアーセナルがベトナム遠征を実施。プレミアリーグの試合は東南アジア各国で放送されており、ベトナムでも凄まじい人気を誇るが、その人気はマンチェスター・ユナイテッド、アーセナル、チェルシーが三分した状態で、シティはやや出遅れている感がある。

そのことは、今回行われた親善試合のチケットの売れ行きが2年前のアーセナルの時と比べて、芳しくなかったということからも明らかだ。もちろん、チケットが最高で180万VND(約1万円)と非常に高額だったことも理由の一つだが・・・。因みにこれはベトナムの平均月収の4割に相当する。それでも、スタジアム周辺には、チケットを求める長蛇の列ができていたが、運営側が一般販売用チケットを十分に確保していなかったと見られ、結局はいつもの如くダフ屋が横行する結果となり、試合運営の面では相変わらずの問題が散見された。

ともあれ、今回の遠征がシティのブランド力向上・定着に寄与したことは間違いないだろう。シティは、ベトナムでの3日間の滞在期間中に、地元国立大学やハノイSOS子供村への訪問など様々な活動を展開した。さらに、在ベトナム・マンチェスター・シティサポーターズクラブも設立し、長期的なファンの獲得にも注力した。

なお、シティはベトナムで、投資総額20億USD(約2450億円)のサッカーアカデミー設立計画を進行中。実現すれば、HAGLアーセナルJMGに続く、ベトナムで2番目の欧州系サッカーアカデミーとなる。世界戦略を推進するシティが今後、ベトナム市場において、どのようにブランド力を発揮していくのか見ものだ。

(アジアサッカー研究所/佐藤)

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By アジアサッカー研究所

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