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香川のマンU移籍報道に対する英メディアの反応は?

2012.06.14
 サッカーキングが、「サッカーキングプラス」としてdocomo、au、SoftBankの公式サイトに登場しました。現在行われているブラジル・ワールドカップ出場権を懸けたアジア最終予選やユーロ2012の特集、イングランドやドイツ、スペインといったヨーロッパ発の特別書きおろしコラムなど、サッカーの”今”を伝える会員限定コンテンツが盛りだくさんです。

 今回は、イングランドのプレミア・コラムに掲載されている香川移籍報道のコラムを特別公開。マンチェスター・Uへの移籍が秒読みとなっていますが、現地メディアは彼の移籍についてどのような評価を下しているのでしょうか?



[写真]=千葉格

 6月最初の週末、イギリスはエリザベス女王即位60周年の記念祭で盛り上がり、最終日の模様を伝えた5日のイギリス各紙のスポーツ面には、日本代表MF香川真司のマンチェスター・U移籍合意のニュースが報じられた。
 
 マンUの発表によると、この移籍に関して、既にドルトムントと香川の双方と合意しており、身体検査とイギリスの労働許可取得をもって、6月末までに移籍が完結する見込みであるという。一部のイギリスメディアは、香川が12日に行われる日本代表のオーストラリア戦直後に、マンチェスターへ飛んで身体検査を済ませ、その後は日本で英国労働許可を申請するとも報じている。
 
 マンU初となる日本人選手の獲得は秒読み段階となっているが、イギリスメディアの報道は様々だ。大衆紙特有の「アジア人選手は商業目的」といった皮肉的な報道もあれば、純粋にドイツでの活躍やプレースタイルを称賛する伝え方まで、多種多様である。
 
 ここでは、日本のスポーツ紙にあたる大衆紙に絞り、見出しと記事内容について紹介したい。香川の獲得について否定的な見方をしている大衆紙には「否定的」、同選手の獲得に肯定的な見方をしている大衆紙には「肯定的」、そちらにも入らない見方には「中立的」に分けている。
 

■メ トロ:中立的
<見 出し>
Kagawa answers the call: Man U confirm move for Japan ace. United on brink of capturing Kagawa.
獲得オファーに応じるカガワ:マンUが日本のエース獲得を認める。ユナイテッドがカガワ獲得秒読み。
<内容>
・マンUはシーズン終了後、香川との数週間にわたる交渉を実らせた。
・香川の談話「まだ契約は結んでいない。日本代表戦が終わったら、移籍について話す」

 

■サン:否定的
<見出し>
United Shin Kick: Don’t lose your shirts on Kagawa. Man U deny they bought Shinji Kagawa just to boost their Far East sales
ユナイテッド、スネ蹴り:カガワに賭けて損するな。マンUは東アジアの売り上げを伸ばすためだけにカガワを買ったことを否定。
<内容>
・推定移籍金額は約1700万ポンド(約21億円)。
・マンUは金儲けのために日本人スターを獲得。
・マンUはアジア市場のファン拡大を目指している。
・マンU営業部長アーノルド氏の談話「我々はグッズを売るためだけに選手を獲得したりはしない。トップチー ムの25人は世界レベルの選手だ」

 

■ミラー:肯定的
<見出し>
 United Turning Japanese. Fergie lands 14m pounds Kagawa as first part of title jigsaw.
ユナイテッドが日本化。ファーガソン監督はカガワを優勝へ向けた最初のパズルのピースと して1400万ポンド(約17億円)で獲得。
<内容>
・推定移籍金額は約1200万ポンド(約14億8000万円)で、成績次第で1700万ポンド(約21億円) に達する。
・マンUはベルギー代表MFエデン・アザールをチェルシーに獲られたため、日本代表カガワを獲得。
・ファーガソン監督はドイツカップ決勝に赴き、香川の最終視察をした。
・香川はマンUの攻撃に柔軟性をもたらす。

 

■スター:肯定的
<見出し>
Fergie’s New Ka Rolls In: New Ka Drives Fergie Revival. Fergie has taken the first step towards trying to win back the title by completing the signing of Japan star Kagawa in a 16m pounds deal.
ファーガソン監督の新車が到着:新車がファーガソン監督の復興を運ぶ。ファーガソン監督は1600万ポンド(約19億8000万円)で 日本スター、カガワを獲得し、王座奪還への第一歩を踏み出した。
<内容>
・推定移籍金額は約1600万ポンドで、成績次第で2000万ポンド(約24億8000万円)に達する。
・香川は5年契約の週給6万ポンド(=約740万円・年俸約3億8000万円)の契約で合意。
 ・香川は来月の南アフリカと東アジアへのプレシーズン遠征に帯同する見込み。
・ファーガソン監督は約半年間に渡り、香川の視察を行った。
・マンUのDFリオ・ファーディナンドのツイート「シンジ・カガワ、マンUへようこそ。このクラブは君の成功のためにある」

 

■エクスプレス:肯定的
 <見出し>
Shinji Isn’t Here To Shift Shirts: Kagawa wants to be the first Japanese player to make the breakthrough in England. The Cynics will suggest Kagawa has been signed to boost the commercial interests of Man U in Japan, where they have a huge following.
シンジはシャツを売るためにここへは来ない:カガワはイングランドで成功する最初の日本選手になる事を望む。冷笑家はカガワが日本でのマンU商業拡大のために獲得されたと案ずるだろう。
<内容>
・推定移籍金額は約1200万ポンド(約14億8000万円)で、成績次第で1700万ポンド(約21億円)に達する。
・香川にはチェルシー、アーセナル、ミランからもオファーがあった。
・香川はマンUを拒否し、チェルシーを選んだベルギー代表MFアザールの半額の移籍金。
・香川はパク・チソンが2005年にPSVからマンUに移籍した時と同じ皮肉られ方をされているが、パク・チソンが使えると言うことを証明した以上に、ポール・スコールズの後釜として即戦力となる選手。
・ドルトムントが2010年に香川を獲得した際の移籍金は35万ポンド(約4300万円)だった。
・香川は稲本潤一、戸田和幸、中田英寿、宮市亮に次いで5人目のプレミアリーグ選手となる。

 

■メール:中立的
<見出し>
Shinji Kagawho?: United Fans Expecting A Bigger Buy. Within minutes of the announcement that Man U had agreed the signing of young Japanese midfielder Kagawa, the tiresome conspiracy theories began to emerge.
シンジ・カガ……誰?:ユナイテッドファンは大物選手獲得を期待している。マンUが若手日本人MFカガワの移籍合意を発表した直後、つまらない陰謀説が浮上し始めた。
<内容>
・推定移籍金額は約1260万ポンド(約15億6000万円)で、成績次第で1700万ポンド(約21億円) に達する。
・マンUのアジア市場拡大は年々厚みを増しており、カガワはその一環として買われた。
・香川は7月のプレシーズンで、そうしたイメージの壁にぶつかることになる。
・香川の談話「僕はクリスティアーノ・ロナウドやリオネル・メッシのビデオを見て、彼らのレベルに近づくために動きをイメージし、練習に生かしている。今後も成長する必要があるけど、その挑戦を諦めるつもりはない」
<陰謀説>
・過去数年間、マンUは毎年数人の不適応選手を高額で獲得しており、香川もその一人になる可能性が高い。
例)
2008年:3075万ポンド(当時英移籍金最高額)=ブルガリア代表FWディミタール・ベルバトフ
2009年:900万ポンド=セルビア代表MFゾラン・トシッチ
2010年:1000万ポンド=イングランド代表DFクリス・スモーリング
2011年:1780万ポンド=スペイン代表GKダビド・デ・ヘア
2012年:1260万ポンド=日本代表MF香川真司?

 
 これらの報道を見て一つ言えることは、世界最高峰と呼ばれるプレミアリーグで、一日本人選手の移籍報道がここまで加熱しているということ。香川が世界トッププレーヤーの一員として、ヨーロッパで認められている何よりの証だろう。香川がこのまま正式契約を結び、赤いユニフォームを着ることになれば、彼へのプレッシャーはかなりのものになるはずだ。
 
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【プロフィール】
藤井重隆(ふじい・しげたか)
都立駒場高校出身。大学在学時よりスポニチ通信員として稲本潤一選手の取材を中心に記者活動を開始。2006年に ロンドン大学メディア学部を卒業し、日刊スポーツ、時事通信を経てスポーツ・ジャーナリストとして欧州サッカー界に精通。在英10年では、イングランド7部でのプレーも経験し、FAコーチング・レベル2を取得。

 

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