[ワールドサッカーキング 2012.04.19(No.212)掲載]
サッカー王国の新たなスター、ネイマールはゴールラッシュで新たなシーズンの幕を開けた。敗北を経験に変え、彼はまた大きく成長したようだ。
ブラジルのサッカーシーズンが開幕して1カ月半が経過した。サントスの若きエース、ネイマールは、最初の公式戦(サンパウロ州選手権とコパ・リベルタドーレス)の11試合で10得点を挙げる、最高のスタートを切った。チームも、コパ・リベルタドーレスのグループリーグにおける最大のライバル、インテルナシオナウに3-1快勝するなどまずまずの出足を見せている。
昨年12月のクラブ・ワールドカップ決勝、サントスはバルセロナに完敗を喫した。チームの完成度でバルサに譲ったのはともかく、個人技のレベルでも圧倒されたのは、ネイマールと仲間たちにとっては少なからずショックだったことだろう。だが、新たなシーズンが始まった今、ショックを引きずる者はいない。
ネイマールはバルサ戦について「多くの教訓を得られた」と前向きに受け止め、「12月にはまた日本に行く」と新たなモチベーションにしている。サントスのチームメートも同様だろう。
世界トップレベルのプレーヤーでありながら、サッカーを楽しむ心を失っていないネイマールは、いまだ急ピッチで成長を続けている。今年の12月、日本のサッカーファンは前回よりも大幅にスケールアップしたネイマールを見ることになりそうだ。
大胆にプレーして喜びを味わいたい
クラブW杯での活躍で、日本における君の知名度は跳ね上がった。でも、まずは君のプレースタイルを、君自身の言葉で改めて教えてもらえるかな。
ネイマール 相手ゴールに向かってスピーディーにアタックする。それが僕のスタイルだと思っているよ。僕のサッカーに対してのモットーは、「大胆にプレーして喜びを味わいたい」なんだけど、これは人生をどう生きるかについても同じことが言えるだろうね。
昨年末のクラブW杯について少し振り返ろう。準優勝という成績は別として、チームと自分のパフォーマンスについてはどんな評価をしている?
ネイマール バルサには敗れてしまったけど、サントスも僕自身も、あの敗戦で多くのことに気付いた。あの試合から得られた教訓を日々の練習に実践しているよ。敗北から学ぶことはたくさんあるからね。
大会自体は大いに盛り上がったよね。君がプレーした2つのスタジアムの印象はどうだった?
ネイマール 名古屋も横浜も、スタジアムはとても素晴らしかったよ。そして、ブラジルからあれだけ離れていても、たくさんのサントスファンが応援に来てくれた。そのことがとてもうれしかったな。
0-4というスコアを見る限り、バルサは君たちよりかなりレベルが上だったと言わざるを得ない。“世界最強のバルサ”に勝つことは可能なのだろうか?
ネイマール サントスは強いチームだけど、バルサほどチームとしての連係が出来上がっていなかったんだと思う。バルサはチーム全体が一つになって機能していたからね。でも、一歩ずつ上達していけばいい。そうしていけば、いつかは同じレベルで戦えるようになると信じているよ。
日本遠征で楽しい思い出を作ることはできた? 日本で一番印象に残ったことは何だろう?
ネイマール 日本は素晴らしい国だよ。日本人は誠実で、思いやりに満ちていて、そしてどんな困難にも負けない強さを持っている。印象に残ったのは美しいスタジアムと、街のイルミネーションだね。だけど、チームとしての行動だったので、観光したり遊んだりする時間が全くなかったから、それは少し残念だったよ。
君は昨年のFIFA年間最優秀ゴールを受賞したよね。華麗なドリブルから決めたあのゴールについて、君の口から詳しく解説してもらえるかな?
ネイマール フラメンゴとの試合で決めたゴールだね。左サイドからドリブルを始め、相手選手を2人かわした後にボルジェスにパスしたんだ。彼は完璧なワンツーパスを返してくれた。そして僕はロナウド・アルジェリンをフェイントでかわし、シュートを放った。神のご加護もあって、素敵なゴールを決めることができたよ。
ボールコントロール技術とドリブルの精度、そして予想外のプレーが君の持ち味だ。その中で「この部分をもっと伸ばしたい」と思っている点はある?
ネイマール いや、すべてにおいて常にレベルアップしたいと考えているよ。まだ自分のピークだとは思ってないからね。自分で言うのもなんだけど、20歳だからまだまだ上達できるはずさ(笑)。
点を取ることとアシストでは、やはりゴールのほうが好き?
ネイマール やはりサッカーの試合で最も幸せな瞬間はゴールを決める時だね。でも、アシストをすることも試合の中ではとても重要だと思っているよ。
ワールドサッカーキング No.212
【総力特集】スカウティング・リポート
▼連載『MADE in JAPAN』宮市亮
▼インタビュー ネイマール「また日本で会おう!」
▼インタビュー スタリッジ「すべての体験を成長の糧に」
▼インタビュー ボリーニ「加速するゴールマシーン」
▼指揮官たちの夏の去就を完全予測「監督シャッフル」
▼ウルグアイ 古豪復活の理由
▼特別付録 WSKオリジナル・ポスター(メッシ/ネイマール)
定価:570円(税込) >>誌面の詳しい内容はこちら