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【インタビュー】トレゼゲ「リーベルのためにプレーすることは、僕の夢だった」

2012.03.28

ワールドサッカーキング 2012.04.05(No.210)掲載]
フランス代表でワールドカップ王者に輝き、欧州屈指の名門ユヴェントスで10年間プレーするなど、輝かしいキャリアを築いたダヴィッド・トレゼゲ。中東で“年金生活”を送るはずだった彼が、すべてを投げ捨てて南米へと向かったのは、「リーベルを救いたい」一心からだった。
トレゼゲ

インタビュー・文=マルティン・マズール

子供の頃からの夢が実現した

まず最初に聞かせてほしい。君はUAEのクラブでキャリアの晩年を送るはずだったのに、なぜアルゼンチンの2部のクラブと契約したの?

トレゼゲ そのクラブがリベル・プレートだからさ。リーベルのためにプレーすることは、僕の夢だったんだ。

君にとってリベル・プレートはどんなクラブなの?

トレゼゲ 何ものにも代え難い存在だね。僕はブエノスアイレスで育ったから、子供の頃から熱狂的なリーベルファンなんだ。エル・モヌメンタルでの試合は友達と全試合見に行っていたくらいさ。

君はフランスで生まれたけど、育ったのはアルゼンチンだよね。

トレゼゲ 父親がフランスのルーアンでプレーしていた時に僕は生まれた。でも、僕が1歳の時にクラブが2部に降格してしまってアルゼンチンに戻ることになったんだ。だから、僕にとってアルゼンチンでプレーするということには特別な思いがあるんだ。

リベル・プレートの2部降格が決まった試合はスタンド観戦していたらしいね。

トレゼゲ さっき話した友達と一緒に見に行った。ベルグラーノとのプレーオフは初戦で負けていたから、ホームで絶対勝たなければならなかったんだ。だけど、結果はドローだった。その日はとても悲しい1日だったよ。リーベルが歴史上初めて降格するのを目の前で見せられたんだからね。

その日にリベル・プレートに移籍しようと思ったの?

トレゼゲ いや、その時はそこまで考えられなかった。エルクレスとの契約もクリアになっていなかったしね。実際にリーベルに移籍することを考えるようになったのは(マウロ)カモラネーシと話してからなんだ。彼もリーベルの大ファンだったから、何とか手助けできないかってね。

2人ともアルゼンチンで育ったけど、プレー経験は少ないよね?

トレゼゲ 僕らはほとんどアルゼンチンでプレーしていないんだ。僕はプラテンセで5試合だけプレーした後にモナコと契約した。カモラネーシも2部のクラブからメキシコに渡ったしね。

そういえば君とカモラネーシはユヴェントスが歴史上初めてセリエBに降格した時もチームを離れなかったよね?

トレゼゲ あの判断は正しかったと思うよ。リーベルの現状は、ユーヴェが降格した時と似たところがたくさんあると思う。あのシーズン、ユーヴェはマイナス9ポイントの勝ち点でスタートして見事に優勝したんだ。リーベルもBナシオナル・トーナメントで必ず優勝できると思う。

UAEではそれなりの年棒をもらっていたと聞いているけど、リベル・プレートでは待遇面でかなり格差があるんじゃない?

トレゼゲ お金は全く問題じゃなかった。僕はリーベルのダニエル・パサレラ会長と話して、クラブのためにプレーしたいという望みを伝えただけだよ。

君が契約で唯一望んだことは、できるだけ早くエル・モヌメンタルを訪れるということだったというのは本当かな?

トレゼゲ 本当だよ。エル・モヌメンタルには何度も行ったことがあるけど、ピッチに立ったことはなかったからね。実際に芝を踏んだ時はとても素晴らしい気分だった。子供の頃からの夢が実現したんだからね。

リーベルの歴史の一部になりたい

君の入団会見の時には、かつてリベル・プレートで活躍したエンツォ・フランチェスコリやマルセロ・ガジャルドが駆けつけてくれたよね。うれしかったんじゃない?

トレゼゲ 本当にうれしかったよ。フランチェスコリはリーベルの永遠のアイドルなんだ。ガジャルドはモナコでのチームメートだったしね。(マティアス)アルメイダが言葉をくれたことにも感謝しているよ。彼はちょうど半年前に現役生活を退いてから、すぐに監督になったんだ。

アルメイダ監督は「トレゼゲはピッチだけでなくロッカールームでも必要な存在」と話していた。君にはベテランとして若手をまとめる役割りも期待されているみたいだね。

トレゼゲ 自分の経験を可能な限り若い選手に伝えたいと思う。将来のリーベルを支えるのは彼らなんだからね。

君のコンディションはどう? ひざを負傷しているという話があったけど。

トレゼゲ 全く問題ないよ。UAEでプレーしなかったのはフィットネスとは無関係だったからね。アブダビでは生活環境やトレーニングに至るまですべてが違っていて、プレーできる精神状態ではなかったんだ。

フェルナンド・カベナギとアレハンドロ・ドミンゲスもリベル・プレートに戻ってきた。彼らのような経験豊富な選手はチームの大きな助けになるんじゃない?

トレゼゲ もちろんだよ。カベナギとドミンゲスはヨーロッパのトップクラブでプレーしていてもおかしくないほどの実力者だ。そんな彼らが欧州のキャリアを投げ打ってまでリーベルに手を差し伸べてくれたことに感謝している。

改めて聞くけど、2部リーグでプレーすることを選んだ決断に後悔はない?

トレゼゲ リーベルのためにプレーすることを決めたのは、彼らが2部に所属しているということとは無関係だ。僕はアルゼンチンで自分が愛するユニフォームを着てキャリアを終えられることに満足しているよ。

では、最後に今シーズンの意気込みを聞かせてほしい。

トレゼゲ リーベルの歴史の一部になりたいと思っている。ゴールをたくさん決めてチームを昇格に導いて、リーベルを本来いるべき場所に戻したい。それがかなえば最高に幸せなキャリアの締めくくりになるだろうね。

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