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羽生直剛選手×m-flo ☆Taku Takahashi氏対談「積み重ねる日々の先に」

2015.08.06

「Life with F.C.TOKYO」をメインテーマに選手たちのオフ・ザ・ピッチの姿に迫るFC東京公認マガジン『BR TOKYO』vol.11が発売されている。

「FC東京×映画」が特集テーマの今号では、FC東京の選手が好きな映画アンケートや、マッシモ・フィッカデンティ監督のイタリア映画についてのインタビューなどを収録。

表紙を飾った森重真人選手と、最近は映画俳優としても大活躍のリリー・フランキー氏の豪華対談や、FC東京の選手が都内のお気に入りスポットを紹介する「東京散歩」など、公認マガジンならではのコンテンツが盛りだくさん。

FC東京の選手の少年時代からプロになるまでに迫る「青赤YOUNGER DAYS」では林容平選手が登場。

「青赤レジェンド列伝」では、FC東京時代に多くのサポーターから愛された金沢浄氏が過去・現在・未来について語っている。

今回は、『BR TOKYO』に掲載されている羽生直剛選手とm-flo ☆Taku Takahashi氏の対談から一部をお届けしよう。

●文=八杉裕美子
●写真=青木勝洋

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「羽生さんが気を抜く時はあるの?」(Taku)
「とにかく100%でやろうっていうのを心掛けている」(羽生)

──お二人は今日初めてお会いになりましたが、今回、Takuさんが羽生選手とお話しされてみたいと思われた理由を教えてください。

Taku ご本人の前では照れくさいですけどね(笑)。僕がどうして羽生さんを好きかって言うとボールを触ってない時の動きとか、途中出場する時とか、今どういう時間帯なのかが見ている方にも分かりやすく伝わってくるというイメージが僕の中であるんですよね。

羽生 スタッフが「羽生でいいよ。とりあえず羽生にしゃべらせとけ」みたいなのじゃないんですね(笑)。

Taku この対談は大人の事情で始まったわけではないんですよ(笑)。ところで、羽生さんは文系ですか?

羽生 文系です。算数すら結構苦手でした。数学も公式はすごく覚えられて当てはめようっていうのはやるんですけど、ちょっとひねられると意味が分からない。

Taku でもプレーを見ていると正反対ですね。僕のイメージではとてもロジカルで想定外に対してすごく強そうなイメージがあるんですけど。

羽生 どっちかと言うと、ここだったらここでしょっていうか、自分の中でのマニュアル通りなんですよ。

Taku 自分ができるからそうおっしゃるけど、そういう場面で客観的に分析されているように見えるんですよ。スタジアムで試合を見ていると、ボールを持ってない時に相手選手がつられたりするじゃないですか。あれはつろうと意識して計算してるんですか?

羽生 自分の中では相手が自分につられたらこのスペースが空くし、つられなかったら自分がボールを受けられるという感覚はあります。今の僕は20代の僕とは違うから、自分がボールを受けて何かできるって思うより、この選手に入れたほうがチームにとって有益だって思うことがあるんです。

自分が受けるよりそこに入れるほうが相手が一番嫌がるし、その選手にボールを入れるためにどう動こうかなって考えると自分の動きが決まるというか。だから相手が嫌だと思うような所に顔を出せるようにっていうのを考えてやってるだけで、「いいポジション取ったな」って思ってる心の中では7対3ぐらいでボールを受けたくないなって思ってます(笑)。もちろんボールを受けた時の次のことも考えてやってるんですけど。

Taku 羽生さんはいつも走ってるじゃないですか。それですごく聞きたかったのが、ズルする時はあるのかな。気を抜く時はあるのかなって。

羽生 僕は練習も試合もとにかく100%でやろうっていうのを心掛けているんですよ。「ベテランだからこれぐらいで調整すればいい」っていうのは自分の中ではナシにしてるんです。過保護にされたりすると結果的に自分が動けなくなるのを早めると考えているので。

練習もフルメニューをこなしたいし、一つひとつのメニューも100%でやらなかったら結果的に選手寿命は縮まると思っているし。例えば、すごくボール扱いがうまいベテランの選手とかいるじゃないですか。絶対的なものを持っている人。そういう選手が調整っていうのはアリだと思うんですけど、僕はもともとハードワークを売りにしてきたからこそ、それをなくしてしまったら終わるっていうか。

Taku でも正直、小・中・高はサッカーやってる時にうまいって言われてたでしょ? いつ頃からハードワークが自分のスタイルだと? 

羽生 大学まではボールをうまく扱える選手がいい選手だと思っていたんですよ。ドリブルで抜けたり、すごいパスが出せたり。高校まではそれを目指していたし、それができると思っていたんです。でも大学に行くと通用しなくて。相手の身体も強くなるし、ドリブルで抜きたいと思った時にバンってぶつかられて終わる。

そこでフィジカルを鍛えるのかと言っても、この身長と体重と技術的なレベルを考えても難しいと思って。それからですね。身体が小さくてボディコンタクトにもそこまで耐えられる身体ではない。それでも抜けるスピードがあるかとか、逆を取れる技術があるかって考えたらそれも無理かと思って。自分を認めて、どうしようかなってやり方を変え始めたのが大学からですかね。

Taku その考えが文系というよりはロジカルシンキングだなと思うんですよ。数字じゃないんだけど、しっかりと考えていて観察力と分析力も強いなって。自分が考えることと他人が考えることって必ずしも一致しないから。羽生さんがこうですよって言ってるわけではなくて、周りから見ているとそう見えるという話なんですけど。ということは、高校まではアピールする方法は考えてなかったんですか?

羽生 考えてなかったですね。大きな目標もなかったし、プロもなりたかったけど、なれるわけないって思っていたから。目の前のことを一生懸命やってみるしかなかったんですよ。それを続けていたら、僕が望んでいる高校に行けたりとか、大学に行けたりという結果が後から付いてきたんです。

プロに進む時も周りの人には、「3年ぐらいやって、大学で教員免許取ったんだから先生にでもなれ」って言われて。「そうだよな。たまたまプロになれたけど俺なんてすぐ終わるんだろうな」って。だったら、1日の練習はしっかりやらないと。そこに悔いは残したくないというか。そういう思いを積み重ねてきたら今日に至った感じです。

Taku それをずっと続けてるんだ?

羽生 手を抜いた練習をしちゃったと思った後にすごい罪悪感があるんですよ。「今日抜いちゃったよ、俺」って。もっとやれたのに抜いちゃったからこうなったんだって。例えば、次の試合で悪かったとしたら、「あの日のあの場面で手を抜いたことの罰だ」って思うんです。

でも逆によかった時には、「あれを頑張ってきたからこれがある」って。その積み重ねを始めたら、一週間に対するストレスはすごくありますけど、オフになる時のリラックス感は半端ないですよ(笑)。

Taku 僕も実は週休2日制にすごく賛成なんですよ。人間が集中できる時間っていうのは限りがあると思うので。ミュージシャンっぽくないんですけど(笑)。デビューした頃はスケジュールがびっしりで1カ月に1日だけオフって書いてあるぐらいで。挙句の果てにそのオフの日は趣味でDJをやっちゃったりして。でも途中から2日間休むことによって自分を追い詰める方がいいなと思うようになりました。

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「ダメな時はすごくシュンとしちゃうタイプ」(Taku)
「俺も寝られない時ありますよ」(羽生)

──デビューされてからどれぐらい経ってから、2日間休むスタイルを取り入れられたのですか?

Taku もうすぐデビュー20年なんですけど、デビューして10年ぐらい経ってからかな。1週間で2日間休むと5日間しかないから休みの前までに集中してやろうって。5日間の質のいい日を大事にするというリズムを作ったほうがいいなと思い始めて。逆に休みがないとダラダラやっちゃうんですよね。

羽生 あー、分かります。僕もオフの前は軽く飲んで、好きなものを食べて。なんならラーメンも食べたり。その日までは食事にも気を付けるんです。本当はサラダとか食べたくないんですけど食べるんですよ。バランスよく食べて、試合に向けて整えて。だから試合が終わったらそこは一度解き放とうと思って。

Taku それは、その日のプレーの出来に関係なく?

羽生 勝った時のほうがそれは気持ちいいですけど。負けてもオフの時には、切り替えるために、あえてだらしなくするという感じですね。

Taku スポーツって勝敗とかプレーの質で結果がはっきりするじゃないですか。僕もほぼ毎週末DJをやっていて、たまには海外でもやるんですけど、日本でもホームもあるしアウェーもあって。それは地方の会場でも東京の会場でもあるし。すごくいいプレーができてお客さんが盛り上がってくれたら勝ちだと思うんですよ。

だから盛り上げられなくてシュンって落ちちゃう時もあるし、お客さんが盛り上がらなくてもすごく質のいいことができたからいいやと思う日もあるし。逆に今日は調子良くないけどなんか盛り上がったっていう時もあったりして(笑)。

羽生 そういうのあるんですか?(笑) サッカーでいうところのサッカーを知っている人は「今日はいい内容だった」って見えることもあるけど、あまりサッカーを知らない人がみたら「なんだこの試合」って思うのと近い感じですかね?

Taku 僕はダメな時はすごくシュンとしちゃうタイプで3日間ぐらい引きずっちゃうんですよ。

羽生 分かりますよ。俺も寝られない時ありますよ。チームが勝てなくて、自分のプレーも悪い時とか。でも、自分が悪くてもみんなが良ければ勝っちゃうこともあるから。

Taku チームでやっていることだからね。

羽生 DJって一人でやるんですよね、だいたい?

Taku そうですね。もちろん二人組でやる人もいますけどね。個人競技っぽいところはあります。例えば、あるイベントで、プレーするのは自分の時間なんだけど、他のDJも出る場合。「いいパーティー作れたね!」ってみんなが喜んでるのに、「俺はあんまりだったな」って自分だけシュンとしちゃうこととか。でもみんなが盛り上がってるから「イエーイ!」って(笑)

羽生 あー、分かります、分かります! 自分が交代した後にめっちゃ点が入るみたいなね(笑)。「お前が前半から飛ばしてやってくれたからだよ」って言われても、ちょっとしっくりこないなっていう時はありますよね(笑)。

Taku そういう風に言われるのはありがたいけど、なんか言われるのもまた痛かったりとか(笑)。

羽生 そんなだったら、お前ダメだったなって言われるほうがまだいい。(東)慶悟は面白いから、「ニュウさん今日全然ダメだったね」みたいな(爆笑)。「全然ベテランらしからぬ慌てたプレーだったよね」みたいな。「うるせーよ。いいんだよこれで」って言うけど内心傷付いていたりするんです、正直言うと(苦笑)。

だからTakuさんが立ち直るのに3日間掛かるっていうのが分からなくもないですね。僕はどっちかと言うとネガティブだし、先のことに関しては不安しかないんですよ。積み重ねてきたものに関しては人に負けない、手を抜かずに頑張ってきたっていう自信はあるんですけど、これからどうなるんだろうみたいな不安があって。だから今やるしかないなと思ってやってる。

すごく考え込むし、いまだに試合に出ても緊張するし。「何試合やってきたの?」ってよく言われるけど(笑)。この試合で何かが変わるかも。これが良ければ次に繋がるし、これがダメだったら試合に出られなくなって引退だって考えると怖くて仕方がなくて。その危機感を試合に向けてモチベーションに変えて、精神的にいい状態に持っていくという作業はしてるつもりです。

※羽生選手と☆Taku Takahashi氏の対談の全文は本誌でお楽しみください。

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