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【最終回】電動車椅子W杯総括「『絆』の大切さを学んだ大会」

2011.11.25

 11月2日から6日までフランス・パリで開催された第2回FIPFAワールドカップは、アメリカの2大会連続優勝で大会の幕を閉じました。初優勝を狙った日本は、予選リーグで3位と惜しくも準決勝進出を逃し、5位入賞にとどまっています。

 今大会は、選手やコーチ、関係者にとってどのような大会となったのでしょうか。彼らの想いを紹介して、電動車椅子サッカーW杯特集の最終回とします。


■JPFA代表強化委員会 委員長 通山賢一

 2007年10月に日本で開催されたPowerchair Football World Cupでは、日本は7カ国中第4位の成績で大会を終えましたが、技術的にも精神的にも諸外国との差は歴然でした。
 
 日本電動車椅子サッカー協会(JPFA)は、2009年4月から世界で最高の結果を残すためにメンタル的なアプローチも取り入れ、日本代表チームが最大限のパフォーマンスを発揮するためのトータルスキルアップを図るべく「FIPFA World Cup Paris 2011」への挑戦を開始しました。
 
 日本代表選手の選考は、5回の日本代表候補強化合宿を通じ行い、最終的に8名を選抜。さらに、日本代表合宿を2回開催して強化を図り、アジア最終予選と位置づけたパワーチェアーフットボールブロック選抜大会では当初の目的を達成することができ、世界で戦える手ごたえを感じることができました。
 
 しかし、World Cupはやはり限りなく困難な道のりでした。完全アウェーの環境の中、今回から導入されたクラス分けやドーピングコントロールへの対応、試合以外での文化の違い、言葉の壁を痛感させられました。
 
 日本代表の成績は、参加10カ国中第5位でした。前回よりひとつ順位を落としてしまったことを申し訳なく思います。予選リーグ敗退が決定したホテルへの帰り道、監督、コーチに「このままでは日本に帰れない! 最終戦であるカナダ戦は圧勝して5位を死守しなければならない」と話したことが昨日のようです。
 
 日本代表選手は、他国の選手と比べ障害が重度であると言わざるを得ません。障害要因も筋ジストロフィーが多く、命を懸けてサッカーをしているといっても過言ではありません。彼らが海外に出るということは真に命がけなのです。
 
 私たちJPFAにとっては初めての海外遠征となるため、日本代表チームが海外で持てるパフォーマンスを最大に発揮し戦うことを可能とするため、JPFA代表強化委員会を中心に組織的なサポート体制を確立する必要がありました。
 
 今回、外務省をはじめ日本パラリンピック委員会(JPC)や日本航空(JAL)、同行いただいた帯同医の鈴木聖一先生や通訳、選手の介助者の方々、その他数多くのみな様のサポートを頂き世界へ挑戦することができました。もしサポートが受けられなかったなら、選手全員を無事に日本につれて帰ることができなかったかもしれません。すべてのサポートを頂いたみな様に紙面をお借りして心から感謝申し上げます。誠にありがとうございました。
 
 私たちJPFAの世界へのチャレンジはこれで終わりではありません。「FIPFA World Cup trophy」を日本に持ち帰るために何度でも挑戦します。今後ともみな様の心温かいご支援、ご協力を心よりお願い申し上げます。
 
 

■日本代表 6番 吉沢祐輔
 まず、始めに応援していただいた全ての方々にお礼申し上げます。皆様のサポートのおかげで最後まで頑張れました。と同時に、結果を出せなかったことは大変申し訳なく思います。
 
 セミファイナル進出まであと一歩届かなかった悔しさがありますが、
逆に世界の壁は自分たち次第で超えられるとこまで来たという自信も生まれてきています。これからの4年間やれることをやり、4年後の第3回ワールドカップ日本代表になることが今の私の目標です。
 
 最後になりましたが、私はやはりサッカーが好きです。仲間やサポーター、チームが持つエネルギーが私に勇気や希望を与えてくれているからだと思います。これからも感謝の気持ちを忘れず世界一の夢に向かって走り続けます。本当にありがとうございました。
 

 
■日本代表 9番 北沢洋平
 第2回ワールドカップ・フランス大会を終えて前回の東京大会の4位よりも順位を下げてしまった申し訳なさと良い結果をあげることができずとても悔しい気持ちでいっぱいです。
 
 全く結果には満足していませんが、充実感も感じられています。今回は完全アウェーだったので、レフェリーのジャッジやコートの状態、環境が全く違い、うまくいかないことが多かったですが、日本代表チームは林キャプテンを中心に持ち前のチームワークでカバーしました。試合の方では負けてしまいましたが、チームワークの良さや心では勝っていたのではないかと思います。
 
 今大会を通じて、日本代表の能力は各国に引けを取らないレベルにはあったと思います。それでも結果につながらなかったのは、各国より力を出し切れなかった僅かな差だと思います。やはりその僅かな差をワールドカップ本番で出すことの難しさやアウェーの厳しさを目の当たりにしました。
 
 今後はその僅かな差を埋めつつさらに強い日本代表になるため、そして第3回ワールドカップにまた選手として出場するために日々精進して頑張っていきたいと思います。
 
 このワールドカップで、現地で日本代表を応援してくださる皆様の支えや遠い日本から応援してくださる方々や素晴らしい仲間とともに戦えた事を誇りに思い感謝しています。本当にありがとうございました。今回は電動車椅子サッカーを初めて知っていただけた方も多いと思います。
 
 電動車椅子サッカーを知っていただいてありがとうございます。そして、日本代表への支援や応援していただきありがとうございました。まだまだ知名度が低い障害者スポーツなので、どんどんいろいろな方に電動車椅子サッカーを認知してもらえるように頑張っていきたいと思っています。よろしくお願い致します。

■日本代表ヘッドコーチ 城下健一
 まず始めに、日本代表を応援していただいた皆様に感謝いたします。
そして、皆様に「世界一」のお約束を果たせなかったことを、日本代表ヘッドコーチとしてお詫び致します。
 
 初めての海外での国際大会ということもあり、様々なクリアすべき事がありましたが、スタッフの皆様の並々ならぬご尽力と、選手の熱意、ご家族の支えのおかげで無事戦い抜くことが出来ました。
 
 特に、会場の雰囲気は日本では体感したことのない熱気と声援にあふれ、高橋会長が4年前におっしゃっていた「日本の皆さんにも見ていただきたい」という言葉どおり、この雰囲気を日本の皆様にもお伝えしたい気持ちになりました。
 
 各代表チームへの寄せ書きボールに、「絆」と書かせて頂きました。日本の皆様との「絆」、選手・スタッフや家族との「絆」、各国の代表団との「絆」、PowerchairFootballを愛する全ての皆様との「絆」の大切さを学んだ大会であったと思います。
 
 最後に、日本代表を支えていただいた全ての皆様へ感謝いたしますとともに、これからのご支援をよろしくお願いいたします。

日本代表選手団解団式の模様
http://youtu.be/Wk4JYMATbas

コチラのサイトより予選プール 日本対アメリカ、日本対イングランドの試合が配信されています。
http://www.worldcupfipfa-paris2011.org/eng/media/world-cup-tv/don%E2%80%99t-miss-any-of-the-world-cup-games/

FIPFAワールドカップオフィシャルサイト
http://www.worldcupfipfa-paris2011.org/eng/

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