文●下薗昌記 写真●Getty Images
3735メートルの高地での戦いや、北はメキシコから南はアルゼンチンまで10000キロ近い移動距離などピッチ外でも過酷な戦いが続くコパ・リベルタドーレス。解放者たち(リベルタドーレス)をその名に掲げるこの大会は南米のクラブが垂涎する大陸最高峰の大会である。
56回目を迎えた今大会も見どころは盛りだくさんだ。
まずはグループリーグの熱戦を振り返りたい。
「グルーポ・ダ・モルテ(死の組)」として話題を集めたグループ2はサンパウロとコリンチャンスのブラジル勢と、そして前回王者のサンロレンソ(アルゼンチン)が同居した激戦区。ダニーロやファビオ・サントスら元Jリーグ勢を擁するコリンチャンスが早々に一位通過を決め、残る1枠を巡ってサンパウロとサンロレンソが最終節までしのぎを削るもディフェンディングチャンピオンは、無念のグループリーグ敗退。前年王者のグループリーグ敗退は2007年のインテルナシオナル以来だった。
昨年は23年ぶりにブラジル勢不在の準決勝となったが代わって存在感を見せたのがアルゼンチン勢だった。グループリーグで圧倒的な強さを見せたのが今大会の出場クラブ中、最多となる6度の優勝を誇るボカジュニアーズ。強豪と同居しなかったグループ5で、6戦全勝。19得点2失点という圧巻の戦いぶりで決勝トーナメント進出の16チーム中、最高の成績で勝ち上がりを決めた。元イタリア代表のオズバルドやウルグアイ代表のロデイロらタレントも豊富で有力な優勝候補だ。エストゥディアンテスやラシンなど名門が順当に決勝トーナメント進出を決めた中、思わぬ低迷を強いられたのが優勝候補の一角、リバープレートだ。2011年にクラブ史上初の2部降格を強いられながらも、復活を果たし2014年にはコパ・スダメリカーナも征したアルゼンチンの名門は、グループリーグ5試合を終えて1敗4分けという絶体絶命の状況だったが最終節で初勝利。勝ち点7で辛うじて決勝トーナメント進出をつかみとった。
圧倒的な勝ち上がりを決めたボカ・ジュニアーズと低調だったリバープレートの足取りが、決勝トーナメント1回戦で更なるドラマを生むことになる。
コパ・リベルタドーレスの決勝トーナメント1回戦の組み合わせ方法はこうだ。1位通過の8チームが勝ち点の多い順に1位から8位に振り分けられ、同様に2位通過の8チームも9位から16位に振り分けられる。
1位が16位と、2位が15位という規定で対戦相手が決まるがボカ・ジュニアーズはリバープレートとの対戦が決定した。
数ある南米のダービーマッチの中でも最高のカードと言えるのがボカ・ジュニアーズ対リバープレートの「スーペルクラシコ」。5月7日の決勝トーナメントファーストレグを控えた3日にも既に国内リーグの首位攻防戦で相見えており、この前哨戦はボカ・ジュニアーズが2対0で勝利しているが、11日間で実に3度のスーペルクラシコが実現するという異例のシーズンになった。
ブラジルでは決勝トーナメントを「マタ・マタ(殺し合い)」と表現するが決勝トーナメントは1回戦から見応えのあるカードが目白押しだ。
サンパウロはクルゼイロと、アトレチコ・ミネイロはインテルナシオナルとそれぞれ対戦し、ブラジル勢が潰し合う恰好に。グループリーグでは序盤出遅れたが完全復活したパト擁するサンパウロはルイス・ファビアーノやミシェウ・バストス、ガンソ、ドリアら攻守にタレントが揃う優勝候補の一角でもある。
コパ・リベルタドーレスを盛り上げるのはブラジルとアルゼンチンの名門だけにとどまらない。2004年のオンセカルダス(コロンビア)や2008年のリガデキト(エクアドル)のように数年に一回、誰もが予想していなかったダークホースが現れるのもこの大会の特徴だ。
ラファエウ・ソビスやゲロン、そして現役アルゼンチン代表GKのグスマンを擁するメキシコのティグレスやコパ・スダメリカーナ準優勝のアトレチコ・ナシオナルも虎視眈々と大会制覇を目指す。
ビッグネームやダイヤの原石のプレーをチェックするのも良し、Jリーグ経験のある監督や選手の奮闘を確認するも良し。12月に日本で開催されるクラブワールドカップを目指す南米クラブの熱い戦いが、いよいよ決勝トーナメントから本格化する。
http://www.ntv.co.jp/soccer/
「コパリベルタドーレス リバープレートvsボカ・ジュニアーズ」
5月10日(日)23:30~CS放送日テレジータスにて放送
http://www.ntv.co.jp/G/soccer/copalibertadores/