2015.02.23

巻き返しのキーマン、ヘンリク・ムヒタリアンが語る決意「すべてはチームのために」

[ワールドサッカーキング3月号掲載]

ブンデスリーガの前半戦を終えてまさかのノーゴール。チーム事情により、最も得意とするトップ下でのプレー機会も減少した。だが、どんな苦境にも、背番号10の心は折れていない。ヘンリク・ムヒタリアンが語る、後半戦巻き返しへの決意表明。

main_Mkhitaryan1

インタビュー=国井洋之
写真=ムツ・カワモリ、ゲッティ イメージズ

ゴールで少しでもチームに貢献したい

――あなたは「ムヒタリアン」、「ミキタリアン」など、様々な呼ばれ方をしています。まず最初にあなたのファミリーネームの正確な発音を教えていただけますか?

ムヒタリアン 正確な発音は「ムヒタリアン」。最初の音は“マ”に近いかもね。でもドイツの人たちには発音が難しいみたいで、名前の綴りも変えている。それでドイツではにマズイよね。ただ、動き自体はまずまずだと思う。チームの状況と同じで、フィニッシュまでの過程は悪くないんだ。だから、またすぐにゴールを奪えるようになるはずさ。今の姿勢を変える気はないし、ゴールで少しでもチームに貢献できるようになりたいね。

――今回の冬季キャンプでは、具体的にどんな部分の改善に取り組んでいますか?(編集部注:このインタビューは1月11日に行われた)

ムヒタリアン まずはコンディションを上げること。前半戦はこの点がいまひとつで、かなりの故障者を出してしまったからね。コンディションを上げてケガを予防する。これがチーム全体の狙いさ。もちろん、キャンプ中に組まれているテストマッチはすべて勝ちに行くよ。ウインターブレイク明けの初戦は、レヴァークーゼンが相手だ。それまでにどれだけコンディションを上げられるかがカギになる。

――では今回のキャンプの狙いは細かい戦術の確認ではなく、コンディション調整がメインということですか?

ムヒタリアン そうだね。今日のトレーニングでは、一人で黙々とランニングしていましたね。

――足首のケガの状態はいかがですか?

ムヒタリアン もう少しで完治するんじゃないかな。あと10日から2週間くらいでチーム練習に復帰できると思う。今は筋力の維持とコンディションを上げる目的で、ランニングに励んでいる。


sub01_Mkhitaryan2

一番やりたいのはやっぱりトップ下

――ドルトムントは1月の移籍市場で、スロヴェニア代表のケヴィン・カンプルを獲得しました。得意とするポジションはあなたや香川選手と同じ攻撃的MFですが、新たなライバルの加入をどう受け止めていますか?

ムヒタリアン いや、チーム内にライバルが存在するとは考えていない。(ユルゲン)クロップ監督から任されたポジションなら、僕は右でも左でも、どのポジションでもプレーするつもりだ。優先すべきはチームの勝利だからね。それにドルトムントほどのビッグクラブとなると、熾烈なポジション争いがあるのは当然さ。その中で定位置をつかめるように頑張るだけさ。

――実際にカンプルのプレーを目の当たりにしての印象は?

ムヒタリアン 技術的なレベルはものすごく高いし、チームの重要な戦力になるのは間違いないよ。そもそもドルトムントが獲得したんだから、良い選手に決まっているよね。

――ドルトムントの基本システムは4-2-3-1です。そして前半戦のあなたは2列目の右サイドを務めるケースがほとんどでした。先ほどポジションはどこでもいいとおっしゃっていましたが、本職のトップ下で勝負したい気持ちは全くありませんか?

ムヒタリアン 正直に言えば、一番やりたいのはやっぱりトップ下さ。でもクロップ監督の指示ならサイドでも構わない。それこそGKだってやってみせるよ。ヤン・コラーやケヴィン・グロスクロイツがやっていたようにね(笑)。僕はチームプレーヤーだと思うんだ。それは監督も分かってくれているし、希望するポジションでプレーできなくても僕は怒ったりしない。(編集部注:コラーとグロスクロイツは3人の交代枠を使い切った後にGKが退場した試合で、それぞれ急造GKを務めた経験を持つ)

――クロップ監督は常にあなたへの信頼を口にしています。監督はどんな人ですか?

ムヒタリアン 監督には正直、感謝の気持ちしかない。父親のような存在であり、時には兄のような、そして友のような存在でもある。僕が試合中に疲れているか、僕が何を求めているか。そういったすべてを理解してくれている。繰り返すけど、監督には本当に感謝しているんだ。今後も彼のファミリーとして恩を返していきたいと思う。とにかく試合で全力を出し切らないとね。


Borussia Dortmund - La Manga Training Camp Day 8

シンジの本領発揮を僕も待ち望んでいる

――あなたは先日、4年連続でアルメニアの年間最優秀選手に選ばれました。後半戦の巻き返しに向けて、大きな励みになったのでは?

ムヒタリアン 受賞は力になったし、自信にもつながった。でもだからと言って、満足していいわけじゃない。調子に乗って練習をサボるなんてもっての他さ。何しろ4年連続だ。ファンの期待は更に膨らんでいるはずだよね。その大きな期待に応えるのが自分の責務だと思っている。

――後半戦の個人的な目標、そして、それを実現するためのポイントは何でしょうか?

ムヒタリアン 昨シーズンの自分よりもうまくなること、それが目標さ。数字で表すなら1年目より多くのゴールとアシストを記録したいね(1年目は9得点10アシスト)。チームとしての目標はチャンピオンズリーグとDFBポカールでの上位進出。リーグ戦については、さっきも言ったとおり、できるだけ高い順位で終えたいね。

――「できるだけ高い順位」とは、具体的にはヨーロッパカップ戦の出場圏内(6位以内)を指すのでしょうか?

ムヒタリアン 難しいのは分かっている。でも、不可能じゃないと思うんだ。僕たちはそれに向けて頑張るだけ。1試合1試合、勝ち点3の確保に集中したい。相手がレヴァークーゼンでもアウクスブルクでも関係ない。ひたすら3ポイントを積み上げていく。それで最終的に良い結果が出るといいんだけど。

――チャンピオンズリーグの決勝トーナメント1回戦ではユヴェントスと対戦します。あなたはシャフタール時代に対戦経験がありますが、ユーヴェの印象はいかがですか?

ムヒタリアン 確かに3年前に戦っている。でも、当時のユーヴェとはシステムも選手の顔触れも違うし、何より今のユーヴェはあの時よりもチーム力を高めている。3年前の経験はあまり役に立たないんじゃないかな。チームとしてしっかり相手を分析して、勝てるように努力するよ。

――最後の質問は、特に日本のファンが気になっていることです。あなたと香川選手の関係は良好ですか?

ムヒタリアン ピッチの外で冗談を言い合う仲さ。良い関係を築けているよ。彼は賢くて、シャイな性格に見えるな。マンチェスター・ユナイテッドに入団したくらいだから、もちろん選手としても優秀だよ。ただ、イングランドであまりプレーしていなかった影響からか、ドルトムント復帰後はすべてを出し切れていない気がする。彼のベストを引き出すことも、チームとしての課題だ。シンジの本領発揮を僕も待ち望んでいるよ。