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増える“アジアマネー”…国内経済停滞で外資増/スペイン現地直送コラム

2015.01.29

<<enter caption here>> at Vicente Calderon Stadium on January 28, 2015 in Madrid, Spain.

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トーレスが復帰したアトレティコ・マドリード [写真]=Getty Images

 アジアの富豪がリーガの風潮を変えつつある。

 中国の富豪、王健林が会長を務める不動産大手「ワンダ・グループ」がアトレティコ・マドリードの株式20パーセントを取得した。王健林会長は4000万ユーロ(約53億円)以上を支払い、同クラブの株を買った。彼の資本参加によって、クラブは多額の負債の軽減を期待していると報じられた。またアトレティコ・マドリードは中国にサッカースクールを開校し、トップチームは中国遠征を計画しているという。

Wang Jianlin Attends Press Conference For The Opening Of A Wanda Movie Park
中国の大富豪、王健林氏 [写真]=Getty Images

 レアル・マドリード、バルセロナの次ぐスペインの名門であり、強豪のクラブ経営にアジアの富豪が参加する。このニュースはスペイン国内で大きなインパクトを持って、伝えられた。

 深刻な経済危機にあるスペイン。失業率24パーセント、25歳以下の失業率が53パーセントと仕事がなく、若者は次々と外国に飛び出している。とにかく国内にお金はなく、職もない。国内経済はここ数年すっかり冷えきっている。

 記録的な移籍金などで話題を集めるサッカーではあるが、そんな移籍金を払えるのはレアル・マドリードやバルセロナといった本当にごく一部だけ。国内経済の影響を各クラブはもろに受けている。かつてはどのクラブにも胸にスポンサー名が入っていたが、今は胸に広告がないことも珍しくなくなった。

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バレンシアの新オーナーとなったリム氏 [写真]=Getty Images

 国内にお金がない。では、外からお金を集めればいい。スペインサッカーには今、外からのお金を積極的に呼び込んでいる。特にアジアだ。

 前記したアトレティコ・マドリード然り、バレンシアの新オーナーとなったピーター・リムもシンガポール人資産家だ。ピーター・リムは9400万ユーロ(約124億円)を支払い、負債をなくし、クラブの株70パーセントを取得した。バレンシアは新オーナーのバックアップを得て、チャンピオンズリーグ出場権獲得を目標に積極的な補強を続けている。

 今シーズン、レアル・ソシエダとラージョ・バジェカーノのユニフォームにはスポンサーとして中国企業の名前が入っている。またエイバルのユニフォームには注目を集めるレアル・マドリード戦でアジア企業の広告が入り、エスパニョールのホームスタジアムは今シーズンからネーミングライツを中国企業に売り、「Power8」と呼ばれるようになった。

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レアル・ソシエダの胸スポンサーは中国企業 [写真]=Getty Images

 このようにアジア、特に中国企業の参入が今シーズンのリーガ・エスパニョーラでは目立っている。

 イングランドにはロシア人富豪がやって来たチェルシー、UAEのロイヤルファミリーがやって来たマンチェスター・Cが、欧州のビッククラブのひとつとなった。フランスではパリ・サンジェルマンにカタールの富豪がやって来て、同じくチャンピオンズリーグの常連となった。

 今後、スペインから中国、シンガポールといったオーナーの資金をバックに欧州のビッククラブとなるチームが出現するだろうか。

座間健司(ざま・けんじ)。1980年生まれ。東京都出身。2002年、大学在学中からアルバイトとして『フットサルマガジン ピヴォ!』編集部に入社。2004年夏に渡西し、スペインを中心に世界のフットサルを追っている。フットボールは2008-09シーズンからビジャレアルのソシオとなり、定期的に試合観戦をしている。2012年よりフットサル、フットボールを中心にフリーライター&フォトグラファーとして活動を始める。ブログはこちら(http://blog.zamakenji.com)。twitterアカウントは『@KenjiZama

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