日本代表MF香川真司が所属するドルトムントが、今シーズン開幕前の移籍市場で、バイエルンからの移籍が決定的と見られていたクロアチア代表FWマリオ・マンジュキッチの獲得に動いていたことが分かった。25日、ドイツ誌『シュピーゲル』が伝えている。
昨シーズン終了時点ですでに、ポーランド代表FWロベルト・レヴァンドフスキがバイエルンへ移籍することが決定していたドルトムントにとって、同選手に代わるストライカーの獲得は急務だった。
同誌によると、そのためドルトムントのハンス・ヨアヒム・ヴァツケCEOや、スポーツディレクターであるミヒャエル・ツォルク氏ら首脳陣は、ジョゼップ・グアルディオラ監督との不仲が噂され、その放出が確実とされていたマンジュキッチの獲得に動き出していたそうだ。
しかし、ドルトムントが同選手の獲得に本腰を入れることはなかった。その理由は、指揮官ユルゲン・クロップがこれを拒んだからだという。
「現場の意向が反映されない」、「経営陣トップの判断で補強が決まってしまう」という話は、世界を見ればそう珍しいことではない。しかしドルトムントは社長、SD、監督の協調を最も重要視し、3人のうち1人でも否定的な見解を示せば、その話はなかったことになる。そして今回この件で「ノー」を突きつけたのは、クロップ監督であった。
『シュピーゲル』によれば、同監督はマンジュキッチの人間性に疑問を抱いていたとされる。確かにグアルディオラ監督はバルセロナを率いていた当時、カメルーン代表FWサミュエル・エトー、スウェーデン代表FWズラタン・イブラヒモヴィッチらと衝突しており、個性の強いストライカーの手綱操作に失敗することもあった。しかしクロップ監督からすれば、指揮官に楯突いた過去がある(と噂される)マンジュキッチの獲得に尻込みしてしまうのは、理解できる話だ。
結果的にドルトムントはイタリア代表FWチーロ・インモービレ、コロンビア代表FWアドリアン・ラモスの2枚を獲得し、ストライカー探しに終止符を打った。しかし、リーグ前半戦に2人が記録したゴール数は、足してもわずかに5。レヴァンドフスキの代役などそう簡単に見つかることはないが、それにしても随分と寂しい数字であることは間違いない。
アトレティコ・マドリードで今シーズンここまで公式戦16ゴールを叩き出しているマンジュキッチの姿を見て、クロップ監督は何を思っているのだろうか。