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【インタビュー】清武弘嗣「アジアでは常に日本が一番でいないといけない」

2015.01.10


写真=兼子愼一郎 インタビュー・文=関口剛

不本意な形でブラジルの地を去った清武弘嗣は、その活躍の場を新天地に求めた。
ハノーファーで迎えたブンデスリーガ3年目。前半戦17試合すべてに出場し、今再び充実の時を迎えている。
ワールドカップ以来の日本代表復帰を手にした清武弘嗣が、アジアカップへの思いを語る。

一番はゴール。打てるチャンスがあればシュートを最優先に

――今シーズン、ブンデスリーガ開幕前にニュルンベルクからハノーファーへと移籍しました。海外での移籍の難しさは?
「やっぱり移籍金が高いので、ファンからの期待もそうですし、チーム内からの期待も大きくなる。序盤で結果が出なかった時は、正直やばいなって思いました」

――チームメイトに酒井宏樹選手がいたことは大きかったのでしょうか?
「大きいですよ。宏樹がいるから(ハノーファーに)行こうと思いましたし、生活面でもすごく助けてもらっています。おかげでチームに馴染むのにそれほど時間はかかりませんでしたね」

――開幕戦こそ途中出場でしたが、その後はすぐに主力に定着しました。
「なかなか結果が出せない中、(コルクト)監督が常に信頼してくれて使い続けてくれたことが(前半戦の)後半の好調につながったと思います」

――監督からはどんな役割を期待されていると思いますか?
「常に『ゴールを決めてほしい』と言われています。『シュートを打て、シュートを打て』って。もちろんラストパスも求められていると思いますけど、やっぱり一番はゴール。だからプレー中、打てるチャンスがあればシュートを最優先に考えています」

――前半戦を終え、17試合に出場して3ゴール、3アシスト。この数字をどう捉えていますか?
「そのほとんどが前半戦の後半に取った形なので、シーズンの最初から得点に絡めていれば、もっと良い数字を残せたのかなと思います。決して満足のいく数字ではありません」

――シーズン序盤に結果が出せない中で、どんなところを意識して修正していったのでしょうか?
「やっぱりトップ下でプレーできるようになったのが大きいですね。サイドだと守備に戻る分、どうしてもゴールから遠くなってしまうんです。走る距離も長くなって、疲労も溜まってしまいますし。トップ下はゴールに近いし、もちろん守備もするけど、カウンターの時には相手のゴール前にいられる。理想的だったのは(第11節の)ヘルタ・ベルリン戦のゴールです」

――シュートフェイントでDFを交わして左足を振り抜いたゴールですね。
「ああいうシーンではDFが滑ってくることが多いので、あえて長めにトラップして切り返しました。誘った感じです。シュートもGKが逆に飛ぶと思ったので、体勢はファーに向けながらニアを狙いました」

――ただ、その後は左サイドでプレーすることも多くなりました。
「ラース(・シュティンドル)が戻ってきてからは左でしたね。ただ、左サイドは左サイドで新鮮ですし、どういう風にゲームをつくっていくかを考えたり、楽しいですよ。ただ、サイドはどれだけ走れるかっていうのがカギになってくると思います」

――今シーズンはセットプレーの精度が際立ってきているように感じます。どんなことを意識していますか?
「特に意識していることはありません。練習では監督の指示も細かいので、指示どおりに蹴っているだけです。チームにはヘディングが強い選手もいますし、ある程度いいボールを蹴っておけば、あとは中でどうにかしてくれるので。それはドイツの1年目から変わってないですね」

――第9節のドルトムント戦では見事な直接FKを決めました。
「縦に落ちるキックは練習していたんですが、試合で蹴ったのはあれが初めてです。練習どおりに蹴ったと言えば、練習どおりなんですけど、入ってよかったです。FKはヤットさん(遠藤保仁)の映像を見て練習していました」

――後半戦に向けて、チームとしての課題は何でしょうか?
「ちょっと前半戦は波があり過ぎたかな、と。3連勝したかと思えば3連敗したり。連敗しないチームが本当に強いチームだと思うので、後半戦は連敗をなくしたいですね」

――ハノーファーはアウェーで勝てない印象がありますが、実際にプレーしてどんな印象ですか?
「それは宏樹から常に言われていました。アウェーでなかなか勝てないって。ただ、僕はそこまで感じませんでしたね。アウェーの難しさはどのチームにもある問題ですし、極端な弱さは感じません」

――前半戦は8位で終えました。後半戦に向けて意気込みをお願いします。
「攻撃に関してはタレントも揃っています。勝ち点は詰まっていますが、前半戦は落としてはいけない試合を落としてしまっていたので、そういう試合をもっとモノにしていければと思います。選手は皆ヨーロッパリーグを目指していると思うので、まずはそこですね。個人としてはもっとゴールを決めたいと思います」

独特な雰囲気があるアジアの戦いは、本当に難しい

――続いて日本代表について話をお聞きします。アジアカップの日本代表メンバーに選出されましたが、選ばれる自信はありましたか?
「全くありませんでした。9月、10月、11月と選ばれていなかったので、想像もしていませんでしたね」

――アギーレ監督は「複数のポジションをこなせること」を理由に挙げていましたが。
「3か月選ばれていない中で、選ばれたっていうのはすごく光栄なことですし、うれしいことです。自分としては、結果を残せるようにやるだけだと思っています」

――ワールドカップでの悔しい思いを晴らしたいという気持ちはありますか?
「ワールドカップとアジアカップは違うと思いますが、アジアでは常に日本が一番でいないといけないと思うので、変わらず1位であり続けたいですね」

―――レギュラーの座をつかむために、どんなことをアピールしていきたいですか?
「やるからにはもちろん試合に出たいですけど、『自分が自分が』ってなり過ぎてしまうのもいけない。サッカーはチームスポーツなので。誰が出てもいい状態で臨めるように、チームがいい方向に行けばいいかなと思います」

――ワールドカップ以降の日本代表をどう見ていましたか?
「率直に『変わったなー』って(笑)。選手が。もちろん監督が変われば選手も変わるんですが」

――ご自身が選ばれないことに対して悔しい気持ちはありましたか?
「もちろん悔しい気持ちもありましたけど、僕はハノーファーで充実していたので、あまりそういうことは考えずに普通に日々を過ごしていた感じです」

――清武選手にとっては初めてのアジアカップになります。
「アジアでの戦いはワールドカップの予選などで経験しています。レフェリーなんかも含めて難しさはありますよね。独特な雰囲気がありますし、本当に簡単ではない」

――ワールドカップ直後には「4年後はキャプテンマークを巻いてプレーするのが目標」と語っていましたが、今もその気持ちは変わりませんか?
「全く変わっていません。そういう目標に向かって日々がんばっていければいいっていうのは、常に思っています」

――そうした考えは長谷部誠選手の影響もあるのでしょうか?
「ハセさんは1年間ニュルンベルクで一緒でしたし、代表での姿勢も見ています。ただ、今はまだ日本代表のキャプテンはハセさんじゃないといけないと思います。ハセさんをはじめとしたベテランを見て学ぶことはまだまだたくさんありますから」

――清武選手は、28歳という年齢で「4年後」を迎えます。
「サッカー選手として一番いい時期ですし、多くの選手が28歳くらいでワールドカップの舞台に立ちたいと思っているはずです。僕ももう若くはないので、もっともっと貪欲にやっていかないといけないですね。若手は(ブラジル)ワールドカップに出場したメンバーを全員代えるくらいの勢いでやっていかないと追いつけないと思いますし、チーム内に競争がないと伸びていかないと思っています」

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