<<enter caption here>> at Victoria Park on December 5, 2014 in Hartlepool, England.
今年で134回目を迎える世界最古のカップ戦、FA(イングランド協会)カップの64強が出そろった。FA杯の魅力と言えば、下部リーグのクラブが強豪相手に番狂わせを起こす『ジャイアント・キリング=大物食い』だ。
プレミアリーグ勢も参戦する3回戦には、セミプロレベルに相当する7部リーグのブリス・スパルタンズが最もカテゴリーの低いチームとして登場する。8日に行われた3回戦の抽選会の時点で、プレミアリーグで首位に立つチェルシーと7部のノーザンプレミアリーグ・プレミアディビジョンに所属するブリス・スパルタンズの順位差は実に157位。
ブリス・スパルタンズは2回戦で対戦したプロ4部のハートリプールを2-1の劇的な逆転勝利で撃破した。試合前には元イングランド代表FWアラン・シアラー氏がチーム控室に現れ、激励の言葉をかけてチームの士気を高めたとされる。終了間際に逆転ゴールを決めて話題をさらったのは、母が経営する地元の小さなコンビニで働く21歳のジャレット・リバーズだった。
ブリス・スパルタンズは予選から6回勝ち抜いた末、本戦3回戦までたどり着いたが、予選1回戦では8部ダーリントン1883に引き分け再試合に持ち込まれるなど、冷や汗をかかされていた。1月3日に行われる3回戦で2部バーミンガム・シティをホームで迎え撃つブリス・スパルタンズのトム・ウェイド監督は「我々はフットボールに情熱を注いでいるし、FAカップは世界最高の大会だ。その大会の一部になれるのは、社会人選手やサポーターにとって特別なこと」と語っている。
■ブリス・スパルタンズの予選1回戦からの戦績
予選1回戦:<8部>ダーリントン1883に0-0、再試合3-0
予選2回戦:<7部>スケルマーズデール・ユナイテッドに4-1
予選3回戦:<8部>ミックルオーバー・スポーツに2-1
予選4回戦:<8部>リーク・タウンに4-3
本戦1回戦:<5部>アルトリンチャムに4-1
本戦2回戦:<4部>ハートリプールに2-1
本戦3回戦:<2部>バーミンガムと対戦
1899年創設のブリス・スパルタンズはプロ昇格の経験が一度もなく、彼らがFA杯で本戦3回戦に姿を見せるのは史上4度目のこと。1977-78シーズンには史上最高の5回戦(16強)まで進んだが、当時3部のレクサムに引き分け再試合の末に敗退した。その後、3回戦に姿を現したのは2008-09シーズンで、当時プレミアリーグのブラックバーンに0-1で敗れたが、史上初めて1部のクラブとの対戦を実現させた。
5部リーグ以下の社会人クラブが戦後、FA杯5回戦(16強)に進出したのは7チームのみで、ブリス・スパルタンズはそのうち唯一、予選1回戦から参戦し、引き分け再試合まで粘ったチームとなっている。戦後、16強の壁を越えた社会人クラブは無いだけに、1977-78シーズンと酷似した快進撃を見せるブリス・スパルタンズに注目が集まっている。
■今季の3回戦では、過去の決勝戦が4つ再現
このほか、3回戦で注目を集めているのは、過去の決勝戦の再現となる4つのカードだ。
中でも注目は昨季決勝戦のカード、アーセナル対ハル・シティの試合で、前回はアーセナルが延長戦の末に3-2で逆転勝利を収め、マンチェスター・Uと歴代最多タイとなる11度目のFA杯を制し、9年ぶりの栄冠を手にした。
クラブの買収・移転に伴い2002年にファンが創設したAFCウィンブルドンは、9部リーグからスタートして2011年にプロである4部リーグに昇格。以来3シーズン、4部残留に成功しているAFCウィンブルドンは、FA杯3回戦でホームに強豪リヴァプールを迎える。両チームは1988年の決勝で対戦しており、当時は旧ウィンブルドンが1-0で勝利し、初優勝を収めた。
さらに、サンダーランド対2部リーズ、バーンリー対トッテナムのカードもそれぞれ1973年、1962年の決勝戦の再現となり、当時はサンダーランドが1-0、トッテナムが3-1で勝利している。
なお、プレミアリーグで首位を走るチェルシーは敵地で2部ワトフォード、昨季の同リーグ覇者マンチェスター・Cはホームで2部シェフィールド・ウェンズデー、日本代表DF吉田麻也が所属するサウサンプトンはホームでイプスウィッチと対戦する。ちなみにサウサンプトンが129年の歴史で唯一獲得した栄冠は1976年のFA杯のみとなっている。