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フモフモ編集長の潜入取材!単なるサッカー忘年会だと思ったら久保竜彦の“ドラゴンナイト”だった件

2014.12.12

ふざけたロフトプラスワンだな!

いやー……。いやー……。単刀直入に一言でまとめると「ヒドイ」集まりでした。決してけなそうということではなく、むしろ褒めてる感じでとらえてほしいのですが、「スゴイ」とか「カッコイイ」とか「素敵」とかではなく、「ヒドイ」が一番しっくりくる。それぐらい恐ろしい世界に巻き込まれてきました。

12月11日の夜、ヤバイやつしか歩いていないことで知られる新宿の魔窟・歌舞伎町に僕はいました。関東以外の方は馴染みがないと思いますが、歌舞伎町がどういう街かと言うと、コンビニ・コンビニ・風俗店・ドンキ・カラオケ・風俗店というリズム感でエッチなお店が立ち並ぶアンダーグラウンドな街です。道を歩けば「DVD、DVD」と呼びかけるアヤしい外国人に何度も声を掛けられ、頭上のスピーカーから「我々は新宿警察署だ!」から始まる客引き撲滅のメッセージが流れつづける。マッドマックスの世界観です。

そんなところまで何をしに行ったかというと、サッカーキングさんで企画された「サッカークラスタ忘年会2014」なるイベントにお呼ばれしたのです。「タダで入れてあげるから、あとでレポートしてよ」という誘いの言葉。「内田」という偽名での予約完了のお知らせ。僕もついうっかり「タダなら……」と応じてしまったのです。まさか、ああいう感じだとは思わずに……。

↓やって来ました新宿・歌舞伎町!写ってない範囲は大体エッチなお店です!
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↓会場はサブカルイベントのメッカとして知られるロフトプラスワン!
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イベント自体は、少なくとも告知の段階では、いたって普通のものでした。むしろ若干の真面目さも含んでいたかもしれません。出演者には元川悦子さんなど著名なスポーツライター氏が並び、日本代表戦の中継で話題となった全力さんなど有名なサポーターの名前も挙げられています。そこにサッカーキングの統括編集長・岩本氏、そして元日本代表選手が参加するというのです。

「サッカーの未来を考える!」とか言い出してもオカシクない顔ぶれ。何だかちょっとしたセミナーでもできそうじゃないですか。実際に、予定されたイベントを見ていくと「徹底討論!日本の育成これでいいのか? 育成マニフェストはこれだ!」とか「Jリーグサポーター論」などという、カンファレンスみたいな内容が並んでいるのです。

僕も「レポート」という意味を、ナタリーのライブレポートみたいな意味でとらえていたものです。こんな素晴らしい発言があった、とか。驚くべき事実が明かされた、とか。最後は明るいサッカーの未来を願って一同が握手をかわした、とか。そういう話を紹介すればいいものだとばかり。だから、記録用のレコーダーとかも持っていったのです。

しかし、僕の考えはごもっともですが、サッカーキングの考えは違った。

そこにあったのは「ノー提言、ノー名言」の心意気。イベントの前説で連呼される「ヤバめの話はSNSに上げないでください!」という真剣なお願い。そして進行をつとめる岩本氏から何度も飛び出す「今、真面目な話するの?」というリアルなクエスチョンマーク。録音してもあまり意味がないというか、録音しちゃアカン話ばかりを、サッカーキングさんはやる気だったのです。ボイスレコーダーとかいらん感じのgdgdをやろうとしていたのです。

それを単刀直入に示すのが「■出演者 元日本代表」のあとにつづく4文字でした。そこに書かれていたヤバイ4文字、それは「久保竜彦」。サンフレッチェ広島などで活躍した偉大なストライカーであり、プロの酒飲みでもある久保“ドランクドラゴン”竜彦さんこそが、このイベントのメインゲストだったのです。

 歌舞伎町×久保竜彦。さながら“竜が如く”と言った感じ。イヤな予感しかしないコラボレーション。そして、その予感はイベント開始5分で的中します。このイベントはサッカーの未来につながるものとかではなく、ドラゴンナイトだったのです。SEKAI NO OWARIっぽいタイトルになってしまいましたが、むしろ「世界の終わり」のほうに近い。歌舞伎町の路上にアレだけいるヤバめの連中よりもヤバいヤツは会場内にいた。めっちゃデカイ。めっちゃ目つきが鋭い。めっちゃ酒強い。しかも、あだ名がドラゴン。香港マフィアも真っ青の危険人物です!

↓誰だよ、ドラゴンをブッキングしたの……。

ドラゴンの「メリークリスマス」の発声で始まったイベント。確かに「演者も飲みます酔います」とは書いてありましたが、「言うても」という一定のラインはあるものです。しかし、ドラゴンはそのラインを軽々と越えていく飛龍でした。ドラゴンのペースは驚くほど速く、コッチがひとくち飲んでいる間にジョッキをひとつ飲み干していきます。

↓すでに1杯空いてて、2杯目が半分終わってる…。
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一応、補足しますと、この場面はイベント式次で言うところの『第2部 超俺のニュース・オブ・ザ・イヤー』の一場面。乾杯⇒着席⇒トークスタートという段階のものです。右端のミニスカサンタこと長谷川ゆうさん(戦術女子として知られる本気のフットサル美女)が今年の個人的なニュースを発表し、ひとつ飛ばして、左端の中田久美さん似の女性こと元川悦子さん(有名スポーツライター)が個人的ニュースを発表しているくだりです。この間、ドラゴンは中央でひたすら酒を飲みつづけています。これが本日のドラゴン基本形です。

ワントークテーマ30分くらいでしょうか。演者を次々に入れ替えながら、トークはつづきます。第3部は『徹底討論!日本の育成これでいいのか? 育成マニフェストはこれだ!』というテーマで、育成年代についてのトークがつづきましたが、ソデに降りたドラゴンは話題のサポーター・全力さん(過呼吸JAPANの人)に絡み酒を始めます。ステージ上の話が「長谷部か!」という感じのマジメなものだったこともあり、僕はトークそっちのけでドラゴンを見つづけることに。

 ステージ上では「日本にはストライカーは生まれない!」なんて厳しい言葉が飛び交い、育成について激論を交わしていますが、その前にドラゴンがどうやって育ったのかソッチを聞きたい。日本のどこに、こんな自由な男を育む風土があったのでしょうか。これが生まれる風土からなら、奇跡の点取り屋くらい生まれてもおかしくはない。ストライカーよりドラゴンのほうが、珍しい存在ですからね。

↓第4部『Jリーグサポーター論』に場が進むと、今度はステージ上もおかしな感じに!
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 この革命戦士みたいな方は、下部リーグを中心にサポーター活動をつづけるロック総統なる有名サポーター氏であるとのこと。頭には「鍵革派」の文字を記したヘルメット。拡声器と謎の棒を持ち歩き、ステージ上でアジテーションを展開します。普段は『機動戦士ガンダム』に登場するシャア・アズナブルのコスプレでスタンドにいるとかで、これはもう一刻も早く新宿警察に来てほしい感じになってきました。(※なお、総統氏は胃を傷めているそうで、この日はコーヒー牛乳での参戦です/見かけよりだいぶ繊細)

 しかし、ヤバイ感じは高まるものの、第4部はトークも盛り上がり場の空気もグッと熱気を帯びてきます。JFLに残る牧歌的な空気の中、ときに相手ゴール裏に乗り込んでみたり(※綿密な電話打ち合わせの上で)、ときにサポーターの少なさを補うために自分たちのゴール裏を開放して他サポを巻き込んでみたり(※天皇杯のマリノス戦でマリノスサポに太鼓を叩いてもらったこともあるらしい)、ロック総統発の「現場」ならではの面白いエピソードが多数紹介されました。J1リーグでなくても、下部リーグでも、サッカー楽しむことはできる。そのことを改めて感じさせてくれる、いい演目だったように思います。

↓噂の全力さんが全力でヴェルディ応援を披露する一幕も!全力が激しすぎてブレる!
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↓何か最後は「今そこにあるサッカーを愛せ!」なんて、ちょっとイイ話で締めちゃう感じに!
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 さて、何となくイベントっぽかったのはここまで。ここからはドラゴンがステージに帰還し、本格的にドラゴンナイトが始まります。『教えてドラゴン!』と題した第5部では、ドラゴンに質問をぶつけ、回答をもらうという、一見すると単純な企画です。しかし、そうは問屋が卸さない。ドラゴンは微妙に日本語が通じません。質問すれば回答が出るなどと思ったら大間違い。ドラゴンは答えに詰まり、別の話を始め、また酒を飲みます。ラチがあかない。


「上手いなー、と思う選手は誰ですか?」と尋ねても、「アイツ」「アレ」「アー……」等の客にテレパシー能力を期待するご回答。演者一同でドラゴン語を翻訳し、FC東京の武藤さんのことだとわかった際には、別の意味でスッキリしたりもしました。客席からも「さわやかなヤクザみたいな選手はいましたか?」という質問が飛び出し、暗に「現役当時、福西崇史さんとバトルになったかどうか」というヤクザエピソードを引き出そうとしたのですが、これもドラゴンには伝わらない。

 斜め上を雄大に飛ぶドラゴンの口から飛び出した、「福西って誰?」という戦慄の反応。会場全体からの総ツッコミでようやくアイツのことかと思い出したようでしたが、こんな調子なのでまともなQ&Aなどできるはずもありません。最終的に僕がこの日記憶したドラゴン情報は「奥さんと初めてキスした場所は、マンションの下」というものだけ。録音するまでもない話ばっかりや!

 はてしなくつづく宴。第6部『2014年サッカー大懺悔ショー』、第7部『超豪華大プレゼント大会!』と演目はつづきますが、もはや収集はつかない状態です。演者がそれぞれに2014年の懺悔をするという第6部は、演者が懺悔をして「悪いヤツだなー」と会場が思ったら罰ゲームとして酒か青汁を飲むという企画なのですが、ドラゴンは罰ゲームでも何でもなくひたすら酒を飲みつづけています。そして、罰ゲーム用の青汁に罰ゲーム用のテキーラを注ぎ、2倍の罰をカクテルし始め、胃を傷めているロック総統氏に提供します。

 止まらないドラゴン。ノンストップドラゴン。ドラゴンは隣に座った全力さんを妙に気に入ったらしく何度もキスを要求してみたり(※なお、ずっとゼンリキと呼んでいた模様)、マイクに入らないところで下ネタを連発したり(※マイクに入らないのはドラゴンが自分勝手にマイクを置いてしまうから/マイクに入らなくても声がデカイので全然聞こえる)、ドラゴンの暴走は誰にも止められない状態。なるほどイベントの前に「SNSに上げるな」と注意されるだけのことはあります。「古きよき昭和の飲み会や」「この人ならキャバクラで寿司を投げたとしても驚かない」「むしろ、投げないほうが不自然」と僕も生ドラゴンが見られて大納得です!

↓何だかよくわかりませんが、ドラゴンがメット被り始めました!
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↓何だか妙に似合うな…ていうか、すごくヘルメットが似合う人だな…。
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↓どうでもいいけど、ドラゴンの両目が真っ赤!完全に飲みすぎです!
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そしてドラゴンは静かかつ勝手にソデに下がります。何故かと言うと、ステージは狭くて飲みづらいからです。ステージはバーカウンターから遠くて酒が来るのが遅いからです。ドラゴンはソデで酒を飲み、くだを巻きました。

今日のシメとして「来季の注目チーム」を聞かれた際も、客席から「広島!」などの声が飛んでいるにも関わらず、ドラゴンの回答は「二次会、どこ?」。その後は、大体何を聞いても二次会の確認となってしまうことから、ドラゴン質問タイムもいい加減、限界の様子。ドラゴンも二次会を待てない感じとなりましたので(※一次会と二次会で何が違うのかよくわからないが……)、会はお開きとなりました。

最初から最後までドラゴンに振り回されっぱなしの3時間半。こうしてレポートをつづっていても、まったくイイ話とか感動秘話とかが出てきません。ていうか、何してたんだかよく覚えていません。何も学ばず、何も身につかずに、ただひたすらに気持ちよくなれる、そんなイベントでした。

うん、この感じなら友だちがおらず、サッカーにさほど詳しくない僕でも大丈夫。この企画、来年以降もこの感じで継続してもらいたいものです。中途半端にサッカーの話をしそうな雰囲気とか醸し出すのはやめて、タイトルも「年忘れドラゴンナイト」とかにしちゃいましょう。忘れちゃうような話でよいのです。だって、これは「忘年会」なんですから!

↓ありがとうドラゴン!サッカーに乾杯!

見所:どう見てもオープニングだけど実はエンディング
見所:ドラゴンは最初から最後までビール(だって一次会だから)
見所:「サッカーに乾杯!」という一見いいセリフ
見所:でも実際は「これから酒を飲みますよ」と宣言してるだけ
見所:って「また明日」も飲む気かい!

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