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2014.12.12

歴史上最高へ挑むレアル、ストロングポイントを活かすバルサ/スペイン現地直送コラム

FC Barcelona v Paris Saint-Germain FC - UEFA Champions League
パリSG戦に先発したバルセロナの選手 [写真]=Getty Images

 ルイス・エンリケはチャンピオンズリーグ第6節のパリSG戦に3バックで挑んだ。ジェレミー・マテュー、ジェラール・ピケ、マルク・バルトラを配置し、ハビエル・マスチェラーノとセルヒオ・ブスケツを中盤に置き、アンドレス・イニエスタを左に、ペドロ・ロドリゲスは右にポジションをとった。

 グループリーグを首位で通過するために、勝たなければならないゲームでバルセロナは[3-4-3]とも[4-2-4]ともとれる新システムで挑んだ。指揮官は「システムの成果は試合結果による。私たちはダニエウ・アウヴェスという軸となる選手が出場停止だった。抱えている選手を見て、相手に最も打撃を与えることができるメンバーを起用した」とスリーバックで挑んだ理由を語った。バルセロナはリオネル・メッシ、ネイマール、ルイス・スアレスの前線の3人がそれぞれゴールを奪い、逆転勝利をおさめた。

 地元メディアはこの勝利を評価しながらも、ルイス・エンリケの新システムはこれまでのヨハン・クライフやジョゼップ・グアルディオラの試みとは違うコンセプトだった、と内容には満足していない。

FC Barcelona v Paris Saint-Germain FC - UEFA Champions League
主将を務めたイニエスタ [写真]=Getty Images

 なぜならこの日のバルセロナには中盤がなかったからだ。バルセロナのサッカーは高い位置からのプレスでボールを奪い、ボールポゼッションを高めるものだ。その中心は中盤だった。この日のバルセロナの中盤にはマスチェラーノとブスケツという守備力が高い選手が並び、ペドロは右サイドをカバー。前線から下がってくるメッシ共に攻撃に変化を生み出せる選手はイニエスタだけだった。

 チームは中盤を省略。ワンプレーで全てを一変することのできるタレントを持った3トップの攻撃と屈強のセンターバックが並ぶディフェンスという今あるチームのストロングポイントを最大限に活かす戦い方をしていた。

 時代と共にサッカーのクオリティ、スタイルは変化しなければならない。とはいえルイス・エンリケのストロングポイントを活かすサッカーはクライフ、グアルディオラが築いてきたバルセロナのコンセプトとは異なる。ルイス・エンリケの中ではまだ試作段階なのかもしれないが、この中盤を省略しつつあるスタイルが定着した時、バルセロニスタはどう思うのだろうか。

FC Barcelona v Paris Saint-Germain FC - UEFA Champions League
バルセロナのルイス・エンリケ監督 [写真]=Getty Images

 一方、12月11日の時点で公式戦19連勝中のレアル・マドリードはトニ・クロースを中心に見事なサッカーを展開している。前線にカリム・ベンゼマ、ギャレス・ベイル、クリスティアーノ・ロナウドという強力なスリートップを抱えているが、ゲームをコントロールしているのはトニ・クロース、イスコ、ルカ・モドリッチ、ハメス・ロドリゲスを中心にした中盤だ。モドリッチ、ハメス・ロドリゲスと負傷者を出しても、相手の実力が格下ということもあるが、中盤でボールを持つというコンセプトは変わっていなかった。レアル・マドリードはジョゼ・モウリーニョ時代に築いたカウンターという武器も捨てていない。2つのスタイルを局面に応じて使い分けるチームに、マドリード寄りのメディアは「グアルディオラ時代のバルセロナを越えたのではないか?」と必死にあおっていた。

 エースであるクリスティアーノ・ロナウドはリーガで13試合23得点という驚異的なペースで得点を重ねており、2シーズン連続でのバロンドール受賞も間違いないだろうと言われている。バルセロナ寄りのメディアは「PKが多い」「メッシはPKがなくても多くのゴールを決めている」と何かとやっかんでいるが、今のままのゴールのペースを維持すれば、ポルトガル人ストライカーはリーガだけで年間60ゴールを上回るという。

Real Madrid CF v PFC Ludogorets Razgrad - UEFA Champions League
今季絶好調のC・ロナウド [写真]=Real Madrid via Getty Images

 昨年の今頃、ロナウドの代理人であるジョルジュ・メンデスが「バルセロナでロナウドがプレーすれば、年間120得点は決めているだろう」とコメントしていた。移籍市場で最も大きな金を動かす敏腕代理人曰く、バルセロナは世界最高のチームでロナウドがプレーしていれば、シーズンで120得点を決めると言いたいのだ。

 今のレアル・マドリードは公式戦連勝数を伸ばしており“世界最高のチーム”と言われている。120点は誇張だとしても、シーズンでエースが70、80点を決めて、タイトルを総なめしたとしたら。レアル・マドリードが“歴史上最高のチーム”と後世に語られることになる。最近の戦いぶりを見ているとそれを防ぐためだったら、バルセロナは自分たちのスタイルを捨てても構わないという覚悟があるのかもしれない。

座間健司(ざま・けんじ)。1980年生まれ。東京都出身。2002年、大学在学中からアルバイトとして『フットサルマガジン ピヴォ!』編集部に入社。2004年夏に渡西し、スペインを中心に世界のフットサルを追っている。フットボールは2008-09シーズンからビジャレアルのソシオとなり、定期的に試合観戦をしている。2012年よりフットサル、フットボールを中心にフリーライター&フォトグラファーとして活動を始める。
ブログはこちら(http://blog.zamakenji.com)。twitterアカウントは『@KenjiZama

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