2014.11.11

ローマ一筋23年…更なる飛躍を誓うトッティ「体が悲鳴を上げない限り、ローマのためにプレーしたい」

[ワールドサッカーキング12月号掲載]

1993年3月、わずか16歳でデビューを飾った“ローマの王子”も、今やチーム最年長となり、プロキャリアは実に23年目を迎えた。しかし、卓越したプレーとその存在感に一切陰りは見られない。38歳を迎えてなお、フランチェスコ・トッティは更なる飛躍を目指す。
UC Sampdoria v AS Roma - Serie A
インタビュー・文=ピエロ・トーリ
翻訳=高山 港
写真=アフロ、ゲッティ イメージズ

 フランチェスコ・トッティは9月27日で38歳になった。だが、彼がピッチ上で年齢を感じさせることはない。今なおローマのカピターノであると同時に、再びイタリアサッカー界の頂上に戻ろうとするローマのシンボルであり続けている。

 ローマはクラブ史上4度目のスクデットを夢見ている。そしてその夢は、ひょっとしたら今シーズンにもかなうかもしれない。圧倒的な強さを誇るユヴェントスに引導をわたし、悲願を達成する。ローマの“王子”と多くのロマニスタがそう考えている。

 アメリカ資本を導入したローマは今、“偉大なるローマ”へと変貌を遂げている最中だ。クラブは壮大な野望を隠そうとしない。チーム力だけでなく、クラブの組織力でもヨーロッパのトップクラブと肩を並べつつある。2017年には新スタジアムも完成予定。ユヴェントスと並んで、イタリアでは数少ない自前のスタジアムを持つクラブとなるのだ。

 そして、大きく変わりつつあるクラブの中心には常にトッティがいる。ジャッロロッソ(黄色と赤)のユニフォームに身を包んで23年目、彼は自身2度目のスクデット獲得へ努力を惜しまないつもりだ。もう一度、あの素晴らしい感動を味わってから現役生活に別れを告げたい。いや、2度目のスクデットを手にすることなくスパイクを脱ぐことは、人生における大きな後悔になるとさえ考えている。

 夢の実現にあたり、最大の障害となるのがユヴェントスの存在だ。インタビューはトリノで行われた彼らとの直接対決の話から始まった。

負ける気はしないし、ギブアップもしない

――今シーズン最初のユーヴェとの直接対決は大きな物議を醸した。レフェリーのジャッジが勝敗を分けたと言えるような内容だったね。

トッティ あのゲームのジャッジには「納得いかない」としか言いようがない。ユーヴェの2本のPKは両方ともおかしかったし、3点目のゴールもウチのGKの目の前にユーヴェの選手がいて明らかに影響を与えていた。プレーに関与していたんだから、オフサイドと見なされるべきだよ。要するにユーヴェの3ゴールはすべてレフェリーからのプレゼントだったってことさ。まあ、レフェリーがユーヴェに有利な判定を下すのは今に始まったことじゃない。残念ながら、これまでもユーヴェ絡みの疑惑の判定は多かった。

――君はゲーム終了直後、レフェリーのジャッジに怒りをぶちまけていたね。

トッティ ユヴェンティーノを除くすべてのイタリア人が思っていたことを言ったまでだ。俺は長い間セリエAのピッチでプレーしてきた。そして、今まで何度となく同じような光景を目にしてきたんだ。微妙な判定になると、必ずと言っていいほどユーヴェに有利な笛が吹かれる。もう一度言う。この前の2つのPKは両方ともエリアの外でのファウルだった。あれでPKの笛が吹かれるようではやってられないよ。決勝点の場面もそうだ。(レオナルド)ボヌッチのシュートが素晴らしかったことは認める。でも、あれはオフサイドと判定されるべきだった。(アルトゥーロ)ビダルがウチのGKの目の前、2メートルのところにいたんだからね。俺のルール解釈が間違ってなければ、仮にボールに触れていなくてもオフサイドになるはずだ。結局、不当と思われる3つのゴールによって、正当な2つのゴールを決めたローマは敗れた。こんなことが続く限り、今シーズンもローマは2位で終わるのかと思わざるを得ない。仮に……。

――仮にどうだと言うの?

トッティ 仮にローマが決して降伏の白旗を上げなくてもだ。もちろん、俺たちは最後までスクデットを目指して戦う。この間の試合で俺たちがユーヴェと同レベルにあることを証明できたと思う。負ける気はしないし、決してギブアップはしないよ。ユーヴェが強いことは認める。素晴らしいチームだ。ただ、このような不利な判定が続くと、スクデット獲得は難しいと思うことがあるのも事実だよ。

――今シーズンのスクデット争いは早くもユーヴェとローマに絞られたと言えるのでは?

トッティ そう思うよ。ただ、シーズンはまだ始まったばかりだ。これから先、首位戦線に加わるチームが現れる可能性は否定できない。

――新たなライバルになりそうなチームは?

トッティ ナポリは要注意だ。この数年、常に上位に位置している。スクデットを取るには安定性に欠けているところがあるけど、これまでもかなり良いところまで来ていた。ミラノの2チーム、ミランとインテルも要注意だ。彼らは“勝ち方”を知っているからね。特にミランは不気味な存在だ。今シーズンの彼らはヨーロッパのカップ戦から外れている。ということはセリエAの試合に集中できるということさ。これはカンピオナートを戦う上ですごく有利な要素だ。ヨーロッパのカップ戦、特にチャンピオンズリーグ(CL)を戦うのはフィジカル面だけでなくメンタル面でも大きく消耗する。そう考えると、セリエAとCLをうまくこなしていくことが、今シーズンのローマの最大のテーマだと言えるね。

ヨーロッパでの目標? 大きな野心がある

Manchester City v AS Roma - UEFA Champions League

――君はかなり長い間、ローマのカピターノとしてプレーしてきた。改めて自身のキャリアをどう思っている?

トッティ 38歳になってもローマの勝利に貢献できる状態にあるのは本当に幸せなことだよ。ローマで生まれ、ロマニスタとして育った俺が、愛するクラブのために長い間プレーできているんだから、恵まれたキャリアだと思う。体が「もうダメだ!」と悲鳴を上げない限りは、ローマのためにプレーし続けたい。そして何かもう一つ、クラブに重要なタイトルをもたらしたいんだ。スクデットはもちろん、できることならCLでも優勝したいと思っている。残された時間が少ないことは分かっているし、見果てぬ夢なのかもしれない。でも、チームメートや監督とともに、力の限りを尽くして夢の実現に挑戦するつもりだ。

――ずばりCLでの目標は?

トッティ 今言ったように、俺たちには大きな野心がある。ただ、厳しいグループに入ったことは否定できない。ロシアリーグの覇者CSKAモスクワ、プレミアリーグ王者のマンチェスター・シティ、そしてドイツ王者のバイエルン、みんな強敵さ。特にバイエルンは優勝の本命と見られているチームだ。このグループを突破するのは相当難しいと思う。でも、俺は決勝トーナメントに進出できると信じている。確かに厳しいグループに入ったことは不運だったけど、それは俺たちと同じグループに入ったシティやバイエルンの選手たちも感じているはずだからね。

――君はCLのマンチェスター・C戦で大会最年長ゴールを記録した。キャリアにまた一つ新たな勲章が加わったわけだけど、気分はどうかな?

トッティ うれしく思うよ。何より、マンチェスター・ユナイテッドの偉大なレジェンド、ライアン・ギグスを上回っての記録達成ということに大きな誇りを感じている。あれは38回目の誕生日のわずか3日後だった。何か自分自身のゴールで誕生日を祝ったみたいな気分だったよ。ただ、まだまだ俺は記録を更新するつもりでいる。セリエAでも、ヨーロッパの舞台でもゴールを決め続けるつもりだ。

――リュディ・ガルシア監督の招聘は素晴らしい選択だったと言えるのでは? 彼はわずか1年余りで、素晴らしいチームを作り上げた。

トッティ 優秀な監督という以前に、素晴らしい人間だよ。選手全員に誠実に接している。選手を茶化したり、馬鹿にしたりすることはない。そんな彼に俺たちが信頼を寄せるのは当然のことさ。ガルシアは既に選手全員の心をつかんでいると言える。試合でピッチに上がれるのは11人だけだから、普通はスタメンから外された選手から不平不満が出るものなんだけどね。でも今のローマにはそれがない。ガルシアはローマを再建したのさ。彼は過去2シーズンで7位、6位と悲惨な成績だったチームに明るさを取り戻してくれた。今のローマはチームとしてまとまっている。偉大なチームに成長したと言えるだろう。そしてそれはガルシアの功績だと、誰もが思っているはずだ。

――君のローマとの契約はまだ2年残っているよね。それは君が40歳になってもローマの一員としてプレーしているということを意味する。クラブはその契約を更に更新する意思があると聞いている。その点に関してはどう思う?

トッティ クラブがそう言ってくれるのはすごく喜ばしいことだ。俺自身はローマでプレーし続けることに全く問題はない。ただ、俺がトッティの名に恥じないレベルでプレーできなくなったと感じた時は、自分のほうから「引退させてくれ」と申し出ることになるだろう。自分らしいプレーができなくなった時点でピッチを去るつもりさ。

愛するクラブ、ローマでの更なる飛躍を誓ったトッティが、スクデットを獲得した2000-01シーズンを回顧し、元チームメートの中田英寿氏に言及。インタビューの続きは、12日発売のワールドサッカーキング12月号でチェック!