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レアル・マドリードが世界最高のクラブたる由縁/スペイン現地記者コラム

2014.11.07

MADRID, SPAIN - OCTOBER 25: Cristiano Ronaldo of Real Madrid celebrates during the La Liga match between Real Madrid CF and FC Barcelona at Estadio Santiago Bernabeu on October 25, 2014 in Madrid, Spain. (Photo by Elisa Estrada/Real Madrid via Getty Images)

Real Madrid CF v FC Barcelona - La Liga
レアル・マドリードのエース、C・ロナウド [写真]=Real Madrid via Getty Images

 レアル・マドリードが絶好調だ。そのパフォーマンスは、ジョゼップ・グアルディオラ監督が率いたバルセロナと比較する声が挙がるほどだ。マドリード寄りのメディアを中心に言いはやされている。

 かつて「史上最高のチーム」と評され、ひとつの時代を築いたバルセロナと比較される今のレアル・マドリードは最高のバランスを手にしている。功労者はカルロ・アンチェロッティであり、自身のエゴを抑え、イタリア人指揮官の指示を忠実にこなすイスコ、ハメス・ロドリゲスの2人だ。レアル・マドリード以外ならば、世界のどのクラブでもエースになれる若い2人はまるでスターではなく、労働者のような風情で、ピッチを走り回る。そんな彼らの惜しみない汗が[4-4-2]に安定をもたらし、魅力的かつ結果を残すチームの土台となっている。アンヘル・ディ・マリアとシャビ・アロンソの退団でチームのバランスが崩れたと嘆いていたのが、ずっと昔に感じられる。

 しかし、レアル・マドリードはやっと手にした最高のバランスを自ら崩そうとしている。ガレス・ベイルの復帰だ。

Real Madrid CF v Liverpool FC - UEFA Champions League
リヴァプール戦で復帰したベイル [写真]=Real Madrid via Getty Images

 ベイルはチャンピオンズリーグ第4節のリヴァプール戦で復帰し、アンチェロッティはリーガ第11節に行われるラージョ・バジェカーノ戦での先発起用を明言した。好調なチームのバランスを崩したくないというのがアンチェロッティの本心であったとしても、会長の意向には逆らえない。高額な移籍金を出して獲得したスターをベンチに座らせることはできないのだ。

 ベイルがスタメン出場となれば、彼に代わって外れるのはイスコ、もしくはハメス・ロドリゲスのどちらかになる。ベイルが入れば、フォーメーションは[4-3-3]に戻る可能性が高い。ウェールズ人の先発起用でレアル・マドリードのバランスが悪くなるという地元メディアの声は大きい。果たして、アンチェロッティはベイルを起用し、今のような理想のバランスを手にすることができるか。

Liverpool FC v Real Madrid CF - UEFA Champions League
レアル・マドリードを率いるアンチェロッティ監督 [写真]=Getty Images

 その一方で、メディアのあおりもあって、好調なチームへの幻想は日に日に大きくなっている。ホームで行われたチャンピオンズリーグのリヴァプール戦。メンバーを落した相手に1-0で勝利し、決勝トーナメント進出を決めたが、多くの記者は期待していたゴールドラッシュとはならなかったとコメントした。

 勝利しても、注文がつく。スター選手の復帰でバランスがとれたスタメンをいじらなければならない。チームが理想的な状態にあっても、その要求はとても高く、果てしない。それゆえにレアル・マドリードは世界最高のクラブなのかもしれない。

座間健司(ざま・けんじ)。1980年生まれ。東京都出身。2002年、大学在学中からアルバイトとして『フットサルマガジン ピヴォ!』編集部に入社。2004年夏に渡西し、スペインを中心に世界のフットサルを追っている。フットボールは2008-09シーズンからビジャレアルのソシオとなり、定期的に試合観戦をしている。2012年よりフットサル、フットボールを中心にフリーライター&フォトグラファーとして活動を始める。
ブログはこちら(http://blog.zamakenji.com)。twitterアカウントは『@KenjiZama

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