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愛するクラブで指導者の道を歩み始めたギグス「昨季の監督経験は大きなプラスだった」

2014.10.18

今季からマンチェスター・Uのアシスタントコーチを務めるギグス

[ワールドサッカーキング11月号掲載]

24年間に及んだ現役キャリアを振り返る間もなく、ライアン・ギグスの新たな挑戦が始まった。マンチェスター・ユナイテッドの“生きる伝説”は、今度は指導者として愛するクラブにその身を捧げる。
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インタビュー=デイヴィッド・マクドネル
翻訳=栗原正夫
写真=ゲッティ イメージズ

暫定監督の経験は大きなプラスだった

――選手から指導者に転身して既に3カ月が経過しました。現役引退を後悔したことはありませんか?

ギグス 今夏は指導者としてのキャリアを本格的にスタートさせ、経験豊富な名将の下で学ぶ絶好の機会だった。もちろん、現役時代の生活とはずいぶん違うけど、今の仕事を心から楽しんでいる。(ルイ)ファン・ハールはこれまで見てきたどの監督よりも様々な角度から仕事をする人だから、とても勉強になるよ。

――具体的にはどのような役割を任されているのですか?

ギグス 試合を分析し、選手たちに伝えるのが私の役目だ。いい経験になっているよ。いろいろな講座で「自分にとって居心地の良い場所から飛び出せ」というアドバイスを聞くけど、それは己の成長につながるからだ。私が今やっている仕事の中にはこれまでの流儀に反することもあるが、それでも心底楽しんでいる。暫定監督という昨シーズン終盤の経験がなかったら、恐らく違和感を感じていただろうし、もっと苦労していただろう。数試合だけでも監督の立場を味わえたのは、長い目で見れば自分にとって大きなプラスだったと思う。

――改めて、アシスタントマネージャーとして、クラブの将来をどう捉えていますか? ダニー・ウェルベックを始めとした生え抜き選手を放出するなど、クラブの姿勢には変化が見られますが。

ギグス このクラブは決して変わらないよ。エキサイティングなサッカーをすること、常に若手にチャンスを与えること、クラブの伝統を守ること、それがユナイテッドの歴史だからね。ウェルベックの移籍については私もがっかりしている。生え抜き選手がクラブを離れて行く姿は見たくないからね。でも、監督はこれまでも若手にチャンスを与えてきた人で、アヤックスではクラレンス・セードルフやパトリック・クライファートが、バルセロナではシャビやアンドレス・イニエスタが、そしてバイエルンではトーマス・ミュラーなどがその恩恵にあずかってきた。

――ユナイテッドでも同じようなことが起こると?

ギグス 実際に、今シーズンはタイラー・ブラケットが試合に出場しているし、攻撃陣にはアドナン・ヤヌザイがいてジェームズ・ウィルソンもいる。今後も選手がチームを出て行くことはあるだろうが、若手をトップチームに引き上げるという伝統は守られていくはずだ。サポーターがそれを望んでいるし、私自身もそういう選手を見たいからね。トップチームに上がってきた若手に対し、サポーターはチャンスをくれる。ミスをしても責めずに励ましてくれるんだ。それこそがユナイテッドで受け継がれている伝統であり、私たちが絶対に失いたくないと思っている部分だ。

――あなたやデイヴィッド・ベッカム、ポール・スコールズ、ネヴィル兄弟、ニッキー・バットが一緒に台頭した“92年組”のような黄金世代は再び誕生すると思いますか?

ギグス そう願っている。もちろん、5、6人がいっぺんにトップチームに上がるのはなかなか難しいことだけどね。上がることができたとしても、長い間そこにとどまるのが至難の業だ。ただ、ユナイテッドのユースシステムには誇りを持っている。私たちが他の多くのクラブと違うと自負しているのは、若手選手、しかも生え抜きの若手に常にチャンスを与えてきたという点だよ。

――生え抜き選手は今後も台頭してくると?

ギグス もちろん、この世界は変化していて、若手がトップチームに上がる過程も変わってきている。もはや上がってくるのはサルフォード(1999年まで使用されていた練習場“クリフ”があった地域。スコールズの出身地としても知られる)の子ではないのかもしれない。でもその一方で、ラファエウ兄弟のように17、18歳でクラブに加入する選手、ヤヌザイのように15歳から在籍している選手もいる。できれば4、5人が一緒に台頭してほしいし、それがかなえば大したものだ。

スコルジーの見識はかなりのもの

――『Class of’92』というドキュメンタリー映画の誕生秘話を教えてください。

ギグス 言い出したのはガリー・ネヴィルで、彼のアイデアが形になった。日々いろいろなことを思いつく彼らしいよ。FAユースカップ制覇から20周年を迎えるにあたって、前々から何かしたいと思っていた。誰もノウハウなんて分からないし、作っている最中はみんな「ちゃんと出来上がるのか?」と不安だったよ。でも、映画の出来映えには満足している。監督2人がいい仕事をしてくれた。

――スコールズは極端におとなしい選手として有名でした。その彼が解説者デビューした途端、冗舌になったのには驚きませんでしたか?

ギグス 確かに多少は面食らったよ(笑)。10年前のスコルジー(スコールズの愛称)に対して「君は将来、テレビの解説者になって、新聞にコラムを載せる」と言ったら、「何を言っているんだ!」と周囲にたしなめられたはずだ。でも、彼は才能溢れる偉大な選手だったわけで、サッカーに対する見識はかなりのものだよ。実際に彼の主張に耳を傾けてみると興味深くもある。何より、ついに彼の肉声が聞けるんだから、素晴らしいことだよ!

――では、親友でもあるG・ネヴィルについては? 『スカイスポーツ』の解説者として、番組や新聞のコラムなどでユナイテッドを批判しています。

ギグス それでこそ、ガリーだよ。歯に衣着せぬ物言いは、彼があれだけ人気を博している理由の一つだと思う。実際は自分のクラブを誇らしく思う気持ちと批判の間で、うまくバランスを取るのに相当苦労しているはずだ。ガリー以上にユナイテッドを愛している人間なんていないわけだからね。それだけ難しい仕事を短期間でこなせるようになるなんてさすがだよ。もっとも、ガリーには現役時代からそういうところがあった。『マンデー・ナイト・フットボール』でタクティクス・グラフィックスクリーンを初めて使う時も、素人っぽく見えないようにと、自宅に持ち帰って2、3週間特訓したらしいからね。何回か間違いはあったけど、ガリーはできる限りの準備をして臨んでいたと思う。その姿勢は現役時代と変わらないよ。

今季からマンチェスター・Uのアシスタントコーチに就任し、愛するクラブについて語ったギグスがユースチームに言及。インタビューの続きは、ワールドサッカーキング11月号でチェック!

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