2014.10.10

【独占ロングインタビュー】“冷静な情熱家”柴崎岳が抱く勝利への執念

[SAMURAI SOCCERKING 11月号増刊掲載]

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インタビュー・文=内田知宏 写真=鷹羽康博

自身を客観的に分析し、眼前の壁を乗り越える術を考え、淡々と努力を重ねる。22歳という年齢とは不釣り合いな、あまりに落ち着き払った視線。だが、内側にはイメージとは真逆の“熱”がある。どんな形でもいいから勝つ――。ブレることのない鋭く冷静な思考、冷めることのない勝利への情熱。相反する、しかし理想を現実にする上で何より必要な2つの気質が、彼を主役へ導く。
サムライサッカーキング11月号増刊に掲載された独占ロングインタビューを全文掲載する。

自分を適応させていく時間がものすごく楽しかった

――9月9日のベネズエラ戦で日本代表デビューを飾りました。日本代表という場所はどんなところでしたか?
「小学校から中学、中学から高校、高校を卒業して鹿島アントラーズの練習に参加した時と似たような感覚がありました。何かこう、自分が求めている環境の変化というものを感じることができて、すごくうれしかったですね。それほど緊張はしませんでした。日本代表に長くいる選手が入っていきやすい雰囲気を作ってくれたのが大きかったと思います。ハビエル・アギーレ監督の下、これからチームを作っていく段階で呼んでもらったので、自分の中でもやりやすさはありました。アルベルト・ザッケローニ監督にも何度か呼んでもらいましたが、その時はある程度チームとして完成していたので、当時とは雰囲気も全然違いましたね」

――いろいろな選手と積極的に話している姿が印象に残りました。
「全選手と話しました。それぞれの選手に個性がありましたね。ものすごくプロフェッショナルな人もいれば、自分のキャラクターを持っている人もいて。また、『散歩に行くけど、どう?』と誘ってもらい、(吉田)麻也さん、(川島)永嗣さんの散歩にもついていきました。チームに溶け込む良い時間になったと思います。サッカーの話もしましたが、個人的には各選手の内面を知れたことが良かったです。もちろん、話した内容も記憶に残ることが多くありましたが、一番印象的だったのは、やっぱりプレー。試合の中で自分を適応させていく時間というのは、ものすごく楽しかったですね」

――確かに、デビュー戦とは思えないほど楽しそうにプレーしていました。
「期待もある中で、実は不安もありました。不安の中には代表に入って自分はどう感じるのか、という部分もあって。もしかしたら、『早く帰りたい』みたいな感覚に襲われたることもあるのかなと思いましたが、全くそんなことはなくて、むしろ短く感じた9日間でした。アンダーカテゴリーの代表では、初めて参加した選手の中に『早く帰りたかった』と話す選手もいたので、自分も日本代表ではそういう気持ちになるかもしれないという不安が少しあったんです。でも、もともと年上の人と話すのは好きですし、そんな気持ちになることはありませんでした」

――アギーレ監督は、柴崎選手の目にはどう映りましたか?
「『モチベーター』であることは間違いないなと感じました。ザッケローニ監督とは全く違う印象です。アギーレ監督は普段は気の良いおじさんみたいな感じで、何の壁もなく話せる雰囲気があります。実際、監督自身も『何でも話してくれ』と言っていました。僕個人としては話しやすい印象で、聞きたいことがあれば聞けるし、何でも言える。伝えたいことがあれば、僕からも伝えられる監督かなと思います。サッカーに関しては、ある程度形は見えているけど、まだまだやりたいことがたくさんあるんだろうなと感じました。だから、また次に代表メンバーが集まった時には、新しいことを言われると思います」

――ベネズエラ戦は準備期間が少ない中での試合でした。左インサイドハーフというポジションを与えられましたが、どういった動きを求められたのでしょうか?
「僕のポジションに関しては、あまり指示はありませんでした。ただ、指示が欲しい時もありますが、与えられ過ぎると、それに縛られることもあります。僕はもともと監督がやって欲しいと望むことを表現したいタイプの選手なので、(指示がなくて)逆に思い切ってプレーできました。もちろん、その中でも監督が気に入るプレー、気に入らないプレーはあるとは思うので、これからアギーレ監督が言ってくれたり、伝えてくれたら直すことはできると思います。ただ、気に入らないプレーがあったからと言って、それが失敗だとは思いません。実際にやってみて、気に入るプレーは続けたいし、『こういうことをして欲しい』と言われれば、すぐに理解できると思います。それに、指示がない中でも(他のポジションに向けた)監督の言葉を自分に当てはめ、何をやるべきか、やってはいけないプレーは何かを推測できますし、考えます。具体的に言われなくても、『これはダメだな』と感じることはできますから。例えば、一つのうまくいったプレーがあったとします。状況にもよりますが、今回うまくいったからといって、次も大丈夫かというと、そうではありません。ここで相手にボールが渡ると危険だと感じたら、次はより確実なプレーを選択したほうがいい。その辺りは感じ取れるので、指示がないからといって、やりづらさを感じたということはありませんでした」

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良いサッカーではなく、勝つためのサッカーを

――アギーレ監督のサッカーはどういうサッカーになると感じていますか?
「(アギーレ監督が昨シーズン指揮した)エスパニョールの試合をいくつか見ましたが、その映像ではカウンターに偏ったサッカーではなく、むしろ『いろいろなサッカーをしなさい』と捉えられる内容でした。実際、『監督が与えるのはアイデアだ』と言っていますし、試合の中で判断するのは選手です。監督が『今からカウンターだ』と言ったから、カウンター攻撃が始まるわけではありませんし、『パスをつなげ』と言っても、実際につなぐのは選手です。ピッチの中では、状況に応じた選手の判断が必要なんです」

――なるほど。それぞれの状況に応じた判断や対応が求められるのですね。
「はい。例えば、ビルドアップしながらゴールに迫るプレーで言えば、ザッケローニ監督の頃にもできていたので、それは良い部分として残すべきだと思います。また、ベネズエラ戦はゴールに迫る場面という点で、もしかしたら皆さんは物足りなさを感じたかもしれません。そういう時に、例えばスピーディーに攻め切り、シュートで終わるカウンターというのは一つの効果的な戦術になるし、試合展開や相手によって必要な戦い方だと思っています」

――戦い方が多岐におよぶと、選手には引き出しの多さや、アイデアの豊富さが求められます。
「僕自身は、ブラジル・ワールドカップを制したドイツ代表はハイブリットに2つのサッカー(カウンターとポゼッション)を使い分けていたと思っています。一時期、日本にはバルセロナのようなパスをつなぐサッカーが向いているという議論もありましたが、サッカーというのは一つのスタイルだけで行われているわけではありません。僕が普段からいろいろなサッカーを、様々な状況に応じてやりたいと言っているのはそういうことなんです」

――日本代表はアジアの中と、世界相手とでは置かれる立場が大きく異なります。また、世界で勝つことを目標にしながらも、試合の大半はアジア勢が相手になります。アジアで戦いながら世界に通用するサッカーを確立するのは、とても難しい作業のように感じます。簡単に言えば、アジアでは攻撃の時間が長くなりますが、強豪国が相手になると守備の時間が長くなるという根本的な違いがあると思うのです。
「確かに、強豪国との試合ではチャンスは少ないですよね。難しいとは思いますが、僕自身は両立していくというか、アジアの中でも世界と戦えるサッカーをするべきだと思っています。これまではアジアの中ではパスワークを主体に戦い、それが世界でも通用したのかと問われると、半分とはいかないまでも通用した部分もあったと思います。でも、そのパスワーク主体のサッカーによって、逆に自分たちでピンチを招いている部分もあったとしたら、やはり勝つサッカーとしてはもう少し割り切ったほうが良いと思うんです。相手によってサッカーを変えていく必要があるなら、それはアジアの中からです。オーストラリアと戦う時と、東南アジア系のチームと対戦する時とでは、特長もサッカーも異なります。その試合の状況に応じてやれること、やれないことを分けていく、ということです。欧州の強豪国と対戦する時は、その比率が変わるだけ。基本的には(カウンター、ポゼッションの)いずれかのサッカーをやる比率が多いけど、ある時間帯では別のサッカーもできるということが大事なのだと思います。もしかしたら、アジアでは試合を通じてポゼッションし続けられるかもしれないし、世界のトップチームが相手になると、カウンターだけの90分になるかもしれませんが、大事なのはどこで折り合いをつけるか。僕は良いサッカーをするためではなく、勝つためのサッカーをするために、どうするべきかを考えたいです」

――記者会見を聞いていると、アギーレ監督も同じように考えているのではないかと感じます。
「日本代表はバルセロナやレアル・マドリードではないので、良いサッカーができて、なおかつ結果も出せますと言えるほど、まだ実力はありません。自分の中ではその……結局のところ勝てばいいと。勝てば、褒められるし、認められる。もちろん内容も伴うほうが良いですが、どこに目標を置いているかと考えると、内容が悪くても勝つことが最低限の目標だと思います。勝ちさえすれば、試合後の記者会見で監督は選手を褒めると思います。『勝ったことは良かった』と。その上で内容が良ければ、さらに褒めるでしょう。内容が悪かったら改善しなければいけないとは思いますが、勝ったことが重要なのであって、それはどこの世界でも変わらないと思います。例えば今、ドイツ代表と50試合戦って、どれくらいの確率で勝てるのかは分かりませんが、もしかしたら1回は勝てるかもしれない。それがW杯で勝ちましたとなったら、『それでいいじゃん』と思うんです。まぐれでも、たまたまでもいい。プレッシャーだったり、大会の雰囲気だったり、状況や流れ、そういったものに対応できる選手がいるかどうか。こういうシュートを決めたいとかではなく、僕はどんな形でもいいから勝ちたいんです」

――そういう考えになったのは、いつ頃からなのでしょうか?
「やっぱり鹿島に入ってからだと思います。それまでは良いサッカーをして、なおかつ結果も出したいと思っていたし、高校時代はそういうタイプだったと思います。鹿島が目指すのも、自分たちが圧倒し、良いサッカーをして、相手にサッカーをさせないで、なおかつ結果も出すことです。確かにそういうサッカーは理想ではあるけれど、それ以前に、絶対的なものとして『勝利』がある。良いサッカーをして負けるくらいなら、たとえ悪いサッカーでも勝つ、という伝統があるから、自分の考えも変わったんだと思います。例えば終盤にスルーパスを狙って相手にカットされて、カウンターを受けるくらいなら、クリアでも何でも、適当でもいいから時間を使うプレーをする、とか。時間帯や状況にもよりますが、鹿島に入ってからは常に勝利を考えてプレーするようになりました。でも、一方で忘れてはいけないのは日本代表というのは一番高いレベルを求められる場所だということ。海外や国内で活躍する日本で一番優れた選手が集まるチームですから。『どんなスペクタクルなプレーを見せてくれるのだろう』という周りの期待もあるので、それに応える使命はあるし、それが代表選手の責任でもあります。ただ、それ以上に勝つことが求められるのが代表チームだと思うんです」

――南アフリカW杯は割り切った戦い方でベスト16、ブラジルW杯は自分たちのサッカーにこだわり、結果的にそれをさせてもらえないまま、グループリーグで敗退しました。実感として、勝つことによってサッカー界が前進することは多いような気がします。
「サッカーについて言わせてもらうなら、南アフリカW杯よりも、ザック・ジャパンのほうが良いサッカーをしていた部分はあるかもしれません。でも、南アフリカW杯では結果を残したから、日本全体がすごく盛り上がりました。ブラジルW杯はグループリーグで敗退して、今、振り返った時に『良いサッカーをしていた』と言われているかといえば、そういう声は聞かないので……。やはり結果の重要性は感じますよね。僕の場合、『勝利』にこだわるクラブに入ったことが大きいと思います。鹿島がそういうクラブじゃなかったら、僕の考え方もどうなっていたのか分かりません。でも、選手としては『内容』も忘れてはいけないと思っているので、これからもうまく両立させて、時には勝つために妥協もしながら、『結果』を取りにいきたいです」

――2-2で終わったベネズエラ戦後、ゴールを決めたにもかかわらず、ピッチで残念そうに座り込んでいました。
「やっぱり『勝ちたかった』という思いがありました。引き分けたことが残念だったんです。ゴールを決めはしましたが、チームとして結果を残せなかった不甲斐なさというか、本当に『残念』という言葉が当てはまりますね。試合直後に、『勝てなかった』という思いがドッと出てきたので。まあ、いろいろと考える時間になりました。サッカーは個人スポーツではありません。もちろん、自分の良いプレー、悪いプレーを分析することは大事ですが、チームとして結果を出すことが僕にとっては一番の目標です。試合後に祝福メールをたくさんもらいましたが、やはり『勝てなかった』という悔しい気持ちは変わりません。自分が得点を決めたかどうかは、僕の中ではさほど重要ではないんです。チームが勝てるかどうかに重きを置いているので、そこで結果を残せなかったという思いのほうが大きい。サッカーは勝ってこそ評価される部分があります。結果というのは、僕らが勝ち取るものでもありますが、代表戦での勝利というのはスタジアムに来てくださる方、テレビで見てくれる方を含め、応援してくれる日本の皆さんのものでもあると思います。だから、勝てる試合を落として引き分け、1勝もできなかったというのは本当に悔しかったです」

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実現するために自分から動き、一つひとつ叶えていきたい

――ベネズエラ戦で初出場を果たしたことで、日本代表の一員としての自覚も出てきたのではないですか?
「それをこれから芽生えさせたい、という気持ちです。ベネズエラ戦後にも取材で聞かれましたが、『まだそういうことを口にする段階ではないからコメントはしません』と答えました。実際、自分はまだ代表キャップは1試合しかないし、今『自覚があります』とは答えられません。経験や試合を経て、芽生えてくるものだと思いますから。ただ、もちろん責任や自覚を備えていきたい気持ちはありますし、ベネズエラ戦でも多少それを感じるシーンはありました。初めての代表戦で、当たり前かもしれませんが、アンダーカテゴリーの代表の試合とはまた違いました。様々な人が試合を見に来てくださって、6万人の中でプレーをする。スタジアムには国旗があり、青いユニフォームを着たサポーターがたくさんいて……。代表戦の雰囲気がどういうものか肌で感じられました。でも、ホイッスルが鳴り、プレーをすることに関しては案外、普通に臨めたと思います。周りのことは気にならなかったですし、いつもの試合、普通のサッカーの試合という感覚でした」

――前半はボールに触れる回数が少なく、いろいろと確認しながら動いているようにも見えました。
「前半は相手が元気だったこともありますが、ポジショニングを確かめながら『これはやっちゃいけないな』、『これは効果的だな』と考えながら、リスクを冒さないようにプレーしました。そのおかげで後半はやるサッカーがはっきりしたと思います。前線に入れて、自分の前にこぼれたボールを拾って2次、3次攻撃というのはできていましたから。もしかすると自分たちがボールを持つ時間は短かったかもしれませんが、ゴールにつなげることが重要だったので、ポゼッション率はそれほど気にしていませんでしたし、自分たちが持つ時間が少ないと思うこともありませんでした。90分という時間の中で自分を適応させていくのは大変でしたが、できたと感じる部分はあります。時計を見たら、『あと15分しかないのか』と思うくらい短く感じましたし、体はしんどかったけど、走れていました。たぶんメンタルが充実していたからだと思います。試合が終わって、『勝ちたかった』という思いと、『まだやりたかったな』という気持ちが湧きました。ビックリしたのは試合翌日の朝に起きたら、体中がバッキバキで『あれ?』ってなったこと(笑)。やっぱり(体にかかる)強度が違うんだなと感じました。Jリーグでは経験したことがないので、いろいろな変化というか、違いがあるということですね」

――引き分けに終わったことで、初得点については素直に喜んでいない様子でした。それでも代表に定着するためには得点を始め、インパクトを残す必要があると思います。
「それは代表選手全員が残さなければいけないものだと思います。でも、自分の選手としての本質はゴールではありませんから。例えば武藤(嘉紀)はポジション柄、ゴールというインパクトも必要だと思いますけどね」

――3トップは、体格で劣る日本人にとって難しいシステムだと思います。
「選手同士の距離が遠くなるという点はあります。ウイングには運動量が必要ですし、守備も攻撃も求められます。あと仕掛けられる力も必要です。1トップに求められるのは、とにかく頑張れる選手。大きくて、強くて、ヘディングを後ろではなく、前に落とせる選手をアギーレ監督は望んでいるのではないかと思います。2トップだったら、1人は裏を狙えますが、1トップでは中盤のトライアングルからの距離も離れているし、ある程度孤立します。その状態でもボールをキープする力、ボールを前に(自陣側に)落とせる選手を必要としているのかなと。センターバック2人に対して、1人でも対応できる選手ということです」

――なるほど。中盤に関しては3人で構成されていますが、左インサイドハーフというポジションには、どのような印象を持っていますか?
「やりやすかったですね。ある程度、自由にできます。守備面についてはDFラインの前に必ずアンカーがいるので迷いなくボールを奪いに行けます。最悪、自分がマークを外されても、中央に2枚残っていれば、自分はあまりそこを見る必要はないので。後ろに絶対アンカーがいると思っているから、セカンドボールも前にポジションを取れるし、プレッシャーも前に行くし、攻守が変わる瞬間も後ろにステップを踏むことなく、自然と前へ行けます。だから結構、自由にプレーできますね。攻撃もある程度は自由ですが、一つ気を付けたほうが良いと思ったのは飛び出すタイミング。前に出てパスをもらえなかったり、そこでカットされると戻るのがキツイし、ワイドの選手が中に絞らなければいけないので、何でもかんでも飛び出せばいいわけではありません。でも、ベネズエラ戦で得点を決めたような形なら、オッケーだと思います。中盤は本職なのでやりづらくはないですし、ボランチでもトップ下でもなく、セントラルミッドフィルダー的な感じで面白いなと思っています」

――これからJリーグのほかに日本代表の活動が本格的に加わってきます。
「楽しみですね。『また行きたい』と強く思うようになりました。実感があるというか、試合に出たことで、自分も絡んでいるんだというリアリティーがある。だから、試合に出続けたいという欲も、さらに湧いてきています」

――代表戦に出場して、自分の中で変化を感じるところはありますか?
「意識をすることはたくさんあります。パス、判断、寄せやスピードの部分。そこの感覚を忘れないようにしたいので、常に代表に呼ばれ続けたいですね。『人間は良くも悪くも慣れる生き物』と(岩政)大樹さん(現テロ・サーサナ)が言っていました。だから、間隔を開けずに代表に行きたいと思うようになってきましたね」

――日本代表とJリーグとでは、様々なスピードが違うと思います。Jリーグで刺激を受けることが少なくなっているのではないですか?
「その違いは自分がコントロールできない部分なので、考えても仕方ありません。もちろん味方に要求はするし、改善するように言うケースもあると思いますが、自分の中でコントロールできるのは、自分のプレーだけ。今は鹿島でタイトルを取るという目標もあるので、そんなことを考えている暇はありませんよ」

――ブラジルW杯ではネイマールやハメス・ロドリゲスといった同世代の活躍が目立ちました。刺激になるのでは?
「そうですね。僕はU-17W杯で、ネイマールと対戦しています。その比較じゃないですけど、ブラジルW杯では『昔とは違う選手』という印象を持ちました。何というか、U-17の時は手が届きそうな感じだったんですよ。もしかしたら、その試合だけかもしれないけど、スーパーな選手という感じはなくて、『やれなくはないかな』と。今回、自分がW杯に出ていないので分からないところもありますが、ブラジルを代表している責任やプレーを見て、『アレ?』と思ってしまった部分はありました」

――遠くに行ってしまったと?
「はい。立場やプレー、そのどちらにも当時とは大きな違いがあったと思います。ブラジルW杯では、特に僕らの年代が活躍しました。各国1〜2人は主力でやっていましたよね。だから、焦りみたいなものはあります。自分も早く彼らと同じ世界に行かなきゃいけないとも思っています。これから先、自分が追いつけるかどうかは正直分からないですが、やるしかない。ブラジルW杯については、うれしいことに周りはいろいろと期待してくれましたが、自分としては『選ばれないだろうな』と感じていました。今でも、『そこまでの力はなかった』と思っています」

――ロシアW杯のことは意識しますか?
「まだ代表キャリアのスタート地点に立って、第一歩を踏み出したところです。4年後は26歳になるので、選手としては良い時期かなと思いますが、まだまだ経験も必要です。試合に出場した、得点を決めたといっても、数少ない経験の中でやっているわけですから、これからさらに積み重ねていかなければならないという気持ちです。今、仮にW杯があったとしても、まだ自分の力では通用しないだろうなという感覚ですし。ただ、日本代表での9日間という期間を自分の成長の場にできたのは良かったと思います。未来へのイメージもある程度、膨らみました。そういう意味では、今までよりも代表を身近に思えるようになったかなと思います。ただ、個人としては、そんなに先のことを考えるタイプではありません。もちろん、さらに良いプレーを重ねて成長し、様々な大会に出場したいとは思います。選手としてもいろいろな部分でステップアップしたい気持ちはあるし、鹿島でも結果を出したい。代表に選ばれて試合に出たいし、いつかは海外でもプレーしたい。でも、それぞれにタイミングがあって、それがいつ訪れるかは分かりません。自分が『この時期に、これがしたい』と言っても、それが叶うわけでもありません。ただ、実現するために自分から動き、一つひとつ叶えていきたい。そのために、これからも努力を続けていきます」

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