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<インタビュー>元サッカー日本代表・北澤豪氏が語る「ブラインドサッカーの魅力」

2014.07.23

 今年11月に日本で開催される「ブラインドサッカー世界選手権B1大会」の組み合わせ抽選会が、7月18日(金)、「MIFA Football Park」(東京都江東区)で行われた。抽選を行ったのは、大会のアンバサダーを務める元サッカー日本代表の北澤豪氏。長年ブラインドサッカーに携わってきた北澤氏に、その魅力を聞いた。


写真=貝守広貴

――まずは、北澤さんのブラインドサッカーとの出会いを教えてください。

北澤豪 ブラインドサッカーとの出会いは、千葉県の盲学校で結成された「ペガサス」というチームでした。率直に抱いたのは「目が見えなくてもサッカーができるんだ」という思い。そんなことができるなんて想像もしていませんでしたから、衝撃でしたよ。

――それから月日を経て、日本にブラインドサッカー協会が設立された2002 年以降、北澤さんはブラインドサッカーを追い続けています。改めてその魅力を教えてください。

北澤豪 何よりブラインドサッカーのピッチが、勇気を持っていないと立てない場所であるということですね。見えない状態で選手同士ぶつかっていくし、壁にも激突していく。そういうとてつもない恐怖を物ともしない選手たちは、本当にすごいなって思います。それはひょっとすると、普段彼らが自分の思うように動くフィールドがないからこそ、できることなのかもしれません。ピッチに出る時、彼らは介護者に捕まって行かないとならない。でも、ピッチ上では介護は必要ない。解き放たれるんですよね。

――北澤さんもアイマスクをしてのプレーを経験されています。

北澤豪 やっぱりなかなか思うようにプレーはできないですよ。「見える」っていうことを制限された時の大変さは、想像以上です。選手たちには、我々よりも「見える」ものがあるのかなって思います。そうじゃないと、あんなプレーはできないですから。

――選手たちと同じ状況でプレーすることで、彼らのすごさが実感できたわけですね。

北澤豪 そうです。もちろん、ブラインドサッカーを「観戦する」ことで感じることもたくさんあるんですが、僕はサッカーをプレーする人にぜひブラインドサッカーを「体験」してほしいんです。絶対にサッカーがうまくなるから。ボールを見ないでボールをコントロールする技術もそうだし、視覚に頼らないことで感覚が研ぎ澄まされる。それに、一つひとつのプレーを大事にするようになる。これまでと考え方や視点を変えることで、また違うレベルのプレーができるようになると思います。

――11月には、日本初開催となる世界選手権が控えています。

北澤豪 今回の日本開催で重要なことは、地方ではなく、東京が開催地であるということ。それも東京の中心、渋谷(国立代々木競技場フットサルコート)で開催できる。やっぱりあの地にフットサルコートができたのは、渋谷が「サッカーの街」としてあらゆるサッカーを受け入れられる場所になる必要があるからだと思うんです。サッカー日本代表だけが強ければいいっていう時代はもう終わったのかなって。女子サッカーがあってフットサルがあって、ビーチサッカーがあって、障がい者サッカーがある。あらゆるサッカーが強くなることで、日本は初めて「サッカー先進国」になると思いますし、結果的にそれがサッカー日本代表の強さにつながる。その思いがあるから、僕はブラインドサッカーに携わっているんです。

大会概要&組み合わせ

◯大会名:2014 IBSA ブラインドサッカー世界選手権B1大会
◯日程:2014年11月16日(日)~11月24日(月・祝)
◯会場:国立代々木競技場フットサルコート
◯大会方式:出場12カ国を3組に分け、各組4カ国が1回戦総当たりのグループリーグを行う。勝ち点の上位8カ国が決勝トーナメントに進出。優勝国には2016年リオデジャネイロ・パラリンピックの出場権が与えられる。
◯グループリーグ組み合わせ
<グループA>日本、フランス、パラグアイ、モロッコ
<グループB>ブラジル、トルコ、中国、コロンビア
<グループC>スペイン、アルゼンチン、韓国、ドイツ

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